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「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して 雇用管理上講ずべき措置等に関する指針(案)」に関する声明

フリーランス(芸能関係者を含む)のハラスメント対策関連するパワーハラスメント指針である「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針等の一部を改正する件(案)」について、政府がパブリックコメントの募集を開始しました(締め切り:12月20日)。 私たちは今夏ハラスメント実態調査アンケートでご協力いただいた1218名の声を厚生労働省に届けて参りましたが、労働政策審議会で出された最終的な指針案は「対策を講じることが望ましい」という、かなり拘束力の弱いものになってしまっています。 指針は、国が啓発や相談対応などの具体的な取り組みを企業に義務付けるものですが、フリーランスに関しては、「措置義務」でも「配慮義務」でもなく「望ましい」との表記になっており、これではハラスメントが横行している当事者の実態に合わない施策であり、問題があると言わざるを得ません。 労働政策審議会の議論では、経営者側委員から「(フリーランスを対象にすると)対象が広がり過ぎて現場が混乱する」「(どういう人からどんな事例が持ち込まれるかわからないので)ハラスメントかどうかの判断が困難」などの発言が出されました。ハラスメントかどうかの判断が難しいのは、雇用労働者の場合も同じです。だからこそ、具体的な指針が作成されようとしているのではないでしょうか。ハラスメントは人権問題であり、雇用されているか・いないかによって対策を講じるかどうかを分けるのはおかしな話です。 ぜひ多くの方から、フリーランスに対しても、法的拘束の力のある「措置義務」、あるいは少なくとも「配慮義務」と明記されなければ、長く無法地帯であった現場が変わらない、との意見を出してもらえればと思います! もう一押し、フリーランスへの実効性のある対策が指針に盛り込まれるよう頑張りましょう!  
「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等に関する指針(案)」に関する声明 PDF版:seimei_191205 #1 2019年12月5日 協同組合日本俳優連合 日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)フリーランス連絡会一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリアフリーランス協会 2019年11月20日、厚生労働省労働政策審議会雇用環境・均等分科会における議論をもとに、「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等に関する指針(案)」(以下、指針案)が出されました。 フリーランスへのハラスメント対策については、12ページの「6」に、「ハラスメントを行ってはならない旨の方針の明確化を示す」ことに加え、「相談があった場合には、その内容を踏まえて、4の措置(雇用労働者を対象とする事業主が講ずべき措置の内容のこと*)も参考にしつつ、必要に応じて適切な対応を行うように努めることが望ましい」という文言が入ったことは一歩前進だと思います。しかし、「望ましい」との表記では実効性あるハラスメント対策とはなりえません。さらなる修正を求めます。 1、参議院附帯決議九では、「2 自社の労働者が取引先…等に対して行ったハラスメントも雇用管理上の配慮が求められること」を明記することと書かれています。私たちは、2019年9月9日付「フリーランスへのハラスメント防止対策等に関する要望書」(厚生労働省、ならびに労働政策審議会の委員にも提出)、および10月23日付「『指針の素案』に関する緊急声明」において、この附帯決議を適切に指針に反映させてほしいと訴えてきました。同内容を求める署名も、12月5日時点で9,975筆集まっています。また、11月21日の審議会の議論の中でも、労働者側委員から「『望ましい』というのでは実効性がない。雇用管理上の配慮義務にすべき」といった意見が出されました。しかし、この国会での附帯決議ならびに私たちの声が指針案に十分には反映されていません。 2、私たちは、今夏、「フリーランス・芸能関係者へのハラスメント実態アンケート」調査を行い、その結果を9月10日に記者会見で発表しました。厚労省、労政審の委員にも、お渡ししてあります。調査結果では、いかにフリーランスへのハラスメントが多く発生しているか、ハラスメントによって就業環境が害されたり苦痛を与えられたり健康が損なわれているかが明らかになっています。調査結果の「誰からのハラスメントか?」との質問には、「発注者・取引先・クライアントの従業員、経営者」との回答が上位を占めています。まさにこれは、仕事上の「発注者」という優位な関係を背景としたハラスメントであり、発注者企業の事業主が雇用管理上の配慮または措置を講じない限り、つまり事業主に何らかの「義務」を課さない限り、フリーランスへのハラスメントを防止することはできないということです。とりわけ、フリーランスは労働局などの行政の窓口も使えない状況で、現状では相談先がありません。また、調査結果では「ハラスメントを相談しなかった理由」の上位に「仕事がなくなるなど不利益を被る恐れ」があがっています。相談体制の整備に加え、「不利益取り扱いの禁止」なども「義務」として明記されない限り、フリーランスは相談することすらできないでしょう。 内閣府の調査では、フリーランスは341万人といわれています。すでに私たちは社員と共に働き、それぞれの業界を支えています。今後も増えるであろうフリーランスの就業環境を整えるためには、ハラスメント問題への対処を欠くことはできません。フリーランスへのハラスメント対策を実効性あるものにするために、指針に「事業主の雇用管理上の配慮義務」または「同措置義務」と明記することを求めます。 現在、政府は、指針案についてのパブリックコメントを募集しています。締め切りは12月20日です。今回の指針案をより実効性のあるものとするため、多くの当事者や関係者に意見を提出していただけるよう呼びかけます。私たちは、指針案をより良いものに改善するために、みなさんと共に取り組みを進めていきたいと思います。 (*)4の措置(雇用労働者を対象とする事業主が講ずべき措置の内容)とは: (1)ハラスメントを行ってはならない旨の方針等の明確化及びその周知・啓発 (2)相談に応じ、適切な対応するために必要な体制の整備 (3)ハラスメントが起きた後の迅速かつ適切な対応 (4)プライバシーの保護、相談したことなどを理由とする不利益な取り扱いをしないこと リンク:指針案 https://www.mhlw.go.jp/content/11909500/000568624.pdf リンク:パブコメ提出先 https://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495190288&Mode=0
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