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出版産業

【談話】公権力による市民の管理・統制の強化へとつながりかねないデジタル改革関連法案は容認できない

【談話】公権力による市民の管理・統制の強化へとつながりかねないデジタル改革関連法案は容認できない

 

2021年4月7日
日本出版労働組合連合会
出版・産業対策部
部長 俵谷晋三

 

 昨年9月に発足した菅政権は、看板政策の一つとして国全体のデジタル化を掲げている。今年9月を予定して進められているデジタル庁創設もその一つであり、同庁を設置するための関連6法案が上程され、そのうち5法案が30時間にも満たない拙速審議で、昨日衆議院本会議にて可決された。
政府は、6法案とそれに関連して提案されている数多くの法律案を、まとめて内閣委員会、総務委員会での審議で済まそうとしたが、法案のずさんな内容が次々と露呈している。また、密接した必要な法案だとして「束ね」法案化したにもかからず、総務委員会にかかる法案はまだ審議されていないまま5法案のみが衆議院本会議で採決された。
日本の行政におけるデジタル化の遅れは周知のところであり、電子化によるスピードアップや行政コストの削減など、国民生活の利便性を図るという側面については否定するものではない。しかし本法案を見るかぎり、デジタル庁の本質は、マイナンバーに紐づけられた個人情報を一元管理し、その産業利用を進めるために個人情報保護を緩めるものであると断ぜざるを得ない。
本来個人情報の利用については、本人の同意を要することが大原則であり、ヨーロッパなどではその徹底がめざされている。しかし、本法案では産業の活性化や国際競争の強化の名目のもと、個人情報の保護を緩めようとしている。
現在、民間、行政機関、独立行政法人の三つに分散してその利用が規制されている個人情報を、首相直轄の組織である内閣府に設置するデジタル庁で一元管理するというのが本法案の要であるが、いかなる権力からも保護されるべき個人情報を国家権力の中枢ともいえる内閣府内の組織で管理するというのは、権力による市民の管理・統制の強化へとつながりかねない。
 菅政権のデジタル改革関連6法案は、個人情報とプライバシー保護の観点から断じて容認できるものではないことを表明する。

以上

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