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出版労連には年間70件100人ほどの労働相談が寄せられています。専門の相談員が対応し、顧問法律事務所とも連携をとりながら、会社と交渉しトラブルを解決しています。
また、原稿料、編集料、校正料、デザイン料の不払い、減額などフリーランスの相談にものっています。
※出版社・取次・書店などで働いている皆さん。新型コロナウイルス感染拡大にともなう経済危機で、雇用や働き方に困難を抱えたら、一人で悩まずにご相談ください。無料・秘密厳守です。
*毎週水・金 18時より来所での労働相談を受けております。
ご相談は、出版労連にお越しいただき、面談にてお願いしております。
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<これまで解決した相談事例を紹介します>
① パート労働者の解雇:出版関連会社でパートで働くAさんはWeb記事の取材・製作を担当していましたが、業務終了を理由に退職勧奨を受けて出版ユニオンに加入。
実際は無期雇用の契約でしたが、会社は有期雇用を主張し解雇を強行しました。団体交渉で解決に至らなかったため、東京都労働委員会にあっせん申請し、金銭による和解で解決しました。退職金規定はありませんでしたが、次の就職のための準備金とすることができました。
② 雑誌編集の「業務委託契約」打ち切り:出版社の月刊誌編集職場で「業務委託契約」で、ほとんど休むこともなく3年間働いてきたBさん。
実態は、毎日出社し編集長から指示を受けて与えられた机で仕事をするという、社員同様の働き方。ある日突然「2日後に契約を打ち切る」と、契約打ち切りを通告されました。出版ネッツに加入し、団体交渉で一方的解約を撤回させました。会社は、今後の業務委託契約は中途解約の場合も不更新の場合も3か月前予告とすることを約束しました。
③ 経営難を理由にした賃金カット:社員数名の専門書出版社で30年近く働いてきたCさん。
会社が、経営難を理由にほとんど説明もなく一方的に40%の賃金カットを導入しようとしました。出版ユニオンに加入し、団体交渉で財務資料などをすべて開示させ、そこまでの賃金カットの必要性はないことを説得し、10%の賃金カットを組合から会社に提案し受け入れさせました。また、万一に備え、会社都合の場合の退職金を自己都合の場合の倍額支払う協定を結びました。
④ パワーハラスメントで雇止め:出版社の雑誌職場で1年契約の社員として働くDさん。
職場は、長時間過密労働で殺気立ち、日常的に「仕事ができない奴は辞めろ」「バカ、無能」などの罵声が飛び交い、30名の社員の内1年間で10名が退社するほど。パワハラ行為を問題視したDさんに対して会社は、「コミュニケーション能力がない」などの理由で契約更新をしないと通告。出版ユニオンで団体交渉を行い、パワハラ行為への謝罪と解決金の支払い、今後の職場環境の整備を約束させました。
⑤ フリーランスへの料金未払い:出版社から写真撮影の仕事を頼まれたフリーランスが報酬の未払いにあいました。請求書を送ってもなしのつぶて。
出版ネッツに加入し、組合から話し合いを求めましたがそれも拒否。そこで、取引先にあった「これから払われる売上」を仮差押えした上、代金支払いを求める本人訴訟を、組合の支援で東京簡易裁判所に提訴。勝訴判決の後、会社は未払い代金を振り込みました。
(裁判での和解解決した例も多数あります)
【労働相談から・1】
フリーランスの不払い――「団結の力を初めて…」
出版労連に寄せられる労働相談が増えています。
ベテラン編集者のAさんは、広島市にある編集プロダクション(編プロ)の依頼でゴルフ雑誌の編集を指導しに東京から通ったが、いきなり契約を切られ、請負代金のかなりの部分が支払われなかった。
知人に教えられて出版労連に相談。クリエーターの個人加盟組合・出版ネッツに入った。
広島は遠いし、相手の会社は大幅債務超過。どうしたものか。
検討した末、広島にある出版労連加盟のD社労組に対応を依頼する。快く受けてくれた同労組の書記長が、会社に出向いて交渉。契約打ち切り後の補償を確保した。編プロの社長は「出版労連が来た」と驚いた、という。
Aさんのケースは契約書がなく、裁判でも解決が難しい。それを解決したのは、全国に仲間がいる産業別労働組合が取り組んだからだ。長年労働相談に携わる出版ネッツのMさんは話す。
「交渉というと以前はこちらから出向くケースが多かったが、最近は相手方が出版労連に来ることが増えた。話し合いが成り立てば、問題は大半が解決しています」
出版ネッツでは、代金の不払い、契約の打ち切り、著作権侵害などをめぐって、多数の相談に取り組んでいる。その一つで先日、交渉が行われた。
翌日、相談者の女性ライターからこんなメールが届いた。
「これまであまり考えてこなかったのですが、団結することの大きさ、大事さを、みなさんのお力を得て痛感しています」
労働相談をきっかけに組合に入った人が、今度は相談に乗る側に回ることも。一人では弱い私たちが助け合うことで悩みを解決し、“助け合いの輪”がそのたび少し大きくなる。
*機関紙『出版労連』の連載を一部修正したものです。
【労働相談から・2】
不安定な派遣の仕事――職場組合の運動で正社員に
一緒に働く非組合員の話を効いた聴いた職場組合が果たした役割とは…。
Sさん(27歳)は高校卒業後、アルバイトを経て派遣社員になった。
主な仕事は医薬品の品出しで、時給は派遣としては高めの1500円。残業も多く手取りで40万円くらい稼いだこともある。派遣は「なんとなく気楽さ」もあった。
ある日、現場に派遣先会社の本社から人が来て、8人の派遣が呼ばれた。「悪いけど、来月で終わりだから」。いきなりの雇い止めは、心に痛かった。
そんな曲折を経て、SさんはT社に派遣される。出版労連加盟の職場組合がある、平和な職場だった。退職した上司の推薦もあって「契約社員にならないか」と声がかかったとき、いったんは「無理です」と断ったが、派遣のままでは将来も不安なので決意した。派遣のときは自腹だった交通費が支給され、「ないもの」と思っていたボーナスも出る。
社員になったことで生活も安定し、以前からお付き合いしていた女性と結婚。愛娘が生まれた。労働協約で定められた10日間の育児特別休暇は、娘が風邪をひいたときのためにとってある。
「手を抜くわけじゃないんですが、以前は、『オレは派遣だから』みたいな消極的な気持ちがあった。社員になって責任感を感じています」とSさんはいう。
T社労組は従業員の大半が加入する、組織率の高い組合だ。2004年、ある部門で人員が足りないので、団体交渉で会社に増員要求を出した。元労組委員長のIさんは、「こちらは敢えて名前を出さなかったけど、会社が『〇〇くんのことだろ』といってきました」と振り返る。
会社が増員を受け入れた。「それならいい人がいる」という形で、同部門内で頑張っていた派遣社員をまずは契約社員、その後正社員にすることができた。以降何人もの派遣社員が社員になり、元からの社員と肩を並べて働いている。
*機関紙『出版労連』の連載を一部修正したものです。
【労働相談から・3】
退職勧奨、セクハラ、長時間
労働…悩む正社員――組合との出会いが支えに
正社員から寄せられるさまざまな相談からは、産業状況が垣間見えます。
「子どもを産んだら会社を辞めるのが当たり前」
そんな意識の経営者にいじめを受けた出版社社員Bさんが、出版労連の労働相談に駆け込んだ。
話を聴いた相談員・Hさんは言う。
「男女平等の世の中に、まだまだ女性軽視がある。頑張り屋のBさんは出版情報関連ユニオンに加入し、意気軒昂です」
インターネットで知った会社に2月に入社し、相談に来るまでの4ヵ月間、一度も給料をもらっていなかった青年もいた。仕事は広告営業。会社の寮に住み、無料で出る昼食を取って外を回ってきたと打ち明けた。
いじめ(パワハラ)、セクハラ、異常な長時間過密労働に賃金の遅配。我慢に我慢を重ね、どうにもこらえきれなくなって出版労連の門を叩く。しわくちゃになった出版労連のビラを握りしめてくる人もいる。
相談員のRさんは、「昔の経営者だったら恥ずかしいと思うことでも、2代目、3代目は『金がないんだからしょうがないでしょ』と居直る。職場での助け合いも弱まって、会社という組織が壊れてきていると思います」と話す。
相談員に話を聴いてもらううち、ほっとして救われた、という人もいる。話はときに、人生全般に広がる。
だが、さまざまな苦しみを抱えながらも、出版労連にたどりついている人はまだ少数だ。出版で働くすべての人のために私たちに何ができるのか。相談現場から見える課題は大きい。
*機関紙『出版労連』の連載を一部修正したものです。