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  • 教科書記述への権力的介入への抗議文について

    教科書記述への権力的介入への抗議文について

    教科書記述への権力的介入への抗議文について
    2021年6月30日 出版労連・教科書対策部

     教科書対策部は、内閣が閣議決定で「従軍慰安婦」「強制連行」などの用語を変更したことに対し、5月20日付で抗議文を菅首相と萩生田文科相に送付しました。
     閣議決定は「維新の会」議員による質問主意書に応えたもので、「従軍慰安婦」などを「慰安婦」に、「強制連行」「強制労働」は「徴用」に変更しました。日本の戦争加害責任がなかったかのように変更したのです。
     小中社会科と高校地歴・公民教科書の検定基準は「閣議決定など政府の統一的な見解や最高裁判例など」に従った記述を載せろとされており、教科書記述を閣議決定どおりにしろというのがねらいです。
     教科書記述の変更には「訂正申請」という手続きが必要です。文科省は国会論戦の直後、該当する教科書発行者に対し異例の「説明会」を開き、訂正申請のスケジュールを示しました。訂正申請しなければ、文科大臣による「訂正勧告」もありうるとも述べています。事実上の圧力にほかなりません。
     一方で、国会でも説明会でも、文科省は「最高裁の判例」には頬かむりですが、「日本軍慰安婦」など、日本政府の責任を明示する語を使った判例もあることが、野党の論戦で明らかにされています。
     このようなやり方は教科書に対する圧力にとどまらず、憲法が保障する言論・表現・出版の自由や学問の自由をふみにじるものであり、出版という私たちの営み全体に対する許しがたい攻撃です。組合員のみなさんの理解と協力を訴えます。

     

    2021年5月20日
    内閣総理大臣 菅義偉 殿
    文部科学大臣 萩生田光一 殿
    日本出版労働組合連合会 教科書対策部
    【抗議文】「従軍慰安婦」「強制連行」に関する教科書記述への権力的介入をやめよ 
    PDF:210519_kyoukasho_kougiseimei

     

     

  • 【声明】公的機関による言論妨害、出版・表現の自由の侵害に抗議する

    【声明】公的機関による言論妨害、出版・表現の自由の侵害に抗議する

    【声明】公的機関による言論妨害、出版・表現の自由の侵害に抗議する

    2021年4月7日
    日本出版労働組合連合会
    中央執行委員長 酒井かをり

      公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は、「週刊文春」4月8日号(4月1日発売)掲載記事「白鵬、海老蔵、後援者…森・菅・小池の五輪開会式“口利きリスト”」、および3月31日配信の文春オンライン記事「『AKIRA』主人公のバイクが…渡辺直美も絶賛した「MIKIKO チーム開会式案」の全貌」において東京オリンピックの演出プランを暴露したことは不正競争防止法違反の罪及び業務妨害罪が成立しうるとして、4月1日、同誌の回収とWebからの削除を求めました。
     これに対し同誌は「侮辱演出案や政治家の“口利き”など不適切な運営が行われ、巨額の税金が浪費された疑いがある開会式の内情を報じることには高い公共性、公益性があり、報道機関の責務である」と説明し、組織委員会の要求である発売中止、回収などについて拒否する姿勢を表明しています。出版労連はこの表明を支持し、連帯を表明いたします。
     オリンピック・パラリンピックが、莫大な税金が投下される公共性の極めて高い催しであることはいうまでもありません。同組織委員会は、国内外から多くの批判を受けた森喜朗会長(当時)の女性蔑視の差別発言による辞任、タレントへの侮辱演出案の存在など、五輪憲章に抵触し、人権を軽視した度重なる不祥事を起こしてきました。同誌の表明するとおり、開会式の概要を取材・検証し公表することが公共の利益と合致することはだれの目にも明らかです。
     組織委員会は、非公開で会議を行うなど、極端に不透明な運営手法をとり、過度な情報コントロールを行ってきたことも報道で明らかとなっています。これらを納税者の前に明らかにする記事は、高い公益性を有していると考えます。さらに組織委員会は、警察と相談しつつ内外の関係者の調査に着手するとしていますが、これは刑事告訴をほのめかし取材活動を萎縮させることを意図した恫喝であり、不都合な事実を隠蔽することでガバナンスの不在を繕おうとしていると思わざるをえません。
     平和の祭典と称されるオリンピック・パラリンピックは、市民の共感と支持がその礎にあってこそのものと考えます。そのためには、運営組織の透明性は不可欠です。報道機関として当然の取材活動の範疇にあり、憲法21条で保障されている出版社として当然の出版活動の範疇にある同記事に対し、著作権法違反や業務妨害などの組織委員会の主張は、公的機関による言論活動の妨害、出版・表現の自由に対する重大な侵害にほかならず、看過できるものではありません。
     私たち出版に働く者は、公的機関による言論活動の妨害、出版・表現の自由の侵害を認めません。1963年に日本雑誌協会が制定した雑誌編集倫理綱領の第一項「雑誌編集者は、完全な言論の自由、表現の自由を有する。この自由は、われわれの基本的権利として強く擁護されなければならない」という立場をいま一度、強く支持し、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会による同誌への発売中止、回収要求の即時撤回を求めます。


    以上

    PDF:20210407_gorin_seimei

  • 均等待遇の実現を求めるチラシを作成

    均等待遇の実現を求めるチラシを作成

    21年4月より中小企業にも「パートタイム・有期雇用労働法」が適用されます。
    出版労連では、均等待遇を実現に向けて新しいチラシを作りました。

  • 中執特別声明「均等待遇を実現し、誰もが希望を持って暮らせる社会を実現させよう!」

    中執特別声明「均等待遇を実現し、誰もが希望を持って暮らせる社会を実現させよう!」

    出版労連第136回臨時大会/中央執行委員会特別声明
    均等待遇を実現し、誰もが希望を持って暮らせる社会を実現させよう!


     今日、私たちは、第136回臨時大会で均等待遇の実現について討議し、2021年春闘において均等待遇の実現に向けてとりくむことを確認しました。

     2020年4月に「短時間労働者の雇用関係の改善等に関する法律」が「短時間労働者及び有期労働者の雇用管理に関する法律」(いわゆる「パート・有期雇用労働法」)に代わりました。私たちの働く出版関連産業の大多数である中小企業への施行は1年間猶予され、2021年4月1日からとなります。

     およそ25年前、均等待遇についての法律がなかった時代に、格差是正を求めてたたかった丸子警報器のパート労働者や、近年では労働契約法20条を根拠にたたかってきた日本郵政や東京メトロコマースの労働者をはじめとする多くの労働者が勝ちとった結果として、法律が整備された背景があります。出版労連でも、小学館臨時労働者闘争(正社員化)や、一橋出版=マイスタッフ争議(派遣労働者の雇い止め撤回)など、非正規労働者の権利確立のたたかいをすすめてきました。パート・有期雇用労働法の施行にあたり、さらに、均等待遇実現のために声をあげていくことが重要です。

     出版関連産業でも、不合理な格差により苦しめられている非正規労働者が多数います。正社員と同様の業務・責任を担いながら、同じ仕事をしているはずなのに、賃金は違う、休日も違う、手当も違うなどは、到底許されるものではありません。

     そんな中、出版流通の職場では、大手取次の協力企業の有期雇用労働者が、個人加盟の出版情報関連ユニオンに加入して会社と交渉した結果、慶弔休暇の制度化や安全靴の支給などの格差是正が実現しました。

     みんなで力を合わせて声をあげ、少しずつ改善していきましょう。何もせず、ただ法律が変わっただけでは、格差の是正は実現しません。

     有期雇用から無期転換した社員と正社員の格差の問題については、まだ法律が整備されていないなど、課題はたくさんあります。

     不合理な格差を是正させ、均等待遇の実現にむけて、経営に対し要求し、交渉していきましょう。労働法のさらなる改善を求める運動や、この問題でたたかっている仲間の支援など、産業の垣根をこえて労働者が連帯し、とりくんでいきましょう。

    PDF:210210中執特別声明「均等待遇」印刷版

    以上

    2021年2月10日

    日本出版労働組合連合会

    中央執行委員会

     

  • 出版労連第136回臨時大会/2021年春闘宣言

    出版労連第136回臨時大会/2021年春闘宣言

    2021年春闘宣言

     「将来に続く何らかの布石」を打つこと。これが昨年の春闘宣言で私たちが採択した言葉です。私たちはこの1年、新型コロナウイルス感染症の脅威により、暮らしや働き方が急激に変わるということを体験ました。人と接触する機会を減らすことが急務となり、働き方の変更とともに、集い、話し合い、連帯していくという組合活動の基礎も大きな影響を受けています。通勤するだけでいのちの危険につながりかねない状況に置かれ、日常業務だけでも精一杯で、将来への布石を打つどころではなかったかもしれません。

     しかし、出版流通の現場から報告されたように、発売日の変更や延期はありましたが、出版物流は止まることなく、書籍・雑誌を作り、読者へ届けてきました。大きな変化の中にあっても、組合活動の灯を絶やさない心強い報告もありました。私たちが黙っていても、国や自治体、経営陣は働く人に行き届いた対応をしてくれません。大きな変化がもたらされるとき、大きな影響を受けるのはより弱い立場の人たちであることも忘れてはいけません。働く仲間と物理的に分断され、声を上げることがままならない今こそ、知恵と工夫で連帯し、萎縮せず議論を重ねて具体的な行動に移していきましょう。

      2021年春闘方針の柱は、コロナ禍でも納得できる労働条件・労働環境の改善にとりくもうということにあります。初任給の引き上げと賃金のベースアップは出版関連産業の担い手となる人の確保のためにも、要求化をめざしましょう。均等待遇の実現は、2021年4月より中小企業にも適用となる改正パート・有期雇用労働法を活用しましょう。
     
     会社主導で緊急的に導入された在宅勤務などの制度化や、働き方の改善を求める動きもあります。各単組・小共闘から寄せられたさまざまなとりくみからは共通する課題や論点も多く見出された一方、勤務形態や業務、管理体制などが各社で異なるのが実情です。臨時大会で確認した「コロナ禍における在宅勤務制度対応指針(案)」にポイントをまとめましたので、要求づくりに活用しましょう。コロナ禍の在宅勤務は、いのちの問題です。在宅勤務が困難な職場の働き方も考え、改善にとりくみましょう。

     定年延長や継続雇用も、賃金体系も含め非合理的な格差のない労働条件を追求しましょう。職場ごとの状況が異なるため、望ましい一つの方向性を打ち出すことは難しい現状にありますが、雇用の確保と労働条件の底上げを軸として、各単組で議論し要求していきましょう。

     ハラスメントの防止・根絶は、中小企業を含め法整備が進みつつありますが、フリーランスが対象外であることなど、未だ道半ばと言わざるをえません。出版女性会議や出版ネッツから報告されたように、さまざまな形態で働く人の権利を守るためのとりくみをさらに進めていきましょう。

     政府は2020年までに女性管理職を3割にとする目標を、「2030年までのできるだけ早い時期に」と先送りを決めました。出版労連は、新聞労連、民放労連、メディアで働く女性ネットワークの4団体の連名で民放連・新聞協会・書協・雑協のメディア業界の4団体へ「業界団体および加盟社の女性登用についての要請」を提出しました。この報告記者会見の直前、森喜朗氏(東京オリンピック・パラリンピック組織委員会会長:当時)による女性蔑視発言がありました。森氏の発言を下支えしてきているのはメディアも含めた日本の社会構造です。これは女性だけの問題ではありません。男性中心の社会構造を変え、ジェンダー平等を実現しましょう。

     私たちがこれまでとりくんできたさまざまな課題は、コロナ禍で遠景へ退いたかに思えるものもありますが、依然として残り続けています。表現の自由が脅かされ、民主的な手続きがないがしろにされることも多く聞かれます。労働組合の活動は、個別の労働条件はもとより、社会そのものを変える力になりえます。私たちは同じ出版関連産業で働く仲間であると同時に、異なる考えを持ち、異なる職場や条件で働く者でもあります。異なる個人として思いを伝え、共有し、ともに行動できる部分についてはいっしょに声をあげて、一つひとつの課題にとりくんでいくことができます。想像力と工夫をもって緩やかなつながりを保ち広めていきましょう。

    PDF:210219春闘宣言【印刷版】

    以上

    2021年2月10日

    日本出版労働組合連合会

    第136回臨時大会

  • 【声明】 出版産業を経営危機に追いやり書籍の多様性を阻害する 総額表示義務化に抗議し、撤回を求める

    【声明】 出版産業を経営危機に追いやり書籍の多様性を阻害する 総額表示義務化に抗議し、撤回を求める

    【声明】出版産業を経営危機に追いやり書籍の多様性を阻害する総額表示義務化に抗議し、撤回を求める

    2020年10月16日
    日本出版労働組合連合会
    中央執行委員長 酒井かをり

    PDF:201016総額表示声明


    2003年の消費税法改正によって、2004年4月より、事業者が消費者に取引価格表示する場合に消費税額を含めた価格を表示することを義務づける、いわゆる「総額表示制度」が実施されました。しかし広範な運動によって、2013年施行の消費税転嫁対策特別措置法による特例として、2013年10月1日より「外税表示」も許容され、現在、多くの出版物が「本体価格+税」の「外税表示」を採用しています。しかし、同特別措置法の適用期限は2021年3月31日までとなっており、「総額表示」の義務化が復活しようとしています。

    義務化が復活した場合、出版業界は多大な経費を要することは明らかであり、出版社の9割にのぼる中小零細出版社は経営危機を迎えることになりかねません。実際、消費税導入時には、出版業界は、他の業種とは比較にならぬ多大な経費を要しました。出版社においては、カバーの巻替えをはじめとする経費が1社平均3,623万円(日本書籍出版協会調べ)。全産業では5万円以下55.9%、1,000万円超0.8%、(大蔵省<現財務省>調べ)となり、経費等との兼ね合いから、廃棄または絶版にせざるを得なかった専門書や小部数出版物が多数に上るという由々しき事態を招きました。

    出版社は多品種の既刊書在庫を長期間保有しています。新刊書だけでなく既刊書の需要も高く、総額表示が義務化されれば、これらをすべて修正しなければならず、多額の経費を負担しなければなりません。

    さらには、取次会社や全国の小売書店においても、負担を余儀なくされます。全国で減少し続ける小売り書店を、今以上に減少させては出版文化が根底から崩れかねません。

    そもそも「福祉に資する」名目で導入された消費税が、大企業優遇への大幅減税分や不要な武器の購入に充てられている現実は、すでに多くの国民の知るところです。そのうえ出版社にとっては、消費税率が3%→5%→8%→10%と上がる中で、本の内容にかけるべき予算を、改訂対応にかけなくてはならない無駄が強要されることになります。

    出版社・取次会社・小売り書店で働く労働者で組織する出版労連にも、経費負担による廃業や解雇などへの不安を訴える声が多数寄せられています。

    出版労連は、憲法が保障する「出版・表現の自由」に則り、出版物の多様性という豊かな文化を維持し発展させる観点からも、総額表示の義務化に抗議するとともに、外税表示法式の再延長を求めます。

     

    以上

  • 「教科書レポート2020」を発行しました

    「教科書レポート2020」を発行しました


    「教科書レポート2020」を発行しました。

    チラシと申込み書は以下ダウンロードお願いします
    ↓↓↓
    【チラシ】教科書レポート2020



    No.63 / 2020年
    価格 本体1,100 円+税

    〈目次〉
    特集1 2019年度 中学校教科書検定
    ―新学習指導要領初の検定で意見数は全体に減少傾向―
    特集2 杉本判決から50年、あらためて家永教科書裁判を考える

    「GIGAスクール構想」の現在と今後
    過酷さをます教科書職場の実態―検定・採択制度変更、デジタル教科書、新型コロナウイルス―
    教科書価格適正化のとりくみ
    国連自由権委員会をも欺く日本政府の姿勢―教科書検定に「政治的意図が介入しない」という虚偽
    育鵬社・自由社・令和書籍―執用に検定審製を繰り返す歴史修正主義派―
    変わらない日本教科書の内容―教育の営みと無縁の復古主義的徳目の押しつけ-
    新型コロナウイルス感染問題と教科書
    〈資料〉
    2019年度 教科書検定内容 -中学校
    2020年度用小・中・高校教科書の採択結果
    〈資料〉2020年度用小学校・高等学校教科書の採択データ
    〈速報〉育鵬社・自由社・日本教科書の採択結果-壊滅的激減の中で新規採択も




  • 135回定期大会特別声明/ハラスメント根絶

    135回定期大会特別声明/ハラスメント根絶

    ハラスメント根絶特別声明

     

    PDF:200827特別声明・ハラスメント根絶 

     

     私たち出版労連は、3年間にわたってハラスメント根絶を重点課題として取り組んできました。ハラスメントは命の問題だからです。経営に対しては、「あらゆるハラスメントの根絶を宣言する」ことを求め、宣言書への社長のサインを求めることを方針にかかげてきました。組合内部においても学習会を重ねてきました。繰り返しハラスメントの問題を取り上げることで、ハラスメントがときに人格を否定する、深刻な人権侵害であるとの問題意識は組合の中に広く浸透してきていると思います。それでもなお、今日もまたハラスメント根絶宣言の特別声明を出さざるをえないこの状況を残念に思います。しかし、この現実を受け止め、諦めることなく私たちの理性と知性とをもって、勇気をもって傍観者を卒業し、声を掛け合い、あらゆるハラスメントに対して毅然とした態度を貫き通しましょう。

     

     「ハラスメントはあってはならないこと」と誰もが認めることであるのに、なぜ繰り返されるのでしょうか。ハラスメントは弱者へ向かいます。すべての人が何らかの立場の優位性を持っています。そのことを、忘れずに他者に向き合うことも大切です。セクシュアルハラスメントの背景には、女性差別が大きく関わっていると言われています。社会的地位が相対的に低い女性はハラスメント被害に遭いやすいのです。同じように、雇用の不安定な契約社員や派遣社員も職場における力学上弱い立場にあるがため、パワーハラスメントの被害に遭いやすいことが指摘されています。ハラスメントを根絶するためには、ハラスメントが起きやすい土壌を一掃することも求められるのです。
     労働者の待遇差の改善、雇用の安定、さらに女性やLGBTに対する差別的取扱いの撤廃など、これまでの組合の要求ととりくみを、絶え間なく強力に押し進めていくことが、ハラスメント根絶の一歩となります。

     

     コロナ禍の中、人と人との接触が極端に減っています。社会の前提が覆りました。組合活動も縮小せざるを得ない状況ですが、工夫を重ね、試行錯誤しながら新しい進め方を実践し始めています。一方、経済活動の縮小に伴い雇用関係は不安定さを増してきています。在宅勤務やリモートワークの緊急導入など、働く場や働き方が大きく変容しているいま、従来のハラスメントに加え、周囲が気付きにくいハラスメント、いままでとは違うハラスメントが発生しやすい状況だと推測されます。こんなときだからこそ、いつも以上に周囲に目を配り、ハラスメントの種を蒔かれないよう、ハラスメントの芽を摘んでいく細やかな行動が組合に求められているのです。ハラスメントは人を孤立させたり、離職や、命の危機へ追いつめることもある深刻な人権侵害です。そのことを常に胸におきつつ、コロナ禍による自粛によってハラスメントを見過ごすことのないよう、みんなで協力し合いましょう。

     

    2020年8月27日
    日本出版労働組合連合会
    第135回定期大会

  • 135回定期大会特別声明/取次労働者の雇用確保に向けて力を合わせよう

    135回定期大会特別声明/取次労働者の雇用確保に向けて力を合わせよう

    特別声明 取次労働者の雇用確保に向けて力を合わせよう

    PDF:200827特別声明・出版流通

     新型コロナウイルスの感染拡大は、出版産業にも多大な影響を及ぼしています。4月の緊急事態宣言発令下では、書店の休業・時短営業、ネット書店での入荷制限などが行われ、出版流通にも大きな混乱が生じました。このようななかでも、書籍や雑誌の流通は何とか機能しつづけています。それを支えているのは、出版流通の現場で働くたくさんの労働者です。
     しかし、かねて出版流通の現場には、低賃金と劣悪な労働条件、不安定な雇用が広がっています。出版情報関連ユニオンに加入した、大手取次の現場で働く非正規労働者は、ほとんどが都県の最低賃金で働いており、ダブルワークで生活をつないでいる仲間もいます。現場ではしばしばパワハラ・セクハラ事案も起きています。
     そのようななかで組合員たちは、長年の粘り強いとりくみによって、雇用契約期間の延長、社会保険への加入、ハラスメント根絶宣言への社長署名、パワハラを伴う退職強要の撤回などを勝ち取ってきました。私たち出版労連は、取次非正規労働者の権利向上を、産業新生の課題としても位置づけ、出版関連産業全体に向けてとりくみを呼びかけてきました。
     新型コロナウイルスの感染が拡大するなかでも、在宅勤務とは無縁で、会社によるマスク配布さえ不充分ななかで、彼ら・彼女らは感染のリスクを冒して働きつづけ、出版流通を支えています。生活できる賃金、安心して働ける職場環境を実現するために、いっそう力を合わせていくことを、あらためて呼びかけます。

     

     2019年4月、日販とトーハンは、物流拠点の「協業化」(統廃合)を進めていくと発表しました。その「第1弾」として、トーハン・加須事業所(東京ロジスティックスセンター)で行われている雑誌返品業務を、2021年3月までに日販・蓮田事業所(出版共同流通・蓮田センター)にすべて移すとされています。
     この加須事業所には、出版情報関連ユニオンの組合員が10人います。加須事業所にはこうした非正規労働者が600人ほど働いていると見られ、今回の統廃合はその雇用と生活に直結します。また、組合員のいる日販・王子流通センターをはじめ、他の事業所でも今後、「協業化」を進めていくと発表されています。
     組合員たちは、団体交渉で経営側の雇用責任を確認するとともに、雇用契約の無期転換のいっせい申し込み(勤続5年未満の者を含む約40名、全員受理)を行うなど、積極的にとりくみを進めています。自分自身の生活に不安を抱えながらも、同じ現場で働くすべての仲間の雇用を守るために尽力しています。
     現場で汗を流して働く労働者たちに、これ以上の雇用・労働条件悪化を強いることは許されません。私たちは、取次労働者の雇用と生活を守り、賃金・労働条件を改善するために、いっそう力をそそぐとともに、引き続き、出版関連産業に携わるすべての人々に協力を呼びかけます。

     

    以上

    2020 年 8 月 27 日
    日本出版労働組合連合会
     第 135 回定期大会

  • 135回定期大会/大会声明

    135回定期大会/大会声明

    出版労連第135回定期大会

    大会声明

    PDF:200827大会声明

     

     本日、私たちは第135回定期大会を開催し今期1年間の運動方針を確認しました。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的蔓延を受け、私たちの働く出版業界の職場もさまざまな変化にさらされています。この大会もオンラインでの配信というかつてないかたちで行わざるを得なかったように、労働組合の活 動の在り方も変わらざるを得ません。
     しかし、私たちの産業を魅力的なものとして発展させ私たちがよりよい仕事をしていくことに資するという出版労連の根本の方針、そして私たちがこれまで取り組んできた課題の重要性は変わりません。
     雑誌をはじめとした紙媒体の不振が続く一方で電子書籍の売り上げは伸び、流通面でも大手取次の協業化など私たちの産業はいま大きな変化にさらされています。人の動きが制限されるなか客足が遠のく書店、イベント等の自粛によって仕事が失われたフリーランスの仲間たち、等々、新たに深刻かつ喫緊の課題もでてきています。今後どのような影響が私たちの産業・社会に現れてくるのか注視していかなくてはなりません。
     今回の大会では、代議員の皆さんから13の事前発言(うち代議員3、特別代議員10)と4つの当日発言(うち代議員3、特別代議員1)をいただきました。

     

    ●産業にかかわる問題では、トーハンと日販の物流センターの協業化にともなう取次現場で働く出版情報関連ユニオンの仲間の状況や、雇用を確保するためのユニオンのとりくみが紹介されたほか、産業状況を把握するためのとりくみが紹介されました。

    ●職場環境や働き方にかかわっては、コロナ禍のもとでも安心して働ける権利の確保や、在宅勤務のルールづくり、評価・査定制度の導入に対する懸念について具体的な事例と労使交渉の紹介、など新しい課題や問題について発言がありました。また、男性優位をあらためるために「35歳モデル」の見直しの提案や、ハラスメント対策、長時間労働対策など、従来からの重要課題についても発言がありました。

    ●言論・表現の自由やそれを保障する憲法、コロナ禍のもとでICT化される学校現場などの教育・教科書の問題、汚染水放出など原発をめぐる問題、などについても現状やとりくみが紹介されました。

    ●定年延長については、賃金・社会保障対策部から定年延長についての考えを深めるためのこれまでのとりくみが紹介されたほか、定年延長だけが「年金問題」への対応ではないとの指摘や、要求化してもなかなかとりくみが進まない現状について分析が必要との意見もありました。

     

     変わりつつある出版産業、コロナ禍のもとで導入が進む新しい働き方、私たち労働組合が果たすべき役割はこれまで以上に大きなものになっているといえます。従来と同様の活動ができないからとあきらめている場合ではありません。
     今大会でもコロナ禍のもとでの組合活動の工夫について触れた発言がいくつかありました。そういった工夫をさらに重ねて新しい活動の在り方を考えましょう。リアルの集会では参加が難しかった仲間がオンラインで参加できるようになるといった、これまでにないメリットも見つかるかもしれません。
     職場に在宅勤務など新しい働き方で困っている仲間はいないでしょうか? 直接会って話せなくてもそういった仲間の声を拾い上げる方法を模索しましょう。誰かの「困った」を解決する方法を工夫しましょう。そういった声や工夫をぜひ出版労連へお寄せください。それは確実に他の職場の人たちの、そして私たちの今後の活動にとっての大きな力となるはずです。皆の結集で新しい出版労連をつくりあげていきましょう。

    以上

    2020年8月27日

    日本出版労働組合連合会
    中央執行委員会