教科書記述への権力的介入への抗議文について 2021年6月30日 出版労連・教科書対策部
教科書対策部は、内閣が閣議決定で「従軍慰安婦」「強制連行」などの用語を変更したことに対し、5月20日付で抗議文を菅首相と萩生田文科相に送付しました。 閣議決定は「維新の会」議員による質問主意書に応えたもので、「従軍慰安婦」などを「慰安婦」に、「強制連行」「強制労働」は「徴用」に変更しました。日本の戦争加害責任がなかったかのように変更したのです。 小中社会科と高校地歴・公民教科書の検定基準は「閣議決定など政府の統一的な見解や最高裁判例など」に従った記述を載せろとされており、教科書記述を閣議決定どおりにしろというのがねらいです。 教科書記述の変更には「訂正申請」という手続きが必要です。文科省は国会論戦の直後、該当する教科書発行者に対し異例の「説明会」を開き、訂正申請のスケジュールを示しました。訂正申請しなければ、文科大臣による「訂正勧告」もありうるとも述べています。事実上の圧力にほかなりません。 一方で、国会でも説明会でも、文科省は「最高裁の判例」には頬かむりですが、「日本軍慰安婦」など、日本政府の責任を明示する語を使った判例もあることが、野党の論戦で明らかにされています。 このようなやり方は教科書に対する圧力にとどまらず、憲法が保障する言論・表現・出版の自由や学問の自由をふみにじるものであり、出版という私たちの営み全体に対する許しがたい攻撃です。組合員のみなさんの理解と協力を訴えます。
2021年5月20日 内閣総理大臣 菅義偉 殿 文部科学大臣 萩生田光一 殿 日本出版労働組合連合会 教科書対策部 【抗議文】「従軍慰安婦」「強制連行」に関する教科書記述への権力的介入をやめよ PDF:210519_kyoukasho_kougiseimei
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