出版および出版関連産業ではたらく人々の労働組合連合体

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第139回定期大会大会宣言

大会宣言

   私たちは、この第139回定期大会で「賃金・労働条件を向上させ、働きやすい職場をつくろう/ハラスメント根絶、ジェンダー平等、フリーランスの権利向上を/平和と民主主義、言論・出版・表現の自由を守ろう」をスローガンとして掲げるなか、2023年度の運動方針案について討議してきました。  「戦争が廊下の奥に立つてゐた」かつて中学校の国語教科書に掲載されていた渡辺白泉の俳句です。戦争に関するニュースが毎日、大きく報道されるなか、先の参議院選挙では「改憲4党」と呼ばれる勢力が、改憲発議に必要な3分の2を確保しました。私たちは日中戦争のころにつくられた、治安維持法違反の嫌疑で投獄されたという渡辺白泉の句から、出版労連にとって平和に対するとりくみとは何か、今、あらためて考えることが大切ではないかと考えます。  映画「教育と愛国」で描かれたように教科書に対する権力の介入が今、大きな問題になっています。私たちは2023年度も引き続き、言論・出版・表現の自由を守る活動にとりくんでいきましょう。また、先の参院選では、街頭演説中の安倍元首相が銃で撃たれ死亡するという事件が起きました。私たちはあらゆる暴力に抗していきましょう。  コロナ禍の影響は未だ大きいのですが、出版業界は雑誌の売上減、書店の減少などの課題がある一方、紙の書籍の売上が15年振りの増加となり、コミックスを中心に電子での売上が好調で、中小を含めた出版業界全体とはいかないまでも、一筋の光が見え始めています。2023年度も引き続きオンラインも利用した対話もとり入れて、賃上げ、労働条件の改善に積極的にとりくみましょう。  取材活動中に長崎市の部長から性暴力を受けたとして市に損害賠償を求めた裁判で、長崎地裁は記者の訴えを認め、約1,975万円の支払いを市に命じました。出版労連でも、ハラスメントの被害者にも加害者にもならないために、引き続きジェンダー平等に対するとりくみをすすめていきましょう。  本日の定期大会では、9名の代議員、2名の特別代議員から発言がありました。また、事前発言として3名の特別代議員から文書発言がありました。例えば、次のような内容です。 ●賃金とは何かを考えたい。在宅勤務を検討。事実婚の場合の社会保障に配慮を。リストラ後の組合活動、若い人が参加できる組合活動を。大手の出版社の組合、管理職にも声掛けを。 出版労連の加盟組合数、組合員数の減少。大きな課題がある。具体的なとりくみを。 ●争議支援では、フリーライターAさんの裁判の画期的な判決、美々卯スラップ訴訟の納得できる和解があった。一方、二玄社では新たに解雇争議が発生した。桐原争議も、会社側が和解を拒み継続中、争議の全面解決を目指す。 ●教科書価格については、デジタル教科書のことも検討してほしい。紙の教科書の価格は販売管理費も考えてほしい。従軍慰安婦など教科書をめぐる状況。教科書会社の淘汰。 ●取次現場の管理強化、賃金・コストカット、労働環境の問題。宣伝活動への支援を。出版業界のパワハラ・セクハラの問題へのとりくみを。フリーランスの労災の問題の検討を。 ●20周年を迎えた出版ユニオンでは、労働相談に対応、イベントとの開催など活発な活動を行った。  課題は多岐にわたり、すべてを容易に解決できるものではありませんが、本日の討議の中で問題を共有し、ともに努力し合うことを確認しました。  出版業界は今、大きな転換期を迎えています。また、戦争や長引くコロナ禍は私たちの生活に、物価高など大きな影響を及ぼしています。さらにハラスメントやテレワーク、長時間労働、非正規やフリーランスの賃金・報酬の問題など、労働環境の面でも解決すべき多くの課題があります。そのようななか、労働組合は世代交代やリアルな会議が行えないなどの課題を抱えつつも、日々の生活や仕事とも両立させながら、知恵を出し合い、力を合わせて真摯に活動にとりくんでいます。その努力は必ずや実を結び、大きな花を咲かせることでしょう。  今、「時代が労働組合を欲している」という見方もできます。私たちは出版に携わる者の労働組合として、未来に向けてもっと議論を深め、広く発信し、より多くの人とつながって、平和で豊かな社会をつくっていかなければなりません。夢を追い求めることをあきらめることなく、ともに一歩ずつ前にすすんでいきましょう。 以上、宣言します。  

2022年7月15日連合会 第139回定期大会 日本出版労働組合 PDF:220715大会宣言

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