お知らせ
第138回臨時大会 2022年春闘宣言
2022年春闘宣言 発生から2年以上となる新型コロナウイルス感染症により、世界全体が生活様式の変化を求められています。私たちの労働運動にも多大な影響をもたらし多くの困難も抱えています。収束はいまだに全く見通せませんが、コロナ後を見据えよりよい社会を築くために今できることを考えながら行動していかなければなりません。 平成以降30年以上にわたり日本の賃金は下がり続けています。世界ではこの間着実に賃金が上昇しており、韓国にも抜かれてOECD各国内で最下位近くにまで下落してしまいました。また、長年の政府による円安誘導によって、輸入品が相対的に高額となり様々な生活必需品も値上がりし続けています。その一方で企業の内部留保は9年連続で最高を更新し続け2020年度末には484兆円に達しています。残念ながらトリクルダウンなどは1滴も落ちてはきません。このようななか2022年春闘でも賃上げ・一時金にこだわったとりくみを求めています。ここ数年官製春闘が取りざたされていますが、私たちが主体的に行動しなければ状況は改善しません。最低生計費が上昇し続ける中で最低賃金も全国一律1,500円への引き上げが必要です。さらに生涯賃金の観点から初任給の引き上げも大切な課題となっています。 職場環境、労働条件の向上も大切です。コロナ禍で在宅勤務や時差出勤などが多くの職場で緊急的に導入されましたが、恒常的な制度としても合理性が明らかになってきているのではないでしょうか。労働法制改定にともない労働時間の把握が会社の法的義務となりました。過大な長時間労働など見直しを求めましょう。36協定を交渉カードとして活用することもできます。また、中小企業にも適用されたパートタイム・有期雇用労働法を背景に非正規労働者の条件改善にもとりくみましょう。 パワハラ防止法が4月から中小企業にも適用され、ハラスメントの防止も会社の義務となります。ルール作りと適切な運用を行うためにも「ハラスメント防止・根絶要求書」を提出し具体的な根絶対策を求めていきましょう。セクシュアルマイノリティの権利拡充やジェンダー平等の実現もまだまだ不十分です。現在の労働条件などを点検してみましょう。 定年延長についてはいまだに労連として統一した方針を出すまでに至っていませんが、年金支給が先送りされそれまでの生活をどうするか、継続雇用制度も含め真剣に考えていかなければなりません。 非正規労働者の中でも取次ぎで働くなかまの労働条件は特に低く抑えられています。賃金は最低賃金と同水準で、さらなる人件費削減のためシフトカットや早帰しをされることもあります。法律も活用して改善にとりくみましょう。フリーランスは報酬の10%アップを求めています。また、労働者性の拡大、「いきなり切らない」、インボイス制度適用見直しなど、安心して働ける環境を目指しましょう。 昨年の衆院選でいわゆる改憲勢力が発議に必要な3分の2を超える議席を得ました。これにより改憲への動きが活発になり今年の参院選と同時の国民投票を目指す声も出ています。憲法に縛られる立場の政府が国民を無視して改憲を進めることは許されません。まずは今の憲法を遵守させ言論・出版・表現の自由を守りましょう。また、憲法を守り活かすための諸行動にとりくみましょう。 世界では米中対立やウクライナ危機などきわめて危険な状況に進んでいます。気候変動も待ったなしで進んでいます。コロナ禍のなかで格差が広がり上位1%の富裕層が世界の個人資産の4割近くを占めるに至りました。日本ではジェンダー平等は全く進まず、外国人は入管で死に追いやられ人権もない状態です。出版界でも業績による格差、コロナ対応における格差などが広がっています。SNSの定着によっても人のつながりより分断が深まっているように感じられます。このような状況下で私たち労働者は団結して行動することが必要です。「ピアソン桐原争議」「二玄社争議」「フリーライターAさんのハラスメントおよび契約料不払い訴訟」「美々卯スラップ訴訟」など多くの争議も発生しています。出版労連の運動はますます重要となっています。私たちの地道な活動が世界をより良い方向に動かしていくことができると信じます。 以上2022年1月27日 日本出版労働組合連合会 第138回臨時大会
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