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■ ユニオン組合員のための
  東京出版最低賃金についての基礎的Q&A ■



(1)  基本的なことは,どこを見たら分かりますか。参考資料もあれば教えてください。

・とりあえず,出版労連のWeb で該当ページをご覧ください。
・参考として,東京労働局のWeb もあります。
・くわしくは,労務安全情報センター「最低賃金のQ&A-2009年版」を。


(2) 産業別の最低賃金の意義は,どこにあるのでしょうか。

・産業別に形成される賃金相場の下支えと,公正競争確保という二つの意味合いをもっています。

・出版産業での最低賃金(出版最低賃金)では,マスコミ他産業との関連で(優秀な)「人材」確保(これも公正競争の一つか)のためにも,産業別の最低賃金が必要と主張しています。


(3) 出版最低賃金は,東京以外にありますか。

・出版社は全国にありますが,出版最低賃金は全国で東京のみとなっています。前身の出版印刷業の最低賃金は,京都と東京にありましたが,新最低賃金制度導入の時点で,東京は,地場産業としての出版業に限定されました。

・京都になぜ印刷最低賃金が残ったのかは,不明です(要調査)。


(4) 京都や大阪などの地方で新しく出版最低賃金の運動を始めることはできますか。

・産業別最低賃金は,08年の法改正によって制度が変わり,正式には特定最低賃金とよばれます。新しい特定最低賃金を設定しようとしても,使用者側がちょっとでも反対すれば,成立しません。

・そのため,新しく設定するのは事実上,無理です。


(5) 出版情報関連ユニオンの場合,東京出版最低賃金の運動にどのように関わることができるでしょうか。ユニオン本部の大会決議で賛同の決議をして,署名を集約することはできるのでしょうか。

・それはできません。

・産業別最低賃金の基礎単位は「企業別」となっており,ユニオンのような個人加盟組織にまだ対応していません。したがって,「企業別組合」の決議が必要とされます。

・署名用紙にしても,職場ごとにとるように,個人署名のあとに,「職場名」「事業所所在地」を記入することになります。


(6) ユニオン本部の大会決議では難しいなら,各支部単位で大会,支部総会などの大会決議は,ダメなのでしょうか。支部単位で賛同署名数を積み上げていくという方法で進めていくことは,可能なのでしょうか。

・上記のように「企業別」でない限り,労働局はユニオンを基礎単位の労働組合として認めてくれません。

・ユニオンでは,職場で会社側と最低賃金協定を結んでいるところはかなり少ないので,協定のないところでは,一人一人の賛同の署名を集めていくことが必要です。


(7) 東京出版最低賃金の運動で,賛同の署名ができる人の資格は,どうなっているでしょうか。

・署名した時点で18〜64歳であり,6か月以上の雇用契約で,東京都内に所在地をもつ出版業の事業所に勤務していればいいのです。

・くわしくは,次のとおり。
・東京都内の出版業の事業所に勤務する人が対象です。
・都内に住んでいなくても,OKです。
・東京都内に本社がある会社の,大阪支社の人は,資格はありません。
・東京都外に本社がある会社の,東京支社の人は,資格があります。
・出版社とは,登記簿に出版業と記載されていることが必要です。
・年齢は,署名時点で18〜64歳の人。
・署名時点で勤務をしていたが,署名提出時点(だいたい7月上旬)で退職していてもかまいません。


(8) 出版労連のWebでは,賛同署名ができるのは,正社員のほか,「六か月以上の長期アルバイト」と書いてありましたが,パート,契約社員などの非正規一般の人はどうなるんでしょうか。

・正確には「六か月以上」の雇用契約を締結して勤務をしている人となります。これはすべての法律にあてはまりますが,「雇用」ですから,正規,アルバイト,パート,嘱託,契約社員などの呼称はあまり意味がありません。「雇用契約」と「その期間」の問題です。

・「六か月以上」契約をしていればよいので,契約中はOKですが,退職後はダメです。

・ネッツの組合員のようなフリーの請負契約者は,範囲に入りません。


(9) 東京出版最低賃金が設定されると,取次とか書店の労働者にも適用されるのでしょうか。

・適用範囲は,産業分類(日本標準産業分類)によって定められます。出版業は,業種番号「G-414出版業」となっています。出版は,以前は,製造業に分類されてきましたが,2002年改定で情報通信業に分類されました。

・ちなみに,G=情報通信業の中で,37=通信業,38=放送業,39=情報サービス業,40=インターネット付随サービス業,41=映像・音声・文字情報制作業,と分類されます。そのG41の中の“出版業”だけに適用されます。

・取次は,I-50 各種商品卸売業,書店は,I-56 各種商品小売業 に分類されますので,適用されません。


(10) 自分の職場が東京出版最低賃金に違反している場合は,どうしたらよいでしょうか。

・地域別最低賃金の場合,違反したときは,経営者に罰金が科されることがあります。産業別最低賃金の場合は,特定最低賃金にかわってから,違反した経営者に最低賃金法による罰金が科されることはなくなりました。しかし,賃金の全額払いを定めた労働基準法に違反しますので,その罰則はありますし,労働者や労働局から指摘されたら,最低賃金まではきちんと支払わなければなりません。

・ただ,労働者は一人で交渉しても立場が弱いので,不利益な扱いを受けることも予想されます。ぜひユニオンに相談してください。

・チラシや掲示板などで募集をしている出版社が,出版最低賃金に違反しているときは,匿名でかまいませんので,労働局に通報することもできます。もちろん,労働局へ正式に申告することもできます。

・もし,そこで仕事をしたいと考えているなら,賃金をアップさせてから,入社しましょう。
・しかし,出版最低賃金は,地域別最低賃金よりは高いと言っても,やはりかなり低額です。ワーキングプアになることは,目に見えています。
・したがって,東京出版最低賃金を引き上げる取り組みと同時に,全国一律最低賃金を大幅にアップさせ,いちばん下から賃金の底上げをはかっていくことも求められています。


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