出版情報関連ユニオン(関西)の歩み
■ 1999(平成11)年
・3月、京都書院の労働者から賃金欠配問題で相談。
・4月17日、個人加盟の「出版ユニオン関西」発足。
→京都書院の労働者が加盟。
・6月、京都書院が倒産。→労働債権確保
・釣りサンデーグループが出版ユニオン関西(大阪支部)に加盟。
・7月、Y書店の労働者から労働相談。
■ 2000(平成12)年
・金芳堂グループが出版ユニオン関西(京都支部)に加盟。
【その他の出来事】 鷺書房,駸々堂書店,駸々堂出版が自己破産を申請。
■ 2001(平成13)年
【その他の出来事】 啓林館労組、定昇制度廃止問題発生。→定昇制度維持で解決/鷺書房労組、駸々堂出版労組が会社倒産に伴って解散。
■ 2003(平成15)年
・東方出版、銀行研修社大阪支社の労働者が出版ユニオン関西(大阪支部)に加盟。
・10月、週刊釣りサンデー会社解散。
→労働債権確保
【その他の出来事】 洋書販売の東光堂自己破産、大阪営業所閉鎖、組合解散。
■ 2004(平成16)年
・「出版情報関連ユニオン」と「出版ユニオン関西」、文英堂労組,中央図書出版社労組などが組織統一。
→「出版情報関連ユニオン大阪支部」「出版情報関連ユニオン京都支部」が発足。
・法研関西の管理職2名がイジメ,退職強要,不利益扱いで加盟。
・法研関西で雇い止め・解雇問題発生。当該1名が加盟(大阪支部)。→公然化し交渉の末、和解解決。
【その他の出来事】 増進堂で解雇事件発生。→和解解決。
■ 2005(平成17)年
・H書店から1名が加盟(京都支部)。→非通知のまま,当該が退職,脱退。
・新学社の子会社(株)ポピーから2名が加盟。
→その後,その2名をふくむポピー労働組合(上部団体なし)も結成される。新学社徳島支社の出版労連新学社労組とともに交渉し、リストラ提案を完全撤回させる。
→現在、当該は(株)新学社に戻る。
【その他の出来事】 新学社5項目「合理化」提案問題(徳島支社存続など)発生。→決着/増進堂で新人事・賃金制度導入提案問題発生。→現在も継続中。
■ 2006(平成18)年
【その他の出来事】 全印総連京都地連と出版労連京都地協で「全京都 印刷・出版関連労働者ネットワーク」(略称・京都印刷・出版ネット)が発足。
■ 2008(平成20)年
・シミュレーションジャーナルから1名が加盟(京都支部)。→会社に通知後に解雇通告。交渉し和解解決。→09年,大阪支部に移籍。
・ニホンミックからイジメ・不利益扱い・退職勧奨で当該1名が加盟(大阪支部)。→交渉の末、和解解決。
・東方出版が民事再生を申請。→翌09年当該組合員退職。交渉により退職金満額確保。
【その他の出来事】 出版労連が結成50周年を迎える。
■ 2009(平成21)年
・全音楽譜労組がユニオンと二重加盟に。
・メディカ出版から退職勧奨で1名が加盟(大阪支部)。→交渉の末、和解解決。
・極東書店労組より二重加盟で1名加盟(京都支部)。
・労働相談から1名が加盟(京都支部)。
【この年の主な出来事】桐原ユニオン、大阪書籍労組が出版労連に加盟。
おもなトピック
■ 京都書院のこと
(依田敏夫)
京都の中京区堀川三条を上がったところに京都書院という出版社がありました。現在はそこにはマンションが建っています。1999年の初めごろ,京都書院に働く人から「給料が何カ月も支払われてない」という相談を受けました。話を聞くうちに,これは労働組合をつくって会社と交渉しないと労働債権が確保できない事件だということがわかりました。当該の労働者としては労働組合をつくるということにはなりにくく,またすぐに労働組合を立ち上げて交渉しなければならなかったので,急きょ個人加盟の労働組合をつくり,そこに京都書院のみなさんに加盟してもらいました。これが関西出版関連労働組合(出版ユニオン関西)で1999年4月のことでした。組合の運営は出版労連の京都地協・大阪地協の役員が当たりました。この組合との交渉で京都書院は任意整理の道を選び,会社は組合に売掛金などの債権を譲渡しました。組合は京都第一法律事務所の弁護士さんの協力を得て,債権を回収し組合員(京都書院の労働者)に支払いました。これ以外にも労働福祉事業団の立替払い制度を利用し(そのために労基署に何回も行くことになりました),未払い賃金・退職金を確保するために取り組みました。
2000年の初めには立替払いも認められ,組合員はそれぞれ新たな人生に向かって進んで行きました。
京都書院の事件への取り組みは,個人加盟の組合をスタートさせる契機になったことで,意義のある活動でした。
■ 釣りサンデーのこと
(四元秀敏)
2003年10月19日、経営から組合に団体交渉の申し入れがありました。前例のない申し入れに、ただならぬ緊張感が走りましたが、果たして、団交当日、経営から切り出されたのは、「会社の任意清算による解散」という最悪のシナリオでした。すでに解散を議案にする臨時株主総会の招集をかけたとのことで、後戻りできない状況、社員に対して事前に一切の説明もないままの強行でした。長時間過密労働が続く中、企業内組合を立ち上げるべく勉強会を続けていたところに、出版ユニオン関西が結成され、単組と個人加盟組合の違いもよく分からないままユニオンに加盟。「車中泊とは運転して行った車の中での仮眠ではない事件」や「年末一時金1万円闘争」など漫画のような出来事もありましたが、会社解散時にはユニオン執行部、大阪・京都地協、労連本部の皆さんの強力な支援のもと、労働債権を確保することができ、路頭に迷うことなく年を越すことができました。
■ 組織統一のこと (元中央図書労組 水野恒和)
正直に言って,「単組からユニオンへ」というのは,よく理解できませんでした。「なんで?」という感じでした。「単組として,これ以上,組合員が増えそうもないし,ユニオンになったら組合員が増えるかも?」とか「文英堂労組と一緒になるんだから,なにかいいことがあるかも?」ぐらいの,かすかな「希望」を持って,ユニオンに参加しました。
これらの「希望」は「はかない夢」に終わりましたが,いま考えると,あの時にユニオンに参加して本当によかったと思います。ユニオン京都に「現役」の組合員が一人もおらず,単組所属の二重加盟の組合員だけの「母体」では,入ってくる組合員に対しての「重み」が違います。私たちが「礎」になったからこそ,その後のユニオン京都の「発展」があったと思います。東京の仲間との交流もたいへん貴重な経験です。
これからも,新しく入ってくる組合員と「同じ視点」で,問題に対応していきたいと思っています。
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