地域最賃の引き上げを-時給1,500円をめざして

 7月に、中央最賃審議会で目安が示され、8月には各都道府県の審議会で地域最賃が改定される、「最賃の季節」がやってきました。

[最低賃金って? ]

 最低賃金制度は、最低賃金法を根拠に国が賃金の最低額を決めて、最低賃金以上の賃金を労働者に支払うことを経営者に義務づけるものです。 最低賃金は、都道府県ごとに決めた「地域別最低賃金(地域最賃)」と、個別の産業の労働者に適用する「特定(産業別)最低賃金(特定最賃)」の2種類があります。特定最賃は、地域最賃より高い金額に設定されます。

[最賃はセーフティネット]  

 地域最賃は、パート、アルバイト、契約、派遣など雇用形態に関係なくすべての労働者に適用されます。出版ユニオンに加入する取次非正規の仲間の多くが地域最賃と同額で働いています。毎年改定される地域最賃の引き上げが賃上げとなります。地域最賃は、まさにセーフティネットとして労働者の最低限の生活を下支えしています。この間の運動により、東京都地域最賃は10年間で192円(+25.1%)の引き上げとなっています。

[最賃はどうやって決まるの?]  

 中央最賃審議会が定める目安額が各都道府県の地方最賃審議会に伝えられます。地方最賃審議会は、目安額や、地域の賃金実態、労働組合から出される意見などを参考にして審議・決定をします。最賃審 議会は、公益代表、経営者代表、労働者代表の三者で構成されています。私たちがとりくんでいる署名の数なども、引き上げを推進する大きな力となります。

[最賃制度の課題]

 現在、東京都地域最賃は全国最高額の時給1,013円です。1日8時間、週5日働いても年収200万円程にしかなりません。これでは、憲法で保障されている健康で文化的な最低限の生活はできません。標準生計費(標準的な生活にかかるお金)からみても、早急に時給1,500円に引き上げる必要があります。 また、各都道府県の標準生計費と最賃額はリンクしていません。東京と埼玉では、埼玉の標準生計費が1割以上高いのですが、最賃では1割近く低くなるという逆転現象も起きています。コンビニやファーストフードで販売している価格は同じなのに、働いている人の最賃額は、最高額の東京と、最低額の沖縄など8県とでは、時給が221円も差があります。年収では46万円以上の差となります。全国一律最賃制度の確立も、急務です。 出版労連と出版ユニオンは、地域最賃の大幅な引き上げを求めて運動にとりくんでいます。ユニオンメンバーのみなさんも、署名や最賃引き上げのための諸行動に参加しましょう。