カテゴリー: 出版産業

  • 出版ネッツ「常駐フリーアンケート調査」の実施について

    出版ネッツ「常駐フリーアンケート調査」の実施について

    出版労連・ユニオン出版ネットワーク(出版ネッツ)による「常駐フリーアンケート調査」を実施しています。出版社等に出向いて働くフリーランス(常駐フリー)の方はご記入ください。

     

    出版労連・出版ネッツ:常駐フリーアンケート調査【外部リンク】

    アンケート回答期間:2022年12月16日~2023年2月10日 220日まで

     

    名称:「常駐フリーアンケート調査」
    対象者:出版社等に出向いて働くフリーランス(常駐フリー)

    〈常駐フリーの定義(仮)〉
    業務委託契約や請負契約を結んで働いている人で、以下の①~③のすべてに当てはまる人のことです。

    • ①指定された場所で仕事をしていること(基本は出版社等に出向いて社員の指示のもとで働いている人を指すが、コロナ禍により在宅勤務を許されている場合は指定された場所を自宅と考えてよい)
    • ②1社について、1週間20時間以上、または月80時間以上就業していること
    • ③1カ月以上の業務継続が見込まれること

    ※契約社員(雇用)と常駐フリーの見分け方:常駐フリーは労働保険(雇用保険と労災保険)に加入していない。源泉徴収されていても、発行されるのは源泉徴収票ではなく支払調書である。

     

    調査目的
    フリーランスの働き方は多様だが、出版業界には「常駐フリー」と呼ばれる、雇用労働者とあまり変わらない働き方をしている人たちがいる。2022年9月、出版ネッツは「常駐フリーアンケート調査&聞き取り調査」を行い、報告書を公表した。サンプル数は少ないが、そこから常駐フリーのさまざまな実態、ニーズ、課題が見えてきた。
    常駐フリーの権利・条件の向上や課題解決のためには、まずは常駐フリーの実態を「見える化」する必要がある。そのためのアンケート調査である。常駐フリーの組織化も視野に入れて取り組みたい。

    ・集計結果公表:2023年3月末~4月中旬(予定)※出版ネッツ、出版労連の公式サイトにて公表

    ・問い合わせ先:出版ネッツ総合窓口(常駐フリー) 出版労連

  • Aさん(業務委託契約報酬・ハラスメント慰謝料請求)事件 東京地方裁判所判決にあたっての声明

    Aさん(業務委託契約報酬・ハラスメント慰謝料請求)事件 東京地方裁判所判決にあたっての声明

    Aさん(業務委託契約報酬・ハラスメント慰謝料請求)事件

    東京地方裁判所判決にあたっての声明



    PDF:200525【声明】Aさん 業務委託契約報酬・ハラスメント慰謝料請求事件

     

    1 フリーライターの女性が、エステティックサロンを経営する会社に対して、業務委託契約の報酬と、セクシュアルハラスメント及びパワーハラスメントによる慰謝料の支払を求めた事件(令和2年(ワ)第17431号)の裁判において、2022(令和4)年5月25日、東京地方裁判所民事第25部(裁判長平城恭子、裁判官熊谷浩明、裁判官織田みのり)は、原告らに対して、一部認容判決を言い渡した。

     

    2 判決は、業務委託契約報酬請求について、契約の成立を認め、原告の請求を全額認容した。
    そして、原告が請求している複数のセクシュアルハラスメント及びパワーハラスメント行為について、そのほとんどの事実を認定し、慰謝料150万円を認容した。
    ハラスメント事件が一般的にそうであるように、本件も、ハラスメント行為についての客観的証拠に乏しい事案である。それでも、判決は、「美容ライターとして安定した収入を得ることを嘱望する原告が、被告会社から業務の依頼を打ち切られ、報酬の支払を受けられなくなることを恐れて、被告代表者に対してセクハラ行為等による被害を訴えず、被告代表者との間でセクハラ行為等の存在をうかがわせる内容のメッセージのやり取りをしなかった可能性も十分あり得る」として、原告の供述の信用性を肯定し、原告の主張するほとんどの事実を認定した。
    また、本件契約は雇用契約でなく業務委託契約であるが、「原告が、当時、美容ライターとして固定額の月収を得られる仕事に就いたことがなく、被告代表者から、基本給を月15万円として業務委託契約を締結し、仕事の内容や結果をみて報酬を増額することや役員ないし正社員としての採用する可能性を示唆される一方で、結果が出なければすぐに契約を終了させる旨を告げられた上で、被告代表者の指示を仰ぎながら業務を履行しており、原告が被告代表者に従属し、被告代表者が原告に優越する関係にあったものというべきである」として、被告代表者が原告に対して、ハラスメント行為の優越的地位にあることを認定した。
    そのうえで、「約7か月間にわたって、原告にバストを見せるよう求め、被告代表者の性器を触ることを要求するなどの性的な発言のみならず、原告の陰部を触り、原告の臀部に被告代表者の股間を押し付けるなどの性器への身体接触を伴うセクハラ行為を継続して行うとともに、原告に対する報酬の支払を正当な理由なく拒むという嫌がらせにより経済的な不利益を課すパワハラ行為を行ったものであり、その態様は極めて悪質である。」と断じた上、その後に原告に生じたうつ状態等の身体不調をこれらのハラスメント行為によるものと認定し、慰謝料150万円を認容した。
    また、被告代表者の不法行為責任のみならず、「実質的には、被告会社の指揮監督の下で被告会社に労務を提供する立場であったものと認められるから、被告会社は、原告に対し、原告がその生命、身体等の安全を確保しつつ労務を提供することができるよう必要な配慮をすべき信義則上の義務を負っていた」として、被告会社の安全配慮義務違反を認めた。

     

    3 フリーランスは、発注者と労働契約を締結しておらず、不安定な立場に置かれている。労働施策推進法や男女雇用機会均等法におけるパワーハラスメントやセクシュアルハラスメントの防止措置義務においても、フリーランスは対象外である。指針において、フリーランスに対しても対策を講ずるのが「望ましい」とされているにとどまる。
    このようなフリーランスに対する対策の遅れから、発注者は報酬の支払いを免れようとフリーランス(受注者)にパワーハラスメントを行う、さらには優越的立場を利用した発注者が、業務を請け負いたい・継続したいと考えるフリーランスの心理に付け込んでセクシュアルハラスメントを行うといったことが横行している。本件は、その典型的な事案である。
    本判決は、そのようなフリーランスが置かれている現状をくみ取り、フリーランスに対するセクシュアルハラスメント及びパワーハラスメントの慰謝料請求を認容した画期的な判決である。また、被告に対する不法行為責任だけでなく、被告会社の債務不履行(安全配慮義務違反)責任を認めた点も画期的である。
    ただし、判決が認定した事実に照らして、慰謝料額が150万円というのは低額であり、この点については遺憾である。
    私たちは、被告に対し、本判決を重く受け止め真摯に履行することを求める。同時に、すべての発注者に対し、発注者にはフリーランスへの安全配慮義務があることを認識し、ハラスメント防止対策などフリーランスが安全で快適に働ける就業環境の整備を行うことを求める。また、国に対しても、速やかにハラスメント防止関連法をフリーランスに適用することを求めるものである。

     

    2022(令和4)年5月25日

    日本出版労働組合連合会(出版労連)

    ユニオン出版ネットワーク(出版ネッツ)

    すべてのハラスメントにNO!フリーライターAさんの裁判を支援する会

    (Aさんを支援する会)

    Aさん(業務委託契約報酬・ハラスメント慰謝料請求)事件弁護団

     

    フリーランスへの会社の安全配慮義務を認める判決 東京地裁|NHK 首都圏のニュース
    https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20220525/1000080258.html
    フリーライターへのセクハラ認定、会社は安全配慮義務違反 東京地裁:朝日新聞デジタル
    https://www.asahi.com/articles/ASQ5T53H0Q5SULZU00P.html
    女性フリーライターへのセクハラとパワハラを認定 東京地裁 契約した会社と経営者に賠償命令:東京新聞 TOKYO Web
    https://www.tokyo-np.co.jp/amp/article/179516
    女性フリーライターへの「セクハラ」認定、会社と経営者に188万円賠償命じる 東京地裁|弁護士ドットコムニュース
    https://www.bengo4.com/c_18/n_14510/ @bengo4topicsより
  • 2021年度実施教科書検定結果についての見解

    2021年度実施教科書検定結果についての見解

    2022年4月22日
    日本出版労働組合連合会
    教科書対策部


    2021年度実施教科書検定結果についての見解

     
     
     3月29日の教科用図書検定調査審議会総会を経て、2021年度に行われた教科書検定結果が報道解禁となった。出版労連教科書対策部は、これについての見解を表明する。本見解は、各種報道によって現時点で判明しているかぎりのものであり、詳細については、今後刊行する『教科書レポート2022』(No.65)誌上で表明することとする。検定に関する情報は「静ひつな審査環境の確保」を理由に極度に秘匿されており、5月下旬頃になるまで入手困難である。このこと自体不当であり、少なくとも報道解禁と同時に公開することを求めるものである。

    1.概要
     今回も、全体としては客観的な誤りの修正が最多であった。誤記自体は弁明できないが、誤記が頻発する背景には、各教科書発行者で検定申請の日程に間に合わせるために長時間過密労働が横行していること、その原因は教科書価格があまりにも安いため、必要な人員の確保の困難さがあることを指摘しておきたい。
     後述する「国語表現」や,理科で「生物」で検定意見数が突出して多いことと合わせて,検定制度そのものの正当性を揺るがしかねない事例が見られたことは重大である。
     「令和書籍」が再申請した中学校社会科歴史的分野『国史』は今回も不合格になった。出版労連としては不合格処分を伴う教科書検定制度には一般的には反対である。しかし『国史』は、その歴史修正主義的・復古主義的内容はもとより、事実誤認や誤記があまりに多く、一般図書としても、まして中学校で使用する教材として不適切なものであり、検定申請するに値しないものであったことを厳しく批判するものである。
     
    2.「従軍慰安婦」「強制連行」「強制労働」
     「政府の統一的見解に従っていない」として、「従軍慰安婦」からの「従軍」の削除、アジア太平洋戦争中の植民地とされた朝鮮半島からの労働者の「強制連行」「強制労働」から「強制」を削除させる意見が付けられた。この問題については『教科書レポート2021』で詳述したとおりであるが、該当する検定基準は「閣議決定その他の方法により示された政府の統一的な見解又は最高裁判所の判例が存在する場合には、それらに基づいた記述がされていること」(地理歴史科1-(5))とあり、「最高裁判所の判例」には「軍隊慰安婦」としたものもある(「アジア太平洋戦争韓国人犠牲者補償請求訴訟」判決。2004年11月29日)ことが、2021年5月26日の衆議院文部科学委員会で指摘されている(なお、この質疑では萩生田文部科学大臣(当時)も政府参考人も、この判決を知らないと述べた)。この事実を無視して「政府の統一的な見解」のみを検定に適用したことは、文科省自ら検定基準を歪めて適用した政治的な偏向というほかない。
     そもそも「政府の統一的な見解」としての閣議決定自体、この例に見られるとおり決して政治的に公正なものとは限らず、検定基準である「政治や宗教の扱いは、教育基本法第14条(政治教育)及び第15条(宗教教育)の規定に照らして適切かつ公正であり、特定の政党や宗派又はその主義や信条に偏っていたり、それらを非難していたりするところはないこと」(教科用図書検定基準第2章2-(4))を自2ら逸脱して憚らない検定姿勢にも合わせて強く抗議する。一方、このような検定意見に対し、何とか歴史の事実を伝えようとした教科書発行者も複数あり、その著者および編集者の努力は正当に評価されるべきである。
     
    3.領土問題
     歴史認識同様、「政府の統一的な見解」を書かせる検定意見が今回もつけられ、竹島は日本の固有の領土である、中国政府との間に領土問題は存在しないという日本政府の主張に基づいた記述に修正された。相手国の主張の紹介すら認めず、日本政府の見解のみを書かせるのでは、ナショナリズムのぶつかり合いにしかならず、領土問題の解決にはつながらないであろう。このような検定は、学習指導要領が示す「主体的・対話的で深い学び」を文部科学省自身が否定しているものというべきである。
     
    4.「国語表現」への文学作品の掲載
     2020年度の「現代の国語」での検定で、文学作品(学習指導要領では「文学的な文章」)の掲載をめぐって、ダブルスタンダードというべき検定が行われたが、今回も同様の事態が起こっている。当該ケースは「現代の国語」とは別の教科書発行者であり、検定姿勢が是正されていない。このことは、教科書検定の公正性を揺るがす問題であるので、出版労連としては、引き続き検証と批判を重ね、教科書の自由を守る立場から是正を要求していく所存である。
     
    5.事実を偽る日本政府の国連自由権委員会への回答
     国連自由権委員会は、日本政府の第7回定期報告に先立つ事前質問票(ListofIssues)で、教科書について次のように質問した(原文は英語、外務省仮訳には文書番号および日付の記載なし)。
     
     ”また、教科書における言及を含む慰安婦問題に係る学生及び一般市民に対     する教育の取組につき詳述するとともに、歴史上の出来事、特に「慰安婦」問題について、同問題への言及の削除を意図して、政府当局が学校の教科書策定に影響を及ぼしているとの申し立てに回答願いたい。”
     
    これに対し日本政府は以下のように回答した(同上。パラグラフ155は略)。
     
     ”156教科書検定は、学習指導要領や検定基準に基づき、検定時点における客観的な学問的成果や適切な資料等に照らして、記述の欠陥を指摘することを基本として実施している。すなわち、教科書検定は、教科用図書検定調査審議会による専門的・学術的な調査審議の結果に基づいて行われ、その結果は、そのまま文部科学大臣が検定の合否の判断に用いており、そのときどきの政府の方針や政策又は政治的意図が介入する余地はない仕組みとなっている。”
     
     これは教科書検定の実態に照らせば事実を偽るものというほかなく、出版労連としては、これを厳しく批判するとともに、自由権委員会に情報提供を行い、教科書検定制度の不当性を国際社会にも訴えていく所存である。

    以上

    PDF版:220422_2021年度実施教科書検定結果についての見解

  • フリーライターAさんの裁判の公正な判決を求めるネット署名

    フリーライターAさんの裁判の公正な判決を求めるネット署名

    フリーライターAさんの裁判の公正な判決を求めるネット署名

    日頃から、出版労連の言論・出版・表現の自由や教科書制度問題のとりくみをご支援くださりありがとうございます。

    さて、出版労連には、二つの個人加盟組合があります。その一つが、編集者・ライター・校正者デザイナー・イラストレーター・カメラマンなどのフリーランス(個人事業主、雇用でない労働者)の方が加入する出版ネッツです。

    出版ネッツに所属するフリーライターAさんは、東京の銀座でエステティックサロンを経営するB社と代表取締役C氏を東京地裁に提訴しました。訴えの内容は、不払い報酬の支払い請求と、C氏から受けたセクハラ・パワハラによる精神的苦痛への慰謝料請求です。

    Aさんは2019年3月、C氏から自身の経営するB社のエステ体験記事を執筆するよう依頼を受けました。記事を書くために体験施術を受けた際に、AさんはC氏から下半身を触られるなどの悪質な性被害を受けました。一方でC氏からB社のWebサイト運用・記事執筆の専任として仕事を依頼されており、悩みながらもB社の仕事を続けました。同年7月、SNSとメールのやりとりでB社との業務委託契約を結び、8月1日からは毎日記事を執筆しB社のサイトで公開する仕事を2ヵ月半にわたって行いました。しかし、C氏は記事の質が低いので報酬は払えないと繰り返すようになり、Aさんに対して怒鳴る、恫喝するといったパワハラ行為までも重ねた末に、Aさんが契約終了を伝え、報酬の支払いを求めてもそれを拒否しました。

    裁判において、被告は全面的に争う姿勢で、Aさんの主張をことごとく否定しています。しかし、C氏の主張は業務委託の経緯からAさんに対する言動にいたるまで首尾一貫しておらず、根拠となるような資料も示されていません。

    Aさんのようにフリーランスで働く人は、労働法が適用されないために発注側である企業と受注側であるフリーランスとの力関係において弱い立場に立つことが多いのですが、2022年のハラスメント関連法の改正でも保護対象とはなっていません。発注側からハラスメントを受けた場合、被害者は抵抗すると仕事を失ってしまうという不安に陥り、Aさんのように自分を無理に納得させ仕事を続けようとするケースが少なくありません。

    裁判は、2月16日に結審し、5月25日に判決が言い渡されます。

    公正な判決を求めて、団体署名とネット署名「フリーライターAさんに対する性暴力と嫌がらせ、報酬不払いを許さない! 東京地裁に公正な判決を求めます!」(https://chng.it/KnNXTd4kkC)にとりくんでいます。

    皆様のご支援、ご協力をお願いいたします。

     

    団体署名用紙 PDF:220205_Aさん裁判の公正な判決を求める団体署名
    ※署名用紙に、団体名・代表者名を記入して出版労連までFaxやメールでご返送ください。

    裁判の詳細に関しては、「フリーライターAさんの裁判を支援する会」のブログ(https://withyou-nets.hatenablog.com/)をご覧ください。

  • 第138回臨時大会 2022年春闘宣言

    第138回臨時大会 2022年春闘宣言

    2022年春闘宣言

    発生から2年以上となる新型コロナウイルス感染症により、世界全体が生活様式の変化を求められています。私たちの労働運動にも多大な影響をもたらし多くの困難も抱えています。収束はいまだに全く見通せませんが、コロナ後を見据えよりよい社会を築くために今できることを考えながら行動していかなければなりません。
    平成以降30年以上にわたり日本の賃金は下がり続けています。世界ではこの間着実に賃金が上昇しており、韓国にも抜かれてOECD各国内で最下位近くにまで下落してしまいました。また、長年の政府による円安誘導によって、輸入品が相対的に高額となり様々な生活必需品も値上がりし続けています。その一方で企業の内部留保は9年連続で最高を更新し続け2020年度末には484兆円に達しています。残念ながらトリクルダウンなどは1滴も落ちてはきません。このようななか2022年春闘でも賃上げ・一時金にこだわったとりくみを求めています。ここ数年官製春闘が取りざたされていますが、私たちが主体的に行動しなければ状況は改善しません。最低生計費が上昇し続ける中で最低賃金も全国一律1,500円への引き上げが必要です。さらに生涯賃金の観点から初任給の引き上げも大切な課題となっています。
    職場環境、労働条件の向上も大切です。コロナ禍で在宅勤務や時差出勤などが多くの職場で緊急的に導入されましたが、恒常的な制度としても合理性が明らかになってきているのではないでしょうか。労働法制改定にともない労働時間の把握が会社の法的義務となりました。過大な長時間労働など見直しを求めましょう。36協定を交渉カードとして活用することもできます。また、中小企業にも適用されたパートタイム・有期雇用労働法を背景に非正規労働者の条件改善にもとりくみましょう。
    パワハラ防止法が4月から中小企業にも適用され、ハラスメントの防止も会社の義務となります。ルール作りと適切な運用を行うためにも「ハラスメント防止・根絶要求書」を提出し具体的な根絶対策を求めていきましょう。セクシュアルマイノリティの権利拡充やジェンダー平等の実現もまだまだ不十分です。現在の労働条件などを点検してみましょう。
    定年延長についてはいまだに労連として統一した方針を出すまでに至っていませんが、年金支給が先送りされそれまでの生活をどうするか、継続雇用制度も含め真剣に考えていかなければなりません。
    非正規労働者の中でも取次ぎで働くなかまの労働条件は特に低く抑えられています。賃金は最低賃金と同水準で、さらなる人件費削減のためシフトカットや早帰しをされることもあります。法律も活用して改善にとりくみましょう。フリーランスは報酬の10%アップを求めています。また、労働者性の拡大、「いきなり切らない」、インボイス制度適用見直しなど、安心して働ける環境を目指しましょう。
    昨年の衆院選でいわゆる改憲勢力が発議に必要な3分の2を超える議席を得ました。これにより改憲への動きが活発になり今年の参院選と同時の国民投票を目指す声も出ています。憲法に縛られる立場の政府が国民を無視して改憲を進めることは許されません。まずは今の憲法を遵守させ言論・出版・表現の自由を守りましょう。また、憲法を守り活かすための諸行動にとりくみましょう。
    世界では米中対立やウクライナ危機などきわめて危険な状況に進んでいます。気候変動も待ったなしで進んでいます。コロナ禍のなかで格差が広がり上位1%の富裕層が世界の個人資産の4割近くを占めるに至りました。日本ではジェンダー平等は全く進まず、外国人は入管で死に追いやられ人権もない状態です。出版界でも業績による格差、コロナ対応における格差などが広がっています。SNSの定着によっても人のつながりより分断が深まっているように感じられます。このような状況下で私たち労働者は団結して行動することが必要です。「ピアソン桐原争議」「二玄社争議」「フリーライターAさんのハラスメントおよび契約料不払い訴訟」「美々卯スラップ訴訟」など多くの争議も発生しています。出版労連の運動はますます重要となっています。私たちの地道な活動が世界をより良い方向に動かしていくことができると信じます。
    以上

    2022年1月27日
    日本出版労働組合連合会
    第138回臨時大会

    PDF版220127sengen

  • MICがフリーランス保護施策に関する政党アンケートを実施

    MICがフリーランス保護施策に関する政党アンケートを実施

    日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)は、10 月 31 日に投票日を迎える第49回総選挙に際し、フリーランスの権利と保護施策に関する各政党の考え方と選挙公約に関するアンケートを実施し、各政党から寄せられた回答をMIC公式サイトに掲載しました。

    回答結果は下記よりダウンロード出来ます

    2021 総選挙 政党アンケート ―フリーランスの保護に関するアンケート調査結果―

     

    第49回総選挙に際してのフリーランス保護施策に関する政党アンケートを公開
    積極的保護で各党一致 具体策や労働者性拡大では顕著な違いも

    政党アンケートの対象は、自由民主党、立憲民主党、公明党、日本共産党、日本維新の会、国民民主党、社会民主党、れいわ新選組、NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で(NHK党)で、公明党と日本維新の会を除く7党から回答をいただきました。
    今回の調査では、近年重要な政策課題に浮上しているフリーランスの権利、保護に関する各政党のスタンスと考え方が浮き彫りになりました。
    公式サイト掲載のとおり、「フリーランスの権利保護やセーフティネットの整備」については「積極的なとりくみが必要」とのスタンスで各政党の回答が一致しました(「問1」)。公約に盛り込んでいる政党も多く(「問2」)、心強い結果です。他方、失業給付、労災補償、傷病手当金、出産手当金、インボイス制度など、各論的な施策についての質問(「問3」「問6」)では回答が分かれました。ハラスメント防止は、回答された全野党が「法律の対象に」とした一方、自民党は「法制化に当たっては論点が多い」としました(「問5」)。
    労働者性(労働法上の労働者の範囲)拡大についての質問(「問4」)も、各党のスタンスが分かれました。現場の実態を伝えるなど、私たち当事者団体側の課題もわかりました。
    回答にご協力いただいた政党、ご担当者のみなさまに感謝を申し上げます。有権者の皆様には投票の際に、各党の回答を参考にしていただければと思います。MICフリーランス連絡会はこれからも、他の労働団体、文化芸術関係団体とも連携しつつ、フリーランスの権利確立、誰もが安心して働ける社会をめざしてとりくみを続けていきます。

  • 教科書記述への権力的介入への抗議文について

    教科書記述への権力的介入への抗議文について

    教科書記述への権力的介入への抗議文について
    2021年6月30日 出版労連・教科書対策部

     教科書対策部は、内閣が閣議決定で「従軍慰安婦」「強制連行」などの用語を変更したことに対し、5月20日付で抗議文を菅首相と萩生田文科相に送付しました。
     閣議決定は「維新の会」議員による質問主意書に応えたもので、「従軍慰安婦」などを「慰安婦」に、「強制連行」「強制労働」は「徴用」に変更しました。日本の戦争加害責任がなかったかのように変更したのです。
     小中社会科と高校地歴・公民教科書の検定基準は「閣議決定など政府の統一的な見解や最高裁判例など」に従った記述を載せろとされており、教科書記述を閣議決定どおりにしろというのがねらいです。
     教科書記述の変更には「訂正申請」という手続きが必要です。文科省は国会論戦の直後、該当する教科書発行者に対し異例の「説明会」を開き、訂正申請のスケジュールを示しました。訂正申請しなければ、文科大臣による「訂正勧告」もありうるとも述べています。事実上の圧力にほかなりません。
     一方で、国会でも説明会でも、文科省は「最高裁の判例」には頬かむりですが、「日本軍慰安婦」など、日本政府の責任を明示する語を使った判例もあることが、野党の論戦で明らかにされています。
     このようなやり方は教科書に対する圧力にとどまらず、憲法が保障する言論・表現・出版の自由や学問の自由をふみにじるものであり、出版という私たちの営み全体に対する許しがたい攻撃です。組合員のみなさんの理解と協力を訴えます。

     

    2021年5月20日
    内閣総理大臣 菅義偉 殿
    文部科学大臣 萩生田光一 殿
    日本出版労働組合連合会 教科書対策部
    【抗議文】「従軍慰安婦」「強制連行」に関する教科書記述への権力的介入をやめよ 
    PDF:210519_kyoukasho_kougiseimei

     

     

  • 【談話】公権力による市民の管理・統制の強化へとつながりかねないデジタル改革関連法案は容認できない

    【談話】公権力による市民の管理・統制の強化へとつながりかねないデジタル改革関連法案は容認できない

     

    2021年4月7日
    日本出版労働組合連合会
    出版・産業対策部
    部長 俵谷晋三

     

     昨年9月に発足した菅政権は、看板政策の一つとして国全体のデジタル化を掲げている。今年9月を予定して進められているデジタル庁創設もその一つであり、同庁を設置するための関連6法案が上程され、そのうち5法案が30時間にも満たない拙速審議で、昨日衆議院本会議にて可決された。
    政府は、6法案とそれに関連して提案されている数多くの法律案を、まとめて内閣委員会、総務委員会での審議で済まそうとしたが、法案のずさんな内容が次々と露呈している。また、密接した必要な法案だとして「束ね」法案化したにもかからず、総務委員会にかかる法案はまだ審議されていないまま5法案のみが衆議院本会議で採決された。
    日本の行政におけるデジタル化の遅れは周知のところであり、電子化によるスピードアップや行政コストの削減など、国民生活の利便性を図るという側面については否定するものではない。しかし本法案を見るかぎり、デジタル庁の本質は、マイナンバーに紐づけられた個人情報を一元管理し、その産業利用を進めるために個人情報保護を緩めるものであると断ぜざるを得ない。
    本来個人情報の利用については、本人の同意を要することが大原則であり、ヨーロッパなどではその徹底がめざされている。しかし、本法案では産業の活性化や国際競争の強化の名目のもと、個人情報の保護を緩めようとしている。
    現在、民間、行政機関、独立行政法人の三つに分散してその利用が規制されている個人情報を、首相直轄の組織である内閣府に設置するデジタル庁で一元管理するというのが本法案の要であるが、いかなる権力からも保護されるべき個人情報を国家権力の中枢ともいえる内閣府内の組織で管理するというのは、権力による市民の管理・統制の強化へとつながりかねない。
     菅政権のデジタル改革関連6法案は、個人情報とプライバシー保護の観点から断じて容認できるものではないことを表明する。

    以上

    20210407_digitalhouan_danwa

     

  • 【声明】公的機関による言論妨害、出版・表現の自由の侵害に抗議する

    【声明】公的機関による言論妨害、出版・表現の自由の侵害に抗議する

    【声明】公的機関による言論妨害、出版・表現の自由の侵害に抗議する

    2021年4月7日
    日本出版労働組合連合会
    中央執行委員長 酒井かをり

      公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は、「週刊文春」4月8日号(4月1日発売)掲載記事「白鵬、海老蔵、後援者…森・菅・小池の五輪開会式“口利きリスト”」、および3月31日配信の文春オンライン記事「『AKIRA』主人公のバイクが…渡辺直美も絶賛した「MIKIKO チーム開会式案」の全貌」において東京オリンピックの演出プランを暴露したことは不正競争防止法違反の罪及び業務妨害罪が成立しうるとして、4月1日、同誌の回収とWebからの削除を求めました。
     これに対し同誌は「侮辱演出案や政治家の“口利き”など不適切な運営が行われ、巨額の税金が浪費された疑いがある開会式の内情を報じることには高い公共性、公益性があり、報道機関の責務である」と説明し、組織委員会の要求である発売中止、回収などについて拒否する姿勢を表明しています。出版労連はこの表明を支持し、連帯を表明いたします。
     オリンピック・パラリンピックが、莫大な税金が投下される公共性の極めて高い催しであることはいうまでもありません。同組織委員会は、国内外から多くの批判を受けた森喜朗会長(当時)の女性蔑視の差別発言による辞任、タレントへの侮辱演出案の存在など、五輪憲章に抵触し、人権を軽視した度重なる不祥事を起こしてきました。同誌の表明するとおり、開会式の概要を取材・検証し公表することが公共の利益と合致することはだれの目にも明らかです。
     組織委員会は、非公開で会議を行うなど、極端に不透明な運営手法をとり、過度な情報コントロールを行ってきたことも報道で明らかとなっています。これらを納税者の前に明らかにする記事は、高い公益性を有していると考えます。さらに組織委員会は、警察と相談しつつ内外の関係者の調査に着手するとしていますが、これは刑事告訴をほのめかし取材活動を萎縮させることを意図した恫喝であり、不都合な事実を隠蔽することでガバナンスの不在を繕おうとしていると思わざるをえません。
     平和の祭典と称されるオリンピック・パラリンピックは、市民の共感と支持がその礎にあってこそのものと考えます。そのためには、運営組織の透明性は不可欠です。報道機関として当然の取材活動の範疇にあり、憲法21条で保障されている出版社として当然の出版活動の範疇にある同記事に対し、著作権法違反や業務妨害などの組織委員会の主張は、公的機関による言論活動の妨害、出版・表現の自由に対する重大な侵害にほかならず、看過できるものではありません。
     私たち出版に働く者は、公的機関による言論活動の妨害、出版・表現の自由の侵害を認めません。1963年に日本雑誌協会が制定した雑誌編集倫理綱領の第一項「雑誌編集者は、完全な言論の自由、表現の自由を有する。この自由は、われわれの基本的権利として強く擁護されなければならない」という立場をいま一度、強く支持し、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会による同誌への発売中止、回収要求の即時撤回を求めます。


    以上

    PDF:20210407_gorin_seimei

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