カテゴリー: 出版産業

  • 出版労連・第141回定期大会特別決議  労使関係を破壊する外部からの不当な経営介入を許さない

    出版労連・第141回定期大会特別決議 労使関係を破壊する外部からの不当な経営介入を許さない

    出版労連・第141回定期大会特別決議

    労使関係を破壊する外部からの不当な経営介入を許さない

     2023年5月、マキノ出版が民事再生を断念し、破産手続きに入りました。マキノ出版グループ労組(以下、マキノ労組)は出版労連に加盟する単組の一つであり、全従業員の解雇にいたった破産までの経緯は痛ましいものでした。

     2月にマキノ出版経営(以下、経営)が、事業再建と称し大幅な労働条件の切り下げとマキノ労組に対する解散要請を行ったことから、出版労連は同労組とともに対策会議体制を組み財務状況を分析し、労使協議を通じた事業再建を経営に呼びかけました。

     しかし、団交を通じて浮かび上がってきたのは、従業員をコスト(人件費)としかみなさず、コストカットと称して不当労働行為すら行い、事業再建に本来不可欠な労使協議や情報共有を遮断するよう唆す悪質なコンサルタントの存在と、その言いなりで主体的な判断を放棄してしまった経営の姿でした。マキノ労組は事業再建のための課題がどこにあるのか経営に説明を求め、たとえ労働条件や業務内容に関して苦渋の決断を迫られることがあっても、労使協議を通じて経営が説明を尽くせば協力する用意があり、その姿勢で議論に臨んでいることを訴え続けました。それでも経営からの情報開示は進まず、マキノ労組が事業再建に協力する機会も与えられないまま 、経営は民事再生申立を強行し、最終的に民事再生を断念する結果となり、破産申立に至ってしまったのです。

     「退職金制度は廃止する、組合は解散を決議してその資産を会社へ供与せよ」などと突如一方的に強要してきた経営に対し、マキノ労組は大混乱に陥りました。当初の混乱の中では「組合が解散すれば会社は存続できるのでは」と思い悩む組合員もいました。強引に組合解散を迫り、かつ組合の資産供与を強制する姿勢は社会常識としてありえないだけでなく、明白な不当労働行為です。さらには上部団体や弁護士に相談することを禁ずるかのようなコンサルタントの暴言もありました。マキノ労組はこれらの不当労働行為を記録し、出版労連の仲間や専門家と力を合わせ、従業員の声を集約して経営へ伝えることを通じて、正当な手続きを経ていない退職金制度の廃止を撤回させるなどの成果を勝ち取りました。その過程では、事業再建に協力するため情報開示を求めるマキノ労組と、開示に応じない経営との間で議論が停滞する場面もありましたが、経営が後に団交の場で認めたように、そこには労使対立の構図は存在しませんでした。にもかかわらず、コンサルタントは「破産の背景には労使対立があった」などとする記事を公開し、自らが出版社の事業再生の第一人者であることを積極的にアピールしています。

     同社の一部発行物は他社へ譲渡され存続することとなりましたが、マキノ出版は破産し、その出版を担ってきた従業員は職を失いました。経営が悪質なコンサルタントの介入に依存せず、労使関係を尊重し事業再建への協力を求めていたら、経営とマキノ労組の双方が被った痛みはいくらか軽くなったのではないでしょうか。

     出版業界は紙媒体の縮小という長期トレンドに加え、制作原価の高騰に苦しんでいます。経営状況の悪化が表面化する会社が今後、増加する懸念があります。事業再建のために、経営が社外のコンサルタントなどへ協力を求めることも予測しておく必要があります。しかし、自社の発行物を熟知し、取次や書店、読者と直接かかわり、より良い働き方を求めてとりくんでいる従業員を排除していては、出版文化と雇用を守る真の意味での事業再建は叶いません。私たち出版労連に加盟する労働者は、社外からの経営介入に不当労働行為の徴候がみられた場合には本部や地協、小共闘の仲間と情報共有して労使協議に臨み、一方的な労働条件・労働環境の改悪をさせないようとりくみます。

    以上、決議します。

     

    2023年7月14日

    日本出版労働組合連合会 

    第141回定期大会

    PDF:230714ketugi_roushi

     
  • 出版労連・第141回定期大会特別決議  出版の現場に分断と混乱を生み、産業の空洞化と衰退をもたらす インボイス制度の中止・撤廃を求めます

    出版労連・第141回定期大会特別決議 出版の現場に分断と混乱を生み、産業の空洞化と衰退をもたらす インボイス制度の中止・撤廃を求めます

    出版労連・第141回定期大会特別決議

    出版の現場に分断と混乱を生み、産業の空洞化と衰退をもたらす

    インボイス制度の中止・撤廃を求めます

     政府は2023年10月から、インボイス制度(適格請求書等保存方式)を、日増しに高まる反対の声に向き合うことなく開始しようとしています。

     これまで売上高1,000万円以下の事業者(中小業者や個人事業主、そしてフリーランス)は、免税事業者とされ、消費税納付の義務はありませんでした。インボイス制度では、課税事業者にならざるを得ない状況に追い込まれます。免税事業者のままでいることを選択した場合、課税事業者である取引先からインボイスの登録を求められたり、取引から排除されたり、消費税分の値下げを求められたりするおそれがあります。自らの課税売上にかかる消費税から控除できる仕入れにかかった消費税は、インボイスによるものに限られるからです。

     すでに、仕事の発注側から受注側へ、あるいはフリーランス同士で消費税の押し付け合いが始まっています。適格請求書発行事業者にならなければ消費税分を差し引いて支払う、あるいは取引を差し控えるという発注者があらわれています。これらは下請け法違反となります。

     日本商工会議所は2023年度の「税制改正に関する意見」で、「消費税インボイス制度の導入延期を含めた対応」を求めています。「同制度が導入された場合、免税事業者が取引から排除されたり、不当な値下げ圧力等を受けたりする懸念があることに加え、発行する請求書の様式変更、システムの入替・改修、受け取った請求書等に登録番号があるかの確認」などがあるとして、「事業者にとって多大な負担が生じる」と訴えました。同意見書は「制度導入後の混乱が避けられない場合は、制度の導入時期を延期すべきである」としています。

     「インボイス制度について考えるフリー編集(者)と漫画家の会」が出版業界で働くフリーの編集者を対象にした調査(2022年11月~23年3月実施)によると、インボイス制度が導入されれば「廃業する可能性がある」「廃業することを決めている」が19%、「(インボイス制度を)延期すべきだ」「導入すべきでない」は合わせて94%にのぼっています。

     政府は、本年3月末としていた事業者の登録申請期限を9月30日まで事実上延長する措置をとりました。しかしながら、インボイス制度の問題を解消するものではありません。そもそも消費税というものは、裁判所の確定判決(1991年3月26日 東京地裁および同年11月26日 大阪地裁)でも、また、最近の政府答弁(2023年2月10日 衆議院 内閣委員会)でも明らかなように「対価の一部」であって「預り金」ではありません。政府は世間一般に流布する消費税に関する誤解を放置したまま、矛盾に満ちたインボイス制度を実行しようとしているのです。

     私たちの働く出版産業において、クリエイティブワークを下支えしてきたのは、低い収入、弱い立場の、フリーランスや中小零細事業者です。インボイス制度は出版の現場に分断と混乱を生み、産業の空洞化と衰退をもたらしかねません。出版社のなかには、受注者の不利益にならないように対応することを表明している社もあります。

     

     出版労連、出版ネッツは、これまでもインボイス制度に対する反対を業界団体などに訴えてきましたが、いよいよ実施時期が迫った第141回定期大会において、出版の現場に分断と混乱を生み、産業の空洞化と衰退をもたらす本制度の中止・撤廃をあらためて強く求めます。

     

    2023年7月14日

    日本出版労働組合連合会 

    第141回定期大会

    PDF:230714ketugi_invoice

     
  • 出版労連・第141回定期大会  大会宣言

    出版労連・第141回定期大会 大会宣言

    出版労連・第141回定期大会

    大会宣言

     

     22秋季・年末闘争や23春闘では賃金面で一定の成果を上げることができました。しかし、昨今の急激な物価高に追いついていないのが現実です。2023年度の成果ととりくみを振り返り、さらなる賃上げを勝ち取るべく、私たちは2023年7月14日に第141回定期大会を開催し今期1年間の運動方針を確認しました。

     30年間ほとんど上がることがなかった日本の賃金に、やっと上昇のきざしが見え始めました。これを機に物価高にも負けない賃金や報酬のアップを勝ち取っていきましょう。そして、そのためには団結が必要です。今、ここにいない出版労働者との連帯を深め、出版労連の組織拡大を実現していく必要があります。大会中、何人かの代議員から発言がありましたが、組織拡大は一朝一夕に成果が出るものではありません。出版労連全組合員が一丸となって力を合わせ、粘り強く組織拡大にとりくんでいきましょう。

     今回の定期大会では、10名の代議員、7名の特別代議員から発言がありました。また、2名の代議員から文書発言がありました。例えば、次のような内容です。

    ●「はじめに」にあるように、30年間で出版労連の組織の人数が半減したことについて危機感があるが、議案書にあるように本腰を上げることに安心した。組織拡大は昔からの課題だったが、日々の活動に追われ後回しになっていたといった意見がありました。また、組織拡大のためには、出版青年ネットワークの活動の重要性や、あらたな方策としての「ファシリテーション」「コミュニティー・オーガナイジング」の導入も検討するべきであるとの意見もありました。
    ●特定秘密保護法の廃止は出版研究室を活動母体とし、出版労連の重要課題の一つとして位置付けられているが、2022年12月に海上自衛隊で逮捕者が出たことによる危機感をふまえ、改めて重要な問題であることを認識するべきと紹介されました。
    ●会社の存続を人質に取れられ、組合解散を迫られたり、組合財政の提供を求められたりするなどの経営からの働きかけに屈することなく、闘うことをあきらめなかったマキノ出版労組の奮闘が紹介されました。また、桐原ユニオンからは、経営が一方的に和解協定の調印を拒み、再度、東京都労働委員会へ申し立てることとしたとの報告もありました。
    ●教科書採択に絡んだ贈収賄事件について、コンプライアンスだけの問題ではなく、採択に強い権力を持った人物によるカスタマーハラスメントの一面が紹介され、制度そのものに起因する問題であることや、「良心的拒否権」の学習によって、そういったハラスメントや、コンプライアンスに問題がある業務命令への対処の必要があることが紹介されました。
    ●出版ネッツからは、フリーランス新法、インボイス制度などについての法律の問題点や、出版ネッツが主体的にとりくんでいる世田谷区史編さん問題などについての紹介がありました。
    ●出版情報関連ユニオンからは、世論の春闘の成果とはかけ離れた、時間給で働く取次下請労働者の、勤務時間縮小による収入減などの実態が文書発言にて紹介されました。

     課題は多岐にわたり、すべてを容易に解決できるものではありません。出版労連が抱える「桐原書店争議」「二玄社争議」も長期にわたるとりくみになり、未だ出口が見えません。新型コロナウイルスも感染症法上5類に移行し、対面での組合活動も徐々に再開できるようになりました。対面やオンラインでの対話を増やし議論を深め、一つひとつの問題に丁寧にとりくんで解決をめざしていきましょう。

    2023年7月31日
    日本出版労働組合連合会
    中央執行委員会

    PDF:230714taikai_sengen

  • 出版ネッツ 常駐フリーアンケート調査報告書について

    出版ネッツ 常駐フリーアンケート調査報告書について

    昨年12月、各単組委員長宛に出版労連・ ユニオン出版ネットワーク(出版ネッツ)による「常駐フリーアンケート調査」の要請を行いました。
    この度、同調査結果が出ましたので、お知らせします。
    調査へのご協力ありがとうございました。

    以下、出版ネッツのHP、調査結果より。

    ==ここから==
    出版労連・出版ネッツ 常駐フリーアンケート調査報告書完成!
    https://union-nets.org/archives/8758

    大変お待たせしました。2023年1月・2月に行った「常駐フリーアンケート調査」の報告書が完成しました。

    「常駐フリーアンケート調査報告書」はこちら
    https://union-nets.org/wp-content/uploads/2023/06/7e9ff18ea4bbc6c0755d5161ce1fc567.pdf

    回答してしてくださった常駐フリーの皆さん、職場の常駐フリーに調査への協力を呼びかけてくださった出版労連傘下の単組の皆さんに、心より感謝申し上げます。
    今回の調査では、自由記述欄に常駐フリーの声がたくさん寄せられました。
    「物価や税金が上がったときくらい一律に報酬をあげてほしい」
    「雇用保険、労災保険、職場の健康保険、厚生年金保険に入りたい
    といった声のほか、
    「働いている会社の労働組合に入れるようにするか、労組が定期的に現場のフリーの要望をくみ上げてほしい」
    といった意見も出されています。

    これまで語られてこなかった声に、ぜひ耳を傾けてください。
    そして、この調査結果を周知・活用していただければ幸いです。

    なお、出版ネッツは、常駐フリーどうしが情報交換したり気軽な相談ができる場として「常駐フリーしゃべり場」を設置します。
    (参加申込フォームはこちら)
    https://onl.sc/wh5ZqRw

    常駐フリーで働く方々に知らせていただけますようお願いします。
    ==ここまで==

  • 藤井寺市での教科書採択をめぐる贈収賄問題について【見解】

    2023年4月26日

    藤井寺市での教科書採択をめぐる贈収賄問題について【見解】

     

     

    日本出版労働組合連合会(出版労連)
    教科書対策部長 小森浩二

    PDF版:230426_kenkai

    2021年度、大阪府藤井寺市での中学校教科書採択に関連して大日本図書株式会社(以下「大日本図書」)および同市内の中学校校長(当時。以下「元校長」)による贈収賄事件が引き起こされ、2023年に贈賄側・収賄側の両者に対し、有罪判決が確定した。出版労連教科書対策部は、これを教科書発行にかかわる者を含む産業別単一労働組合(単産)として看過できない問題と認識し、議論をすすめてきた。それをふまえ、以下に見解を表明する。

    (問題の概略)

    • 中学校教科書採択年度であった2020年度の4月から7月にかけて、藤井寺市採択地区の教科書選定委員であった元校長が、大日本図書が発行する数学・理科・保健体育の教科書の評価にかかわる教科書選定委員会の情報および調査員の教諭3名の氏名を同社側に漏洩し、大日本図書はこの3名に接触して同社教科書の優れた点や他社との違いを調査員にアピールした。これに対し元校長は、謝礼として大日本図書から3万円を受け取ったほか、飲食やゴルフの接待を受けていた。両者は、教科書採択にあたる教育委員1名とも会食した(なお別の1名とも、小学校教科書採択が行われた2019年に会食している。両教育委員は辞任)。なお、採択結果としては、数学が新規に、保健体育の教科書が継続してそれぞれ採択された。理科は採択されなかった。
    • 以上は贈収賄事件として立件され、元校長は加重収賄及び修学旅行の下見旅費に係る不正請求などの詐欺容疑(教科書採択とは別に)で、大阪地裁は「懲役1年6か月、執行猶予3年、追徴金約64,000円」と判決した。一方、大日本図書の元役員と社員は大阪地検から略式起訴され、それぞれ罰金として50万円と30万円の略式命令を受け、両名はその金額を支払った。
    • 2023年1月、藤井寺市教育委員会は大日本図書の中学校教科書使用を2022年度で中止すると決定し、2023年2月24日の臨時教育委員会で、数学は啓林館、保健体育は東京書籍に変更された。
    • 3月28日、文部科学省は大日本図書に対し、2023年度に行われる中学校教科書検定に申請しても不合格にする旨通知した。これを受けて同社は「文部科学省から弊社への処分について」(3月30日付)で、検定申請を断念して2025年度以降も現行版教科書を継続発行すること、「教科書発行者として信頼回復に全力で取り組んで」いくことなどを表明した。これにより、2024年度の中学校教科書採択では、大日本図書の教科書は現行版が採択対象となる。
    • 4月19日、藤井寺市教育委員会は、「再発防止策」として、4月から7月の教科書採択期間中の教科書発行者との接触禁止だけでなく、それ以外の期間も「接触した場合は報告書の提出を義務づける」「教科書会社と接触した教職員を見聞きした場合は、学校長や市教委事務局に連絡するよう求める」など、教科書発行者との接触を事実上通年全面禁止する「ルール」を決めたことが報道された。

    (本件についての見解)

    • 教科書採択において、不正行為が許されないことはいうまでもない。したがって大日本図書の一連の行為は許されるものではない。2016年に顕在化した「白表紙問題」(*)を受けて、教科書業界で「自浄努力」を行ってきたはずである。それにもかかわらず贈収賄事件が引き起こされたことは、教科書にかかわる者として、深刻に受け止めなければならない。

    (*)教科書発行者が「採択関係者」を接待し、そうした場で「白表紙本」を見せて意見を聞き、それに対価を支払っていた問題。これを受けて教科書発行者でつくる教科書協会は「教科書発行者行動規範」を策定し、文部科学省の承認を得たうえで各発行者に順守を求めている。

    • 贈収賄による有罪判決という事態は、真摯に採択活動を行っている教科書労働者(大日本図書内外ともに)にとって大きな衝撃である。この中で大日本図書が第三者を含めた「特別調査委員会」を設置して「特別調査委員会による調査報告書」(1月26日公表、2月17日更正。以下「調査報告書」)を作成・公表したのは、当然のこととはいえ、自浄努力と評価したい。同社が前出の「文部科学省から弊社への処分について」で示した決意表明を誠実に実行することを期待する。
    • 収賄側、すなわち同市の元校長にも大きな問題があった。この人物による「カスタマー・ハラスメント」というべき行為が大日本図書の「調査報告書」に生々しく記載されている。大日本図書側の責任は免れないが、収賄側によるこうした行為も厳しく批判されなければならない。次項で指摘するような状況下で、このような強権的な人物に金品の授受を含む接待を要求されれば、それに抵抗することが困難であったことは想像に難くない。元校長は大日本図書「特別調査委員会」「藤井寺市教科書採択に係る第三者委員会」双方の事情聴取を拒否して問題の全面的な解明を妨げており、真摯に反省しているとは考え難い。
    • この問題の背景の一つに現在の義務教育諸学校用教科書の採択制度があることも指摘しておきたい。学校ごとの採択かつ毎年採択の機会がある高校教科書採択では、本件のような事態が起こっていないことと比較すれば、そのことは容易に理解されよう。

    第一に、児童・生徒数の減少=教科書需要数の減少という状況の中で、4年に1度しか採択の機会がなく、しかも広域(共同)採択制度のため、採択結果は「オール・オア・ナッシング」となることである。このため、一度の採択の成否が各教科書発行者の経営状況を大きく左右することにならざるをえず、これが営業活動の過熱の要因となっている。

    第二に、教科書採択のプロセスにおいて、現場教員の意見が尊重されていないことである。教科書の調査研究にあたる調査研究委員会(藤井寺市では「教科書選定委員会」)の検討結果を、「教育委員の権限と責任において」行われるとして、教育委員が必ずしも尊重しなくてもよいとする制度に贈収賄が入り込む余地があるといえる。藤井寺市の教育委員会議事録(2020年7月30日臨時教育委員会)でも、学校現場の意見は全く報告されていない。

    ただし、こうした制度的要因があるからといって、贈賄が正当化されるわけではないことはいうまでもない。

    • 文部科学省が行った大日本図書に対する「検定不合格」の処分に疑問を呈さざるをえない。この処分の根拠である「教科用図書検定規則」第7条2項は、採択の問題についてのペナルティを検定で与えるものであって、いわば「罪」に対する「罰」がずれているといわざるをえない。
    • 藤井寺市教育委員会が4月19日に決めた「ルール」は、行き過ぎたものといわざるをえない。これでは教職員・教科書発行者双方に恐怖と萎縮を招くだけで、教科書採択の透明化にはつながりがたい。

     

    (再発防止のための提言)

    • 大日本図書、藤井寺市教育委員会の両調査報告書が共通して指摘し、また大日本図書自身が表明しているように、コンプライアンスの徹底が不可欠であることは当然である。
    • しかし発行者側の規範意識だけではなく、採択制度の改善も必要であると考える。根本的には、教科書無償措置法による広域(共同)採択制度の改正が必要だとしても、現行制度のもとで各採択地区における「教科書採択要綱」を改善すれば可能な、再発防止のための有効な方策はいくつも考えられる。例えば学校票制度はその有力な方策である。これは元校長のような一部の教育関係者が採択にあたって「力」を行使することを防止することにつながる。何より教育条理に基づいた採択には不可欠である。藤井寺市教育委員会の「調査報告書」によれば、同市では教科書採択のプロセスに学校票制度は存在していなかった。
    • 教科書発行者を学校から締め出すのではなく、学校内でコミュニケーションをしやすくするなど、正当な活動を保証することも重要だと考える。
    • これらの制度改善は当事者のみの努力では不可能であり、広く教員・保護者・市民の理解と支援を訴える。
    • 教科書業界のコンプライアンスの基準として「教科書発行者行動規範」がある。しかしこれは前述のように「白表紙問題」を受けて教科書協会が策定し、文部科学省の承認を求めた経緯がある。その基本的立場は「文部科学省をはじめとする行政官庁からの指導を遵守」(「Ⅰ 総論」の1、「Ⅱ 各論」の2)するという点に端的に示されているように受け身の対応であり、必ずしも自主的とはいい難い。その内容を否定するものではないが、それを超える、憲法第21条の自覚に立った自立的・自律的ルールを、教科書発行者が労使共同で、確立することを呼びかける。
    • 不正に関与しないという自覚が教科書労働者自身に求められるのはもちろんだが、採択関係者による「カスタマー・ハラスメント」や経営による不当不法な業務指示に従う必要はないことを内容とする「良心的許否」権の確立を教科書労働者に呼びかける。

     

    大日本図書は、次期中学校教科書の検定不合格という処分を受けて、現行教科書を継続発行し、これを来年度の教科書採択に供する方針を打ち出した。これにより、採択する教科書がないという事態は避けられたものの、今年の小学校教科書採択を含め、経営状況への否定的な影響は避けがたいだろう。そうした問題はあっても、同社には労働者の雇用を守り、労働条件の不利益変更は避けることを求める。

     

    以上

  • 2023年5月13日 出版研究集会in関西2023

    2023年5月13日 出版研究集会in関西2023

    出版の現状を共有し将来を考える出版研究集会を、2023年5月13日に京都にてオンライン併用で開催します。

    参加費800円で、どなたでもご参加いただけます。

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    出版研究集会in関西2023

    これからどうなる?

    わたしの本、わたしの本屋さん

     

    長く続いたコロナ禍が落ち着きを見せているなか、これからの本の読まれかたはどうなるのでしょう。本屋さんの淘汰は進んでいます。 大型店が健在でもありません。その中で、大手取次に依存せず小さくても元気に読者の支持を得ている出版社や本屋さんもあります。そんな状況を、永江朗さんが紹介し、今後について、現場の報告とコメントを交えて考えます。

     

    基調講演:永江 朗さん(ライター)

    1958年、北海道旭川市生まれ。法政大学文学部哲学科卒業。洋書販売会社に勤務、労働組合の活動にも携わる。1990~93年、『宝島』編集部在籍。その後、ライター専業。早大、近大で教鞭をとった経験も持つ。2011年から東京と京都の二重生活。著書に『広辞苑の中の掘り出し日本語』『「本が売れない」というけれど』『小さな出版社のつづけ方』『ときどき京都人』ほか多数。ブックレビューのラジオ番組にも出演。

     

    現場からの報告:島田潤一郎さん(夏葉社)

    1976年高知県生まれ。東京育ち。日本大学商学部会計学科卒業。大学卒業後、アルバイトや派遣社員をしながら小説家を目指していたが挫折。2009年9月に33歳で夏葉社を起業。ひとり出版社のさきがけとなり、2019年に10周年を迎えた。著書に『あしたから出版社』『90年代の若者たち』がある。

     

    この他に関西の書店の方をお呼びして,報告をしていただく予定です(現在調整中)。

     

      • 開催日時:2023年5月13日(土)13:30~16:30
      • 参加費:800円(会場参加、Zoom視聴どちらの場合も)
      • 会場:京都市職員厚生会 職員会館かもがわ+Zoom
        ※会場の都合により定員40名になり次第、会場参加の申し込みを締め切らせていただきます。

    申し込み・支払い方法:以下ABのいずれでも可

    A【クレジットカード決済の場合】

     次のURLからPeatixで申し込み、必要事項を記入の上、クレジットカードで決済してください。

     決済の確認後、ZoomのURL等をメールで送信いたします。

     https://kansai-syukken2023.peatix.com

     

    B【銀行振込または会場での現金支払いの場合】

     件名を「出版研究集会in関西申し込み」とし、メール本文で以下の項目を記入の上、次のアドレスに送信してください。

     メールを受信しましたら、翌日までに返信をいたします。

     Zoom視聴の場合、銀行振込の確認後、ZoomのURL等をメールで送信いたします。

     なお、銀行振込の場合、振込手数料はご負担ください。

     《振込先》

      郵便振替口座00110-3-84277「出版労連」

      ゆうちょ銀行〇一九支店(当)0084277「出版労連」

     《送信先》

       osaka-chikyo@syuppan.net(出版労連大阪地協事務局)

     《記入項目》

       1. 氏名

       2. 所属(出版労連組合員の方は単組名を、それ以外の方は勤務先などを任意で)

       3. メールアドレス

       4. 参加方法(会場参加か、Zoom視聴か)

       5. 支払い方法(会場での現金の支払いか、銀行振込か)

              (銀行振込の場合、振込予定日も付記してください)

       6. 電話番号(メールアドレスの送信ができないことがあった場合のみ、電話連絡します)

       7. その他(事務局への連絡などがあれば)  

     

    —————————————————————-

    ※お問い合わせ:osaka-chikyo@syuppan.net(出版労連大阪地協事務局)

    ※申し込みの際にご記入いただいた個人情報は,本集会に関する連絡のみに使用いたします。

     

  • 安全保障3文書の閣議決定及び軍事費増大に関する出版労連見解

    安全保障3文書の閣議決定及び軍事費増大に関する出版労連見解

    2023年1月26日 第140回臨時大会 特別決議

    安全保障3文書の閣議決定及び軍事費増大に関する出版労連見解

     

    政府は、2022年12月16日、新たな「国家安全保障戦略」、「国家防衛戦略」及び「防衛力整備計画」(安全保障3文書)を閣議決定しました。これは、相手国の領域内にあるミサイル発射手段等を攻撃するための敵基地攻撃能力や、攻撃対象を「敵基地」以外に拡大することになりかねない、いわゆる「反撃能力」の保有を進めようというものです。そのために防衛費(軍事費)をGDP(国内総生産)比2%にまで増大させるとして、不足する財源を増税でまかなおうとしています。
    このことについては、以下の疑問点や問題点が指摘できます。

     

    1.本当に平和を守ることができるのか?

    政府は敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有により「抑止力」を高めることが日本の安全に不可欠だと主張しています。しかし、本当に抑止力になるのでしょうか。日本が敵基地攻撃能力を保有し、軍事費をGDP比2%にまで増大させると、アメリカ、中国に次ぐ世界第3位の軍事大国になります。それは、周辺国からはどう見られるのでしょうか? 周辺国の緊張を高めることにつながり、「軍事対軍事」のさらなる軍拡競争につながり、安全保障上のリスクを高め,日本が戦争に巻き込まれることになるのではないでしょうか。

     

    2.憲法や従来の政府見解との関係について何ら説明していない

    今回の閣議決定は、「反撃能力」という名で敵基地攻撃能力の保有を進めることとしています。しかし憲法9条では、「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」と謳っています。政府は、「平生から他国を攻撃するような、攻撃的な脅威を与えるような兵器を持っているということは、憲法の趣旨とするところではない」(1959年3月19日政府答弁)との立場をとってきました。今回の閣議決定について、政府は戦争放棄を謳った憲法との関係および従来の政府見解との関係について、何ら説明していません。

     

    3.手続き面で問題がある

    今回の閣議決定は、昨年秋の臨時国会閉会後に行われました。政府自ら「戦後の安全保障政策の大転換」と言っていますが、そのような重大な問題について、国会で審議することもなく、1内閣の閣議だけで決めてしまうことは、国会軽視、立憲主義の否定と言わざるを得ません。

     

    4.軍事費増額の財源を増税で賄おうとしている

    大軍拡の財源について政府は、復興特別所得税の半分を軍事費に回す、「防衛力強化資金」の名目で医療機関の積立金やコロナ対策費の未使用分など医療にあてるべき予算を流用しようとしているなど、医療や暮らしの予算の流用・削減などを示しています。

    さらに、2023年度政府予算案および「税制改正大綱」では、軍拡財源として復興特別所得税の流用を盛り込みました。5年間で43兆円もの大軍拡を進める初年度予算であり、2023年度分の軍事費だけでも6兆8,219億円と過去最大となっています。

    未曽有の物価高で国民の暮らしを守り、日本経済を好循環させていくためには、賃上げ・ベアが社会的な要請となっている中、具体的な賃上げ政策を示すことなく軍事費を増大させていく、そのための財源を国民の負担に求めることについては、大いに疑問があります。NHKの世論調査(1月7~9日実施)では、軍事費増大のための増税について反対61%(賛成28%)となっています。

     

    私たち出版労連は、平和と民主主義、言論・出版・表現の自由を守る立場でとりくみをすすめてきています。出版産業は平和であるからこそ成り立つ産業であり、戦争になると必ず言論・出版・表現の自由は侵害されてしまうからです。

    第二次世界大戦中の日本では、戦争に反対する内容の雑誌、詩、小説などは発行が認められませんでした。また教科書は,「国定教科書」として戦争賛美の内容が記述され、「お国のために死ぬこと」を恐れない教育が行われました。ロシアによるウクライナ侵攻が行われている現在でも、ロシア政府による言論統制が行われています。

    今回の閣議決定について、政府は「専守防衛に徹し、他国に脅威を与える軍事大国にはならない」としていますが、その根拠は何も示していません。今求められていることは、周辺国との緊張を高めるような政策を行うことよりも、友好関係を築き緊張を高めないようにする外交努力ではないでしょうか。

    また、現在の教科書検定における検定基準では、政府の統一的な見解を記すことになっています。今回の閣議決定も批判的な記述ができなくなる懸念があるとともに、憲法とは矛盾する戦争肯定を教科書に記述することになってしまいます。

    物価高が続いている状況の中、国の予算の使い方について、周辺国との緊張を高める軍事費増大に費やすのではなく、社会保障の充実や教育予算の拡充、物価高から生活を守るための施策~消費税減税・廃止、インボイス制度の中止など~に使うべきではないでしょうか。

     

    2023年春闘においては、なによりもベアを獲得し、出版労連すべての組合員や労働者の生活防衛を図っていくことを私たちは確認しました。私たちの生活や仕事へ影響を及ぼしかねない、また「専守防衛」や憲法の戦争放棄・平和主義がないがしろにされかねない閣議決定については、白紙に戻し、通常国会でていねいかつ充分な審議を行い、どうしても必要であるならば、選挙で国民に信を問うべきではないでしょうか。

     

    以上、決議します。

    2023年1月26日

    出版労連(日本出版労働組合連合会)

    第140回臨時大会

     

    PDF:230126tokubetsu-ketugi

  • フリーランスの春闘宣言2023

    フリーランスの春闘宣言2023

    2023年1月23日
    ユニオン出版ネットワーク(出版ネッツ)執行委員会

     

    フリーランスの春闘宣言2023

     

     日々、さまざまなコンテンツ作りに勤しんでおられるみなさん、現場で働くみなさん、経営者のみなさん、そしてメディアとコンテンツに接するすべてのみなさん。私たちは出版ネッツと申します。この業界に働く、フリーランスの編集者、ライター、カメラマン、デザイナー、イラストレーター、校正者などで作るユニオンです。デジタルからアナログまで、活字からオンラインまで、あらゆる媒体が私たちのフィールドです。

     この春に、みなさんにお伝えしたいことがあります。

     いま、コロナ禍と戦争が収束の兆しを見せず、経済が「安い日本」という構造から抜け出せていない中、これに物価高騰が追い打ちをかけています。

     また、多くの反対の声を押し切って、この秋に政府はインボイス制度を実施しようとしています。この制度によって、フリーランスは減収となること、膨大な事務負担を抱えることが確実です。仕事減となるフリーランス、廃業するフリーランスもまた少なくないとみられています。

     私たちはこの2023年が、フリーランスにとっての受難の年となることを恐れます。

     私たちはコンテンツ産業を支えるクリエイティブワークの担い手であり、そして生身の働き手です。あらゆるメディア産業の現場で、なくてはならない存在であると自負しています。1970年代に、隆盛を極めたメディア産業によって大量に生み出され、業界を形成した私たちフリーランスは、産業の申し子にほかなりません。私たちがみなさんと協同して作り出すコンテンツは、商品であると同時に、文化的な価値を持つものです。そこにこそ誇りを持ち、やりがいを感じて、日々の仕事に取り組んでいます。

     そんな私たちフリーランスの報酬は、何年も何十年も据え置かれたままです。1990年代に2万円だったものは、2020年代の今も2万円です。それがときとして引き下げられることを、私たちは幾度となく経験してきました。

     仕事をして生活するという当たり前の循環すら成り立たないとすれば、コンテンツ産業は今後、次世代への継承すらままならない事態となっていくでしょう。創造の源泉である報酬の充実は、どうしても必要です。

     この春、人材確保のために、大幅な賃金アップを実施する企業があります。人材流出の危機感から、政府、財界までもが賃上げに本気で取り組まざるを得なくなっています。この歴史的な分岐点に、フリーランスの報酬のみが据え置かれることは、時代と社会の要請に逆行するものと言わざるを得ません。

     この産業の業界天気図は、21世紀に入ってよりずっとどしゃ降りが続いています。その最大の要因は、クリエイターを大切にせず、使い捨てにしてきたせいではないでしょうか。何年も何十年もフリーランスの報酬が据え置かれ、クリエイティブワークにコスト削減圧力が向けられているという事実は、コンテンツ産業の将来に必ずや重くのしかかっていきます。働き手を尊重しない産業は必ず衰退します。それは、人を大切にしないことで衰退してきたこの国の姿と重なります。

     コンテンツ産業に働くみなさん、創造の成果を世に問い、知的生産に取り組む、すべてのみなさんに改めて訴えます。私たちフリーランスの報酬を、10パーセント増額してください。

     コンテンツ産業に従事する私たちフリーランスは、団結し、仕事と生活を守り抜きたいと考えています。

     歴史的な2023年春闘の果実が、フリーランスにも届く春となりますよう、すべてのみなさんに訴えます。

  • 第140回臨時大会 2023年春闘宣言

    第140回臨時大会 2023年春闘宣言

    2023年春闘宣言

     

     コロナ禍の仕事と生活が4年目に入ろうとしています。新型コロナウイルスの世界的流行は、病気そのものによる人命損失に加え、世界経済に大きなダメージを与えました。第8波の状況のなか、感染症法上の位置付けを現状の「2類相当」から、季節性インフルエンザと同等の「5類」へ引き下げる方針を固めたというニュースが先日ありました。しかしながら、すぐに景気が戻る保証はどこにもありません。また、22年2月から始まったロシアによるウクライナ侵攻は、未だ収まる気配もありません。その影響は経済だけでなく我々の平和をも脅かすものです。さらに、この1年、生活に欠かせないエネルギー・食料品などの価格が大幅に上昇しています。
     今のままでは、生活を守ることはできない。その実感は誰しもが持っているのではないでしょうか。そんななか我々は「物価高から生活を守る春闘に」を掲げ、本日、23春闘方針案を可決しました。
     23春闘では、賃上げの獲得指標を「誰でも定昇込み月額7,000円以上」から、「10,000円以上」にしました。それに伴い、初任給を「最低22万円」に引き上げ、産業別賃金を「30歳までに月30万円以上、年460万円以上」と前倒しにしました。最低賃金はこれまで通り、企業内最低賃金協定1,500円にこだわります。
     30年近くの間、日本の賃金は上がっていません。23春闘でベースアップを求めずして、いつ求めるのか。黙っていても賃金が上がることはありません。私たちの生活を守るため、要求を出し、経営に生活の厳しさを訴え、ベースアップを勝ち取っていきましょう。
     また、23年は10月からインボイス制度が実施される年でもあります。出版業界を支える多くのフリーランスの生活に直撃します。フリーランスだけの問題ではなく、会社の負担が増えることも考えられます。業界の大きな問題として捉えていきましょう。始まってからやめさせるのは、よりパワーが必要になります。始まる前の今、中止・撤廃を求めていきましょう。
     職場環境、労働条件の向上も大切です。コロナ禍で在宅勤務や時差出勤などについては、ワークライフバランスの観点から恒常的な制度として導入する社も増えています。労働者にとって不利な制度にならないよう、労使間で丁寧に議論を進めましょう。また、長時間労働については、4月から1ヵ月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率が50%になります。これは、長時間労働抑制のための制度です。お金を払えば残業させてよいというわけではないことを、労使ともに確認しましょう。
     「ピアソン桐原争議」「二玄社争議」も長期にわたるとりくみとなっています。全面的な解決をめざし、引き続き支援していきましょう。

     本日の臨時大会では、12名の代議員、6名の特別代議員から発言がありました。例えば、次のような内容です。

     出版ネッツからは、多数のインボイス制度の問題点が発言されました。また、インボイス制度以外にも、フリーランスの春闘宣言についても紹介されました。
     組織・争議対策部からは、争議の詳細と、未加盟単組への訪問の報告、そして、持続可能な活動になるために協力の呼びかけがありました。争議の詳細については、当該の桐原労組からの報告もありました。
     賃金・社会保障対策部からは、具体的な物価高の家計への影響と、「物価上昇を上回る賃上げを実現していく」ための活動の活性化についての話がありました。
     紙上発言では、出版ユニオンから、日販王子流通センターにおける非正規労働者への安全配慮義務違反をはじめとする、さまざまな非正規差別が紹介されています。

     課題は多岐にわたり、すべてを容易に解決できるものではありませんが、本日の討議のなかで問題を共有し、ともに努力し合うことを確認しました。
     23春闘はベースアップを勝ち取り、1つでも多くの課題を解決し、私たちの職と食を守りましょう。

    以上
    2023年1月26日
    日本出版労働組合連合会
    第140回臨時大会

    PDF:230126sengen

  • 第49回出版研究集会開催

    第49回出版研究集会開催

    出版産業のこんにち的到達と課題を解き明かそうという出版研究集会の49回目を、
    2023年2月10日~3月1日にかけてオンライン併用で開催します。
    全体会と5つの分科会で構成。参加費1,000円で、すべての回に参加できます。
    出版労連組合員以外の方の参加も大歓迎。ふるってご参加ください
    —————————-
    第49回 出版研究集会
    ★詳細はチラシをご覧ください★
    【PDF】第49回出版研究集会

    開催期間:2023年2月10日(金)~3月1日(水)
    参加費 :1,000円(全体会+すべての分科会に参加できます)
    会場:出版労連会議室+Zoom、もしくは文京シビックセンター+Zoom
    申し込み方法:以下ABのいずれでも可
    A Peatixで通し券を購入
    https://49syukken.peatix.com/
    B メールでのお申し込み
    件名を「49出研集会申し込み」とし、以下を本文に記入して、
    sakai@syuppan.net
    にお送りください。
    1. 氏名/2. 単組名(出版労連組合員以外の方は会社名などを任意で)/3. メール
    アドレス/4. 会場参加したい全体会・分科会

    ◎全体会
    いま、本を読むこと・つくること――パンデミックと戦争のさなか
    小川公代さん(英文学者、上智大学)
    白石正明さん(編集者、医学書院)
    2月28日(火)18:30~20:30
    文京シビックセンター26F スカイホール(オンライン併用)
    ◎分科会1
    個人情報の利活用だ! さあ、あなたの個人情報をマイナポイントと交換しよう! で
    も、それってほんとうに大丈夫?
    「共通番号いらないネット」から2名
    2月10日(金)18:30~20:00
    出版労連会議室(オンライン併用)
    ◎分科会2
    デジタル社会のデモクラシーを求めて――ビッグ・テックとの闘い
    内田聖子さん(NPO法人アジア太平洋資料センター[PARC]共同代表)
    2月15日(水)18:30~20:00
    出版労連会議室(オンライン併用)
    ◎分科会3
    「いいね」で名誉棄損? SNS時代の表現の自由講座
    志田陽子さん(憲法学者、武蔵野美術大学)
    2月20日(月)18:30~20:00
    出版労連会議室(オンライン併用)
    ◎分科会4
    文科省による「拉致問題関連本の充実」要請問題を通して図書館の自由を考える
    松井正英さん(日本図書館協会・図書館の自由委員会委員/長野県諏訪清陵高等学
    校・附属中学校学校司書)
    2月24日(金)18:30~20:00
    文京シビックセンター4階会議室B(オンライン併用)
    ◎分科会5
    教育DXは何をもたらすか
    児美川孝一郎さん(教育学研究者、法政大学)
    3月1日(水)18:30~20:00
    出版労連会議室(オンライン併用)

    お問い合わせ:出版労連・坂井
    電話:03-3816-2911
    メール:sakai@syuppan.net