カテゴリー: 声明・談話など

  • 出版労連・第141回定期大会特別決議  労使関係を破壊する外部からの不当な経営介入を許さない

    出版労連・第141回定期大会特別決議 労使関係を破壊する外部からの不当な経営介入を許さない

    出版労連・第141回定期大会特別決議

    労使関係を破壊する外部からの不当な経営介入を許さない

     2023年5月、マキノ出版が民事再生を断念し、破産手続きに入りました。マキノ出版グループ労組(以下、マキノ労組)は出版労連に加盟する単組の一つであり、全従業員の解雇にいたった破産までの経緯は痛ましいものでした。

     2月にマキノ出版経営(以下、経営)が、事業再建と称し大幅な労働条件の切り下げとマキノ労組に対する解散要請を行ったことから、出版労連は同労組とともに対策会議体制を組み財務状況を分析し、労使協議を通じた事業再建を経営に呼びかけました。

     しかし、団交を通じて浮かび上がってきたのは、従業員をコスト(人件費)としかみなさず、コストカットと称して不当労働行為すら行い、事業再建に本来不可欠な労使協議や情報共有を遮断するよう唆す悪質なコンサルタントの存在と、その言いなりで主体的な判断を放棄してしまった経営の姿でした。マキノ労組は事業再建のための課題がどこにあるのか経営に説明を求め、たとえ労働条件や業務内容に関して苦渋の決断を迫られることがあっても、労使協議を通じて経営が説明を尽くせば協力する用意があり、その姿勢で議論に臨んでいることを訴え続けました。それでも経営からの情報開示は進まず、マキノ労組が事業再建に協力する機会も与えられないまま 、経営は民事再生申立を強行し、最終的に民事再生を断念する結果となり、破産申立に至ってしまったのです。

     「退職金制度は廃止する、組合は解散を決議してその資産を会社へ供与せよ」などと突如一方的に強要してきた経営に対し、マキノ労組は大混乱に陥りました。当初の混乱の中では「組合が解散すれば会社は存続できるのでは」と思い悩む組合員もいました。強引に組合解散を迫り、かつ組合の資産供与を強制する姿勢は社会常識としてありえないだけでなく、明白な不当労働行為です。さらには上部団体や弁護士に相談することを禁ずるかのようなコンサルタントの暴言もありました。マキノ労組はこれらの不当労働行為を記録し、出版労連の仲間や専門家と力を合わせ、従業員の声を集約して経営へ伝えることを通じて、正当な手続きを経ていない退職金制度の廃止を撤回させるなどの成果を勝ち取りました。その過程では、事業再建に協力するため情報開示を求めるマキノ労組と、開示に応じない経営との間で議論が停滞する場面もありましたが、経営が後に団交の場で認めたように、そこには労使対立の構図は存在しませんでした。にもかかわらず、コンサルタントは「破産の背景には労使対立があった」などとする記事を公開し、自らが出版社の事業再生の第一人者であることを積極的にアピールしています。

     同社の一部発行物は他社へ譲渡され存続することとなりましたが、マキノ出版は破産し、その出版を担ってきた従業員は職を失いました。経営が悪質なコンサルタントの介入に依存せず、労使関係を尊重し事業再建への協力を求めていたら、経営とマキノ労組の双方が被った痛みはいくらか軽くなったのではないでしょうか。

     出版業界は紙媒体の縮小という長期トレンドに加え、制作原価の高騰に苦しんでいます。経営状況の悪化が表面化する会社が今後、増加する懸念があります。事業再建のために、経営が社外のコンサルタントなどへ協力を求めることも予測しておく必要があります。しかし、自社の発行物を熟知し、取次や書店、読者と直接かかわり、より良い働き方を求めてとりくんでいる従業員を排除していては、出版文化と雇用を守る真の意味での事業再建は叶いません。私たち出版労連に加盟する労働者は、社外からの経営介入に不当労働行為の徴候がみられた場合には本部や地協、小共闘の仲間と情報共有して労使協議に臨み、一方的な労働条件・労働環境の改悪をさせないようとりくみます。

    以上、決議します。

     

    2023年7月14日

    日本出版労働組合連合会 

    第141回定期大会

    PDF:230714ketugi_roushi

     
  • 出版労連・第141回定期大会特別決議  出版の現場に分断と混乱を生み、産業の空洞化と衰退をもたらす インボイス制度の中止・撤廃を求めます

    出版労連・第141回定期大会特別決議 出版の現場に分断と混乱を生み、産業の空洞化と衰退をもたらす インボイス制度の中止・撤廃を求めます

    出版労連・第141回定期大会特別決議

    出版の現場に分断と混乱を生み、産業の空洞化と衰退をもたらす

    インボイス制度の中止・撤廃を求めます

     政府は2023年10月から、インボイス制度(適格請求書等保存方式)を、日増しに高まる反対の声に向き合うことなく開始しようとしています。

     これまで売上高1,000万円以下の事業者(中小業者や個人事業主、そしてフリーランス)は、免税事業者とされ、消費税納付の義務はありませんでした。インボイス制度では、課税事業者にならざるを得ない状況に追い込まれます。免税事業者のままでいることを選択した場合、課税事業者である取引先からインボイスの登録を求められたり、取引から排除されたり、消費税分の値下げを求められたりするおそれがあります。自らの課税売上にかかる消費税から控除できる仕入れにかかった消費税は、インボイスによるものに限られるからです。

     すでに、仕事の発注側から受注側へ、あるいはフリーランス同士で消費税の押し付け合いが始まっています。適格請求書発行事業者にならなければ消費税分を差し引いて支払う、あるいは取引を差し控えるという発注者があらわれています。これらは下請け法違反となります。

     日本商工会議所は2023年度の「税制改正に関する意見」で、「消費税インボイス制度の導入延期を含めた対応」を求めています。「同制度が導入された場合、免税事業者が取引から排除されたり、不当な値下げ圧力等を受けたりする懸念があることに加え、発行する請求書の様式変更、システムの入替・改修、受け取った請求書等に登録番号があるかの確認」などがあるとして、「事業者にとって多大な負担が生じる」と訴えました。同意見書は「制度導入後の混乱が避けられない場合は、制度の導入時期を延期すべきである」としています。

     「インボイス制度について考えるフリー編集(者)と漫画家の会」が出版業界で働くフリーの編集者を対象にした調査(2022年11月~23年3月実施)によると、インボイス制度が導入されれば「廃業する可能性がある」「廃業することを決めている」が19%、「(インボイス制度を)延期すべきだ」「導入すべきでない」は合わせて94%にのぼっています。

     政府は、本年3月末としていた事業者の登録申請期限を9月30日まで事実上延長する措置をとりました。しかしながら、インボイス制度の問題を解消するものではありません。そもそも消費税というものは、裁判所の確定判決(1991年3月26日 東京地裁および同年11月26日 大阪地裁)でも、また、最近の政府答弁(2023年2月10日 衆議院 内閣委員会)でも明らかなように「対価の一部」であって「預り金」ではありません。政府は世間一般に流布する消費税に関する誤解を放置したまま、矛盾に満ちたインボイス制度を実行しようとしているのです。

     私たちの働く出版産業において、クリエイティブワークを下支えしてきたのは、低い収入、弱い立場の、フリーランスや中小零細事業者です。インボイス制度は出版の現場に分断と混乱を生み、産業の空洞化と衰退をもたらしかねません。出版社のなかには、受注者の不利益にならないように対応することを表明している社もあります。

     

     出版労連、出版ネッツは、これまでもインボイス制度に対する反対を業界団体などに訴えてきましたが、いよいよ実施時期が迫った第141回定期大会において、出版の現場に分断と混乱を生み、産業の空洞化と衰退をもたらす本制度の中止・撤廃をあらためて強く求めます。

     

    2023年7月14日

    日本出版労働組合連合会 

    第141回定期大会

    PDF:230714ketugi_invoice

     
  • 出版労連・第141回定期大会  大会宣言

    出版労連・第141回定期大会 大会宣言

    出版労連・第141回定期大会

    大会宣言

     

     22秋季・年末闘争や23春闘では賃金面で一定の成果を上げることができました。しかし、昨今の急激な物価高に追いついていないのが現実です。2023年度の成果ととりくみを振り返り、さらなる賃上げを勝ち取るべく、私たちは2023年7月14日に第141回定期大会を開催し今期1年間の運動方針を確認しました。

     30年間ほとんど上がることがなかった日本の賃金に、やっと上昇のきざしが見え始めました。これを機に物価高にも負けない賃金や報酬のアップを勝ち取っていきましょう。そして、そのためには団結が必要です。今、ここにいない出版労働者との連帯を深め、出版労連の組織拡大を実現していく必要があります。大会中、何人かの代議員から発言がありましたが、組織拡大は一朝一夕に成果が出るものではありません。出版労連全組合員が一丸となって力を合わせ、粘り強く組織拡大にとりくんでいきましょう。

     今回の定期大会では、10名の代議員、7名の特別代議員から発言がありました。また、2名の代議員から文書発言がありました。例えば、次のような内容です。

    ●「はじめに」にあるように、30年間で出版労連の組織の人数が半減したことについて危機感があるが、議案書にあるように本腰を上げることに安心した。組織拡大は昔からの課題だったが、日々の活動に追われ後回しになっていたといった意見がありました。また、組織拡大のためには、出版青年ネットワークの活動の重要性や、あらたな方策としての「ファシリテーション」「コミュニティー・オーガナイジング」の導入も検討するべきであるとの意見もありました。
    ●特定秘密保護法の廃止は出版研究室を活動母体とし、出版労連の重要課題の一つとして位置付けられているが、2022年12月に海上自衛隊で逮捕者が出たことによる危機感をふまえ、改めて重要な問題であることを認識するべきと紹介されました。
    ●会社の存続を人質に取れられ、組合解散を迫られたり、組合財政の提供を求められたりするなどの経営からの働きかけに屈することなく、闘うことをあきらめなかったマキノ出版労組の奮闘が紹介されました。また、桐原ユニオンからは、経営が一方的に和解協定の調印を拒み、再度、東京都労働委員会へ申し立てることとしたとの報告もありました。
    ●教科書採択に絡んだ贈収賄事件について、コンプライアンスだけの問題ではなく、採択に強い権力を持った人物によるカスタマーハラスメントの一面が紹介され、制度そのものに起因する問題であることや、「良心的拒否権」の学習によって、そういったハラスメントや、コンプライアンスに問題がある業務命令への対処の必要があることが紹介されました。
    ●出版ネッツからは、フリーランス新法、インボイス制度などについての法律の問題点や、出版ネッツが主体的にとりくんでいる世田谷区史編さん問題などについての紹介がありました。
    ●出版情報関連ユニオンからは、世論の春闘の成果とはかけ離れた、時間給で働く取次下請労働者の、勤務時間縮小による収入減などの実態が文書発言にて紹介されました。

     課題は多岐にわたり、すべてを容易に解決できるものではありません。出版労連が抱える「桐原書店争議」「二玄社争議」も長期にわたるとりくみになり、未だ出口が見えません。新型コロナウイルスも感染症法上5類に移行し、対面での組合活動も徐々に再開できるようになりました。対面やオンラインでの対話を増やし議論を深め、一つひとつの問題に丁寧にとりくんで解決をめざしていきましょう。

    2023年7月31日
    日本出版労働組合連合会
    中央執行委員会

    PDF:230714taikai_sengen

  • 安全保障3文書の閣議決定及び軍事費増大に関する出版労連見解

    安全保障3文書の閣議決定及び軍事費増大に関する出版労連見解

    2023年1月26日 第140回臨時大会 特別決議

    安全保障3文書の閣議決定及び軍事費増大に関する出版労連見解

     

    政府は、2022年12月16日、新たな「国家安全保障戦略」、「国家防衛戦略」及び「防衛力整備計画」(安全保障3文書)を閣議決定しました。これは、相手国の領域内にあるミサイル発射手段等を攻撃するための敵基地攻撃能力や、攻撃対象を「敵基地」以外に拡大することになりかねない、いわゆる「反撃能力」の保有を進めようというものです。そのために防衛費(軍事費)をGDP(国内総生産)比2%にまで増大させるとして、不足する財源を増税でまかなおうとしています。
    このことについては、以下の疑問点や問題点が指摘できます。

     

    1.本当に平和を守ることができるのか?

    政府は敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有により「抑止力」を高めることが日本の安全に不可欠だと主張しています。しかし、本当に抑止力になるのでしょうか。日本が敵基地攻撃能力を保有し、軍事費をGDP比2%にまで増大させると、アメリカ、中国に次ぐ世界第3位の軍事大国になります。それは、周辺国からはどう見られるのでしょうか? 周辺国の緊張を高めることにつながり、「軍事対軍事」のさらなる軍拡競争につながり、安全保障上のリスクを高め,日本が戦争に巻き込まれることになるのではないでしょうか。

     

    2.憲法や従来の政府見解との関係について何ら説明していない

    今回の閣議決定は、「反撃能力」という名で敵基地攻撃能力の保有を進めることとしています。しかし憲法9条では、「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」と謳っています。政府は、「平生から他国を攻撃するような、攻撃的な脅威を与えるような兵器を持っているということは、憲法の趣旨とするところではない」(1959年3月19日政府答弁)との立場をとってきました。今回の閣議決定について、政府は戦争放棄を謳った憲法との関係および従来の政府見解との関係について、何ら説明していません。

     

    3.手続き面で問題がある

    今回の閣議決定は、昨年秋の臨時国会閉会後に行われました。政府自ら「戦後の安全保障政策の大転換」と言っていますが、そのような重大な問題について、国会で審議することもなく、1内閣の閣議だけで決めてしまうことは、国会軽視、立憲主義の否定と言わざるを得ません。

     

    4.軍事費増額の財源を増税で賄おうとしている

    大軍拡の財源について政府は、復興特別所得税の半分を軍事費に回す、「防衛力強化資金」の名目で医療機関の積立金やコロナ対策費の未使用分など医療にあてるべき予算を流用しようとしているなど、医療や暮らしの予算の流用・削減などを示しています。

    さらに、2023年度政府予算案および「税制改正大綱」では、軍拡財源として復興特別所得税の流用を盛り込みました。5年間で43兆円もの大軍拡を進める初年度予算であり、2023年度分の軍事費だけでも6兆8,219億円と過去最大となっています。

    未曽有の物価高で国民の暮らしを守り、日本経済を好循環させていくためには、賃上げ・ベアが社会的な要請となっている中、具体的な賃上げ政策を示すことなく軍事費を増大させていく、そのための財源を国民の負担に求めることについては、大いに疑問があります。NHKの世論調査(1月7~9日実施)では、軍事費増大のための増税について反対61%(賛成28%)となっています。

     

    私たち出版労連は、平和と民主主義、言論・出版・表現の自由を守る立場でとりくみをすすめてきています。出版産業は平和であるからこそ成り立つ産業であり、戦争になると必ず言論・出版・表現の自由は侵害されてしまうからです。

    第二次世界大戦中の日本では、戦争に反対する内容の雑誌、詩、小説などは発行が認められませんでした。また教科書は,「国定教科書」として戦争賛美の内容が記述され、「お国のために死ぬこと」を恐れない教育が行われました。ロシアによるウクライナ侵攻が行われている現在でも、ロシア政府による言論統制が行われています。

    今回の閣議決定について、政府は「専守防衛に徹し、他国に脅威を与える軍事大国にはならない」としていますが、その根拠は何も示していません。今求められていることは、周辺国との緊張を高めるような政策を行うことよりも、友好関係を築き緊張を高めないようにする外交努力ではないでしょうか。

    また、現在の教科書検定における検定基準では、政府の統一的な見解を記すことになっています。今回の閣議決定も批判的な記述ができなくなる懸念があるとともに、憲法とは矛盾する戦争肯定を教科書に記述することになってしまいます。

    物価高が続いている状況の中、国の予算の使い方について、周辺国との緊張を高める軍事費増大に費やすのではなく、社会保障の充実や教育予算の拡充、物価高から生活を守るための施策~消費税減税・廃止、インボイス制度の中止など~に使うべきではないでしょうか。

     

    2023年春闘においては、なによりもベアを獲得し、出版労連すべての組合員や労働者の生活防衛を図っていくことを私たちは確認しました。私たちの生活や仕事へ影響を及ぼしかねない、また「専守防衛」や憲法の戦争放棄・平和主義がないがしろにされかねない閣議決定については、白紙に戻し、通常国会でていねいかつ充分な審議を行い、どうしても必要であるならば、選挙で国民に信を問うべきではないでしょうか。

     

    以上、決議します。

    2023年1月26日

    出版労連(日本出版労働組合連合会)

    第140回臨時大会

     

    PDF:230126tokubetsu-ketugi

  • 第140回臨時大会 2023年春闘宣言

    第140回臨時大会 2023年春闘宣言

    2023年春闘宣言

     

     コロナ禍の仕事と生活が4年目に入ろうとしています。新型コロナウイルスの世界的流行は、病気そのものによる人命損失に加え、世界経済に大きなダメージを与えました。第8波の状況のなか、感染症法上の位置付けを現状の「2類相当」から、季節性インフルエンザと同等の「5類」へ引き下げる方針を固めたというニュースが先日ありました。しかしながら、すぐに景気が戻る保証はどこにもありません。また、22年2月から始まったロシアによるウクライナ侵攻は、未だ収まる気配もありません。その影響は経済だけでなく我々の平和をも脅かすものです。さらに、この1年、生活に欠かせないエネルギー・食料品などの価格が大幅に上昇しています。
     今のままでは、生活を守ることはできない。その実感は誰しもが持っているのではないでしょうか。そんななか我々は「物価高から生活を守る春闘に」を掲げ、本日、23春闘方針案を可決しました。
     23春闘では、賃上げの獲得指標を「誰でも定昇込み月額7,000円以上」から、「10,000円以上」にしました。それに伴い、初任給を「最低22万円」に引き上げ、産業別賃金を「30歳までに月30万円以上、年460万円以上」と前倒しにしました。最低賃金はこれまで通り、企業内最低賃金協定1,500円にこだわります。
     30年近くの間、日本の賃金は上がっていません。23春闘でベースアップを求めずして、いつ求めるのか。黙っていても賃金が上がることはありません。私たちの生活を守るため、要求を出し、経営に生活の厳しさを訴え、ベースアップを勝ち取っていきましょう。
     また、23年は10月からインボイス制度が実施される年でもあります。出版業界を支える多くのフリーランスの生活に直撃します。フリーランスだけの問題ではなく、会社の負担が増えることも考えられます。業界の大きな問題として捉えていきましょう。始まってからやめさせるのは、よりパワーが必要になります。始まる前の今、中止・撤廃を求めていきましょう。
     職場環境、労働条件の向上も大切です。コロナ禍で在宅勤務や時差出勤などについては、ワークライフバランスの観点から恒常的な制度として導入する社も増えています。労働者にとって不利な制度にならないよう、労使間で丁寧に議論を進めましょう。また、長時間労働については、4月から1ヵ月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率が50%になります。これは、長時間労働抑制のための制度です。お金を払えば残業させてよいというわけではないことを、労使ともに確認しましょう。
     「ピアソン桐原争議」「二玄社争議」も長期にわたるとりくみとなっています。全面的な解決をめざし、引き続き支援していきましょう。

     本日の臨時大会では、12名の代議員、6名の特別代議員から発言がありました。例えば、次のような内容です。

     出版ネッツからは、多数のインボイス制度の問題点が発言されました。また、インボイス制度以外にも、フリーランスの春闘宣言についても紹介されました。
     組織・争議対策部からは、争議の詳細と、未加盟単組への訪問の報告、そして、持続可能な活動になるために協力の呼びかけがありました。争議の詳細については、当該の桐原労組からの報告もありました。
     賃金・社会保障対策部からは、具体的な物価高の家計への影響と、「物価上昇を上回る賃上げを実現していく」ための活動の活性化についての話がありました。
     紙上発言では、出版ユニオンから、日販王子流通センターにおける非正規労働者への安全配慮義務違反をはじめとする、さまざまな非正規差別が紹介されています。

     課題は多岐にわたり、すべてを容易に解決できるものではありませんが、本日の討議のなかで問題を共有し、ともに努力し合うことを確認しました。
     23春闘はベースアップを勝ち取り、1つでも多くの課題を解決し、私たちの職と食を守りましょう。

    以上
    2023年1月26日
    日本出版労働組合連合会
    第140回臨時大会

    PDF:230126sengen

  • 大日本図書株式会社による教育長等の接待について(見解)

    大日本図書株式会社による教育長等の接待について(見解)

     

    2022.10.24
    日本出版労働組合連合会(出版労連)
    教科書対策部長
    小森浩二

    PDF:20221024kenkai

     

    大日本図書株式会社(以下大日本図書)が、教育長らに接待を行っていたことが明らかになった。出版労連教科書対策部は、この問題は以下に述べる観点から軽視できないものであると認識し、ここに見解を表明する。

     

    (経過の概要)
    2022年9月30日および10月7日の各メディアの報道によれば、次のような経過であった。
    1. 2022年7月1日に、大日本図書営業担当幹部らが、茨城県五霞町(採択地区としては茨城第11地区)の教育長およびその知人の元中学校長と会食し、その代金1人当たり約9,500円を同社が支払い、1,600円の菓子を渡していた。
    2. 接待された2名は教育長とその知人の元校長であった。
    3. 接待の席上、教科書採択の話は出なかった。
    4. 接待を受けた2名は、後日その費用を大日本図書の銀行口座に振り込んだ。
    5. 当該教育長は、10月3日に辞職願を町長に提出し、7日付で退職した。

     

    (見解)
    1. 大日本図書及び同社が加盟する一般社団法人教科書協会が、9月30日にそれぞれ公表した「お詫び」「令和4年9月30日付の読売新聞報道について」でも述べているように、自ら合意した自主ルール「教科書発行者行動規範」に違反するものである。
    2. 教科書採択は、その内容の如何によるべきであって、接待などで左右されてはならない。それにもかかわらず、同様の問題は前出の自主ルール策定後も複数の教科書発行者により、何度か起こっている。こうした問題が、教科書採択制度の構造に根差していることを指摘しなければならない。
    3. 教科書無償措置法に基づく義務教育教科書の採択が1964年に施行されて以後、教科書業界では与党や政府高官への献金をはじめ、最近も2016年の「白表紙問題」、教育課題アドバイザー制度といった問題が繰り返され、出版労連とその傘下の教科書労働組合共闘会議(教科書共闘)は、これらの問題を強く批判し、その清算を要求してたたかってきた。今回の問題は、その体質がいまだに払拭されていないことを示すものである。これを機に、教科書業界の体質を根本的に改めるべきである。各発行者に対し、そのための努力を要求するものである。
    4. 今回のような問題の再発防止のためには、教科書発行者の自覚が必要であることは当然だが、それに加えて、少なくとも次のような教科書制度の改革が必要である。各発行者の自覚に委ねるだけでは、いずれ再発する可能性は高いと言わなければならない。
    (1) 義務教育教科書で行われている現行広域採択制度(共同採択制度)を改め、高等学校同様、学校ごと採択にすること。高等学校では実施しているにもかかわらず、義務教育では不可能であるとの文部科学省の主張は成り立たない。この制度は、4年ごとに「オール・オア・ナッシング」「ウィナー・テイク・オール」という結果をもたらすきわめて不合理な制度である。
    (2) 教科書価格を大幅に引き上げて適正化すること。この問題の根本には、児童生徒数の減少と価格の抑制による教科書業界への先行きに対する経営の不安と懸念がある。文部科学省の来年度の概算要求でも、引き上げ率は1.4%にすぎない。文部科学省は物価高騰、特に用紙代の高騰を考慮したとするが、全く不十分である。その意味では今回の問題を引き起こした根源は国家政策にあると言わなければならない。

    5. 今回の問題を利用して教科書発行者の正当な営業活動を萎縮させるような動きがあれば、断固反対する。

     

    以上

     

  • 第139回定期大会大会宣言

    第139回定期大会大会宣言

    大会宣言

     

     私たちは、この第139回定期大会で「賃金・労働条件を向上させ、働きやすい職場をつくろう/ハラスメント根絶、ジェンダー平等、フリーランスの権利向上を/平和と民主主義、言論・出版・表現の自由を守ろう」をスローガンとして掲げるなか、2023年度の運動方針案について討議してきました。
     「戦争が廊下の奥に立つてゐた」かつて中学校の国語教科書に掲載されていた渡辺白泉の俳句です。戦争に関するニュースが毎日、大きく報道されるなか、先の参議院選挙では「改憲4党」と呼ばれる勢力が、改憲発議に必要な3分の2を確保しました。私たちは日中戦争のころにつくられた、治安維持法違反の嫌疑で投獄されたという渡辺白泉の句から、出版労連にとって平和に対するとりくみとは何か、今、あらためて考えることが大切ではないかと考えます。
     映画「教育と愛国」で描かれたように教科書に対する権力の介入が今、大きな問題になっています。私たちは2023年度も引き続き、言論・出版・表現の自由を守る活動にとりくんでいきましょう。また、先の参院選では、街頭演説中の安倍元首相が銃で撃たれ死亡するという事件が起きました。私たちはあらゆる暴力に抗していきましょう。
     コロナ禍の影響は未だ大きいのですが、出版業界は雑誌の売上減、書店の減少などの課題がある一方、紙の書籍の売上が15年振りの増加となり、コミックスを中心に電子での売上が好調で、中小を含めた出版業界全体とはいかないまでも、一筋の光が見え始めています。2023年度も引き続きオンラインも利用した対話もとり入れて、賃上げ、労働条件の改善に積極的にとりくみましょう。
     取材活動中に長崎市の部長から性暴力を受けたとして市に損害賠償を求めた裁判で、長崎地裁は記者の訴えを認め、約1,975万円の支払いを市に命じました。出版労連でも、ハラスメントの被害者にも加害者にもならないために、引き続きジェンダー平等に対するとりくみをすすめていきましょう。
     本日の定期大会では、9名の代議員、2名の特別代議員から発言がありました。また、事前発言として3名の特別代議員から文書発言がありました。例えば、次のような内容です。

    ●賃金とは何かを考えたい。在宅勤務を検討。事実婚の場合の社会保障に配慮を。リストラ後の組合活動、若い人が参加できる組合活動を。大手の出版社の組合、管理職にも声掛けを。
    出版労連の加盟組合数、組合員数の減少。大きな課題がある。具体的なとりくみを。
    ●争議支援では、フリーライターAさんの裁判の画期的な判決、美々卯スラップ訴訟の納得できる和解があった。一方、二玄社では新たに解雇争議が発生した。桐原争議も、会社側が和解を拒み継続中、争議の全面解決を目指す。
    ●教科書価格については、デジタル教科書のことも検討してほしい。紙の教科書の価格は販売管理費も考えてほしい。従軍慰安婦など教科書をめぐる状況。教科書会社の淘汰。
    ●取次現場の管理強化、賃金・コストカット、労働環境の問題。宣伝活動への支援を。出版業界のパワハラ・セクハラの問題へのとりくみを。フリーランスの労災の問題の検討を。
    ●20周年を迎えた出版ユニオンでは、労働相談に対応、イベントとの開催など活発な活動を行った。

     課題は多岐にわたり、すべてを容易に解決できるものではありませんが、本日の討議の中で問題を共有し、ともに努力し合うことを確認しました。
     出版業界は今、大きな転換期を迎えています。また、戦争や長引くコロナ禍は私たちの生活に、物価高など大きな影響を及ぼしています。さらにハラスメントやテレワーク、長時間労働、非正規やフリーランスの賃金・報酬の問題など、労働環境の面でも解決すべき多くの課題があります。そのようななか、労働組合は世代交代やリアルな会議が行えないなどの課題を抱えつつも、日々の生活や仕事とも両立させながら、知恵を出し合い、力を合わせて真摯に活動にとりくんでいます。その努力は必ずや実を結び、大きな花を咲かせることでしょう。
     今、「時代が労働組合を欲している」という見方もできます。私たちは出版に携わる者の労働組合として、未来に向けてもっと議論を深め、広く発信し、より多くの人とつながって、平和で豊かな社会をつくっていかなければなりません。夢を追い求めることをあきらめることなく、ともに一歩ずつ前にすすんでいきましょう。

    以上、宣言します。

     

    2022年7月15日連合会 第139回定期大会
    日本出版労働組合
    PDF:220715大会宣言

  • 第139回定期大会特別決議(言論・出版・表現の自由と平和を守ろう)

    第139回定期大会特別決議(言論・出版・表現の自由と平和を守ろう)

    出版労連・第139回定期大会特別決議

    言論・出版・表現の自由と平和を守ろう

     

     2022年2月24日、ロシアが隣国のウクライナに軍事侵攻しました。ロシアのプーチン大統領は、国際社会からの非難を浴びても攻撃の正統性を主張し、あろうことか核兵器の使用も辞さない姿勢を見せました。ウクライナの抵抗は続き、未だ戦争終結の糸口さえ見いだせていません。ロシアのウクライナ侵略に対抗して各国で武器の提供をし合うことが、ますます世界的な規模で広がっています。
     「平和のためには軍事力を高める必要がある」それは本当に平和のためでしょうか。
     国連憲章は、国連の目的を「国際の平和及び安全を維持すること」とし、「すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない」との原則を示しています。
     第二次世界大戦では、日本軍によりアジア市民が多数犠牲になりました。そして、最後はアメリカによる広島、長崎への原爆投下で戦争の終結を迎えたのです。
     戦争を起こさないためにはどうしたらよいのでしょうか。
     私たちは「武力に頼ることなく、対話で平和を守る」という声をあげていくことを続けていく必要があるのではないでしょうか。
     そして、このような戦時下では言論への制限も強まっています。ロシアでは情報が規制され、海外メディアは閉め出され、都合の悪い情報は国民には知らされないように政府によりコントロールされています。香港やミャンマーなど、世界各国で言論の自由と知る権利は危うい状況にあると言えます。
     日本でも第二次世界大戦で国による言論統制が行われました。国民には国の都合のよいことしか知らされず、戦争に反対を唱えた人々は逮捕されていきました。
     そして現代の日本は平穏に見えるようで、どこか息苦しさが感じられます。
     近年では「表現の不自由展」の開催への妨害、言論に対する恫喝目的で提訴し高額賠償を求めるスラップ訴訟も起きています。
     このような時に憲法改正をすすめる動きが強まっています。自民党の改憲草案では、言論・出版・表現の自由を保障する日本国憲法21条に第2項を加え、「公益及び公の秩序を害することを目的とする」活動は認めないとしています。
     私たちは言論・出版・表現の自由を守るために改憲に反対します。そして憲法で保障されている私たちの権利をよりどころとして平和を守るとりくみを続けていきます。

    以上、決議します。

     

    2022年7月15日
    日本出版労働組合連合会
    第139回定期大会
    PDF:220715特別決議「言論・出版・表現の自由と平和」

  • 2021年度実施教科書検定結果についての見解

    2021年度実施教科書検定結果についての見解

    2022年4月22日
    日本出版労働組合連合会
    教科書対策部


    2021年度実施教科書検定結果についての見解

     
     
     3月29日の教科用図書検定調査審議会総会を経て、2021年度に行われた教科書検定結果が報道解禁となった。出版労連教科書対策部は、これについての見解を表明する。本見解は、各種報道によって現時点で判明しているかぎりのものであり、詳細については、今後刊行する『教科書レポート2022』(No.65)誌上で表明することとする。検定に関する情報は「静ひつな審査環境の確保」を理由に極度に秘匿されており、5月下旬頃になるまで入手困難である。このこと自体不当であり、少なくとも報道解禁と同時に公開することを求めるものである。

    1.概要
     今回も、全体としては客観的な誤りの修正が最多であった。誤記自体は弁明できないが、誤記が頻発する背景には、各教科書発行者で検定申請の日程に間に合わせるために長時間過密労働が横行していること、その原因は教科書価格があまりにも安いため、必要な人員の確保の困難さがあることを指摘しておきたい。
     後述する「国語表現」や,理科で「生物」で検定意見数が突出して多いことと合わせて,検定制度そのものの正当性を揺るがしかねない事例が見られたことは重大である。
     「令和書籍」が再申請した中学校社会科歴史的分野『国史』は今回も不合格になった。出版労連としては不合格処分を伴う教科書検定制度には一般的には反対である。しかし『国史』は、その歴史修正主義的・復古主義的内容はもとより、事実誤認や誤記があまりに多く、一般図書としても、まして中学校で使用する教材として不適切なものであり、検定申請するに値しないものであったことを厳しく批判するものである。
     
    2.「従軍慰安婦」「強制連行」「強制労働」
     「政府の統一的見解に従っていない」として、「従軍慰安婦」からの「従軍」の削除、アジア太平洋戦争中の植民地とされた朝鮮半島からの労働者の「強制連行」「強制労働」から「強制」を削除させる意見が付けられた。この問題については『教科書レポート2021』で詳述したとおりであるが、該当する検定基準は「閣議決定その他の方法により示された政府の統一的な見解又は最高裁判所の判例が存在する場合には、それらに基づいた記述がされていること」(地理歴史科1-(5))とあり、「最高裁判所の判例」には「軍隊慰安婦」としたものもある(「アジア太平洋戦争韓国人犠牲者補償請求訴訟」判決。2004年11月29日)ことが、2021年5月26日の衆議院文部科学委員会で指摘されている(なお、この質疑では萩生田文部科学大臣(当時)も政府参考人も、この判決を知らないと述べた)。この事実を無視して「政府の統一的な見解」のみを検定に適用したことは、文科省自ら検定基準を歪めて適用した政治的な偏向というほかない。
     そもそも「政府の統一的な見解」としての閣議決定自体、この例に見られるとおり決して政治的に公正なものとは限らず、検定基準である「政治や宗教の扱いは、教育基本法第14条(政治教育)及び第15条(宗教教育)の規定に照らして適切かつ公正であり、特定の政党や宗派又はその主義や信条に偏っていたり、それらを非難していたりするところはないこと」(教科用図書検定基準第2章2-(4))を自2ら逸脱して憚らない検定姿勢にも合わせて強く抗議する。一方、このような検定意見に対し、何とか歴史の事実を伝えようとした教科書発行者も複数あり、その著者および編集者の努力は正当に評価されるべきである。
     
    3.領土問題
     歴史認識同様、「政府の統一的な見解」を書かせる検定意見が今回もつけられ、竹島は日本の固有の領土である、中国政府との間に領土問題は存在しないという日本政府の主張に基づいた記述に修正された。相手国の主張の紹介すら認めず、日本政府の見解のみを書かせるのでは、ナショナリズムのぶつかり合いにしかならず、領土問題の解決にはつながらないであろう。このような検定は、学習指導要領が示す「主体的・対話的で深い学び」を文部科学省自身が否定しているものというべきである。
     
    4.「国語表現」への文学作品の掲載
     2020年度の「現代の国語」での検定で、文学作品(学習指導要領では「文学的な文章」)の掲載をめぐって、ダブルスタンダードというべき検定が行われたが、今回も同様の事態が起こっている。当該ケースは「現代の国語」とは別の教科書発行者であり、検定姿勢が是正されていない。このことは、教科書検定の公正性を揺るがす問題であるので、出版労連としては、引き続き検証と批判を重ね、教科書の自由を守る立場から是正を要求していく所存である。
     
    5.事実を偽る日本政府の国連自由権委員会への回答
     国連自由権委員会は、日本政府の第7回定期報告に先立つ事前質問票(ListofIssues)で、教科書について次のように質問した(原文は英語、外務省仮訳には文書番号および日付の記載なし)。
     
     ”また、教科書における言及を含む慰安婦問題に係る学生及び一般市民に対     する教育の取組につき詳述するとともに、歴史上の出来事、特に「慰安婦」問題について、同問題への言及の削除を意図して、政府当局が学校の教科書策定に影響を及ぼしているとの申し立てに回答願いたい。”
     
    これに対し日本政府は以下のように回答した(同上。パラグラフ155は略)。
     
     ”156教科書検定は、学習指導要領や検定基準に基づき、検定時点における客観的な学問的成果や適切な資料等に照らして、記述の欠陥を指摘することを基本として実施している。すなわち、教科書検定は、教科用図書検定調査審議会による専門的・学術的な調査審議の結果に基づいて行われ、その結果は、そのまま文部科学大臣が検定の合否の判断に用いており、そのときどきの政府の方針や政策又は政治的意図が介入する余地はない仕組みとなっている。”
     
     これは教科書検定の実態に照らせば事実を偽るものというほかなく、出版労連としては、これを厳しく批判するとともに、自由権委員会に情報提供を行い、教科書検定制度の不当性を国際社会にも訴えていく所存である。

    以上

    PDF版:220422_2021年度実施教科書検定結果についての見解

  • 出版労連声明「ロシアのウクライナ侵攻に抗議する」

    出版労連声明「ロシアのウクライナ侵攻に抗議する」

    2022年3月1日

    声明「ロシアのウクライナ侵攻に抗議する」

    日本出版労働組合連合会
    中央執行委員会

      出版労連は、ロシアによるウクライナに対する一方的な武力行使に抗議するとともに、ロシアがただちに侵略行為をやめ撤退し、平和的対話による解決をするよう求める。プーチン大統領が核戦力を念頭に核抑止部隊を高度警戒態勢におくよう軍司令部に命じたと伝えられているが、核兵器による威嚇は国際社会全体への脅しといえるものであり、決して許されるものではない。また、ジャーナリストの拘束や、サイバー攻撃が行われているとの情報もあるが、出版労連は言論・出版・表現の自由が保障され、すべての市民のいのちと人権が尊重されることを求める。
    国連憲章は、国連の目的を「国際の平和及び安全を維持すること」とし、「すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。」との原則を示している。
    2022年2月21日、プーチン大統領は、「ドネツク人民共和国」、「ルハンスク人民共和国」を独立国家として独善的に承認し、「平和維持軍」として軍隊を派兵した。さらに、2月24日、ウクライナに侵攻した。子どもを含む多くの民間人が死傷しているとの痛ましい報道がされている。このことは、国際法に違反する侵略行為そのものであり抗議する。
    出版労連は、結成以来64年間、出版人の一員として、言論・出版・表現の自由と市民の知る権利擁護のために運動にとりくんできた。これらは、平和と民主主義が保障されてこそ実現するものである。出版労連は、平和を守るとりくみを続ける世界中の人々と連帯する。

    PDF:220301声明「ロシアのウクライナ侵攻に抗議する」

    以上