第140回臨時大会 2023年春闘宣言
2023年春闘宣言
コロナ禍の仕事と生活が4年目に入ろうとしています。新型コロナウイルスの世界的流行は、病気そのものによる人命損失に加え、世界経済に大きなダメージを与えました。第8波の状況のなか、感染症法上の位置付けを現状の「2類相当」から、季節性インフルエンザと同等の「5類」へ引き下げる方針を固めたというニュースが先日ありました。しかしながら、すぐに景気が戻る保証はどこにもありません。また、22年2月から始まったロシアによるウクライナ侵攻は、未だ収まる気配もありません。その影響は経済だけでなく我々の平和をも脅かすものです。さらに、この1年、生活に欠かせないエネルギー・食料品などの価格が大幅に上昇しています。
今のままでは、生活を守ることはできない。その実感は誰しもが持っているのではないでしょうか。そんななか我々は「物価高から生活を守る春闘に」を掲げ、本日、23春闘方針案を可決しました。
23春闘では、賃上げの獲得指標を「誰でも定昇込み月額7,000円以上」から、「10,000円以上」にしました。それに伴い、初任給を「最低22万円」に引き上げ、産業別賃金を「30歳までに月30万円以上、年460万円以上」と前倒しにしました。最低賃金はこれまで通り、企業内最低賃金協定1,500円にこだわります。
30年近くの間、日本の賃金は上がっていません。23春闘でベースアップを求めずして、いつ求めるのか。黙っていても賃金が上がることはありません。私たちの生活を守るため、要求を出し、経営に生活の厳しさを訴え、ベースアップを勝ち取っていきましょう。
また、23年は10月からインボイス制度が実施される年でもあります。出版業界を支える多くのフリーランスの生活に直撃します。フリーランスだけの問題ではなく、会社の負担が増えることも考えられます。業界の大きな問題として捉えていきましょう。始まってからやめさせるのは、よりパワーが必要になります。始まる前の今、中止・撤廃を求めていきましょう。
職場環境、労働条件の向上も大切です。コロナ禍で在宅勤務や時差出勤などについては、ワークライフバランスの観点から恒常的な制度として導入する社も増えています。労働者にとって不利な制度にならないよう、労使間で丁寧に議論を進めましょう。また、長時間労働については、4月から1ヵ月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率が50%になります。これは、長時間労働抑制のための制度です。お金を払えば残業させてよいというわけではないことを、労使ともに確認しましょう。
「ピアソン桐原争議」「二玄社争議」も長期にわたるとりくみとなっています。全面的な解決をめざし、引き続き支援していきましょう。
本日の臨時大会では、12名の代議員、6名の特別代議員から発言がありました。例えば、次のような内容です。
出版ネッツからは、多数のインボイス制度の問題点が発言されました。また、インボイス制度以外にも、フリーランスの春闘宣言についても紹介されました。
組織・争議対策部からは、争議の詳細と、未加盟単組への訪問の報告、そして、持続可能な活動になるために協力の呼びかけがありました。争議の詳細については、当該の桐原労組からの報告もありました。
賃金・社会保障対策部からは、具体的な物価高の家計への影響と、「物価上昇を上回る賃上げを実現していく」ための活動の活性化についての話がありました。
紙上発言では、出版ユニオンから、日販王子流通センターにおける非正規労働者への安全配慮義務違反をはじめとする、さまざまな非正規差別が紹介されています。
課題は多岐にわたり、すべてを容易に解決できるものではありませんが、本日の討議のなかで問題を共有し、ともに努力し合うことを確認しました。
23春闘はベースアップを勝ち取り、1つでも多くの課題を解決し、私たちの職と食を守りましょう。
以上
2023年1月26日
日本出版労働組合連合会
第140回臨時大会
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