カテゴリー: 声明・談話など

  • 第137回定期大会特別声明(言論・表現の自由と憲法)

    第137回定期大会特別声明(言論・表現の自由と憲法)

    第 137 回定期大会特別声明


    いまこそ改憲の動きに抗して、言論・出版・表現の自由を守りぬこう


    昨今、言論・表現の自由を脅かすさまざまな動きが強まっています。例えば 2020 年 9 月、国から
    独立した公的な機関である日本学術会議が推薦した会員候補のうち、6 名の任命を政府が拒否した
    ことは、言論・表現、そして学問の自由を脅かす行為だといえます。また、国会審議を軽視して創
    設が進められ、2021 年 9 月に設置が予定されているデジタル庁も、個人の自由やプライバシーの侵
    害が危惧されます。さらに 2021 年 6 月に成立した改正国民投票法は、CM 規制や最低投票率の基準
    がないなど、憲法改正の手続きとしては欠陥だらけの法律であるにもかかわらず、成立してから問
    題点は議論する、として採決されてしまいました。同年 6 月には重要土地調査規制法が、衆参あわ
    せても 20 数時間という短い審議時間で充分な議論を経ず、専門家の意見を聞かないなかで可決・成
    立しました。基地が集中する沖縄はもちろん、米軍横田基地のある東京都福生市など、米軍・自衛
    隊基地を抱える全国の市町村で、政府による恣意的な運用を懸念する声があがっています。


    国会の動き以外にも、東京や大阪の「表現の不自由展」の開催が、妨害活動により危ぶまれてい
    ます。そして、東京五輪・パラリンピックの取材のため来日した記者の行動を、大会組織委員会が
    GPS で追跡しようとしていることに対して、海外のメディアから批判の声があがりました。さらに
    「美々卯スラップ訴訟」のように、言論に対する恫喝目的で提議される高額訴訟である SLAPP も起
    こっています。


    また、教科書に関しては、2021 年 5 月に内閣が閣議決定で「従軍慰安婦」などを「慰安婦」に、
    「強制連行」「強制労働」を「徴用」に、日本の戦争加害責任がなかったかのように変更しました。
    小中社会科と高校地歴・公民の教科書記述を閣議決定どおりにしろというのがねらいです。教科書
    記述の変更には「訂正申請」という手続きが必要で、文部科学省は該当する教科書発行者に対し異
    例の「説明会」を開き、訂正申請のスケジュールを示しました。これは教科書に対する事実上の圧
    力にほかなりません。


    一方、マスメディアではいま、同調圧力と忖度のもとで自由な発言や表現が難しくなっています。
    フェイクニュースや大手マスコミの一部も加担する権力におもねった報道、また SNS を利用したバ
    ッシング、ヘイト書き込みなどに対し、それらの対極にある、ジャーナリズム本来の、権力を監視
    する役割が重要性を増しています。しかし、ミャンマー軍事政権による民衆に対する不当拘束や、
    香港での民主化を求める声に対する暴力的な取り締まりなどの、海外の言論の自由に対する規制の
    動きも、わたしたちにとって他人事ではなく、決して楽観することはできません。


    いま、憲法改正を進める動きが強まっています。2012 年の自民党改憲草案は、言論・出版・表現
    の自由を保障する日本国憲法 21 条に第 2 項を加え、「公益及び公の秩序を害することを目的とする」
    活動は認めないとしています。このような憲法改正が、出版で働くものに重大な危機をもたらすことは
    明白です。


    わたしたちは、言論・出版・表現の自由を守るために、憲法 21 条を含む改憲に反対します。そし
    て、あらゆる取材妨害に反対し、取材の自由を求めるとりくみを行います。また、ヘイトスピーチ
    や暴力的な威圧行為などの、差別と暴力を根絶するとりくみを行います。
    以上


    2021 年 7 月 16 日
    日本出版労働組合連合会 中央執行委員会

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    2103特別声明「言論・表現の自由と憲法」

  • 第137回定期大会大会声明

    第137回定期大会大会声明

    大会声明

    私たちはこの第 137 回定期大会で

    「コロナ禍のもとでも対話をひろげ、賃上げ、労働条件改善をすすめよう!」
    「すべてのハラスメントをなくし、ジェンダー平等をすすめよう!」
    「出版産業の変化のなか、出版文化と言論・出版・表現の自由を守ろう!」

    をスローガンとして掲げるなか、2022 年度の運動方針案について討議してきました。
    2020 年から続くコロナ禍のなか、労働組合の活動の仕方も、オンラインを駆使し、コロナ禍以
    前と同等の活動を取り戻しつつあります。一方でオンラインでは職場の意見を聞き取りづらいと
    いった話も聞きます。コロナ禍でもさらに工夫し、これまで以上に対話を広げ、団結し、より連
    帯を広げていきましょう。

    働き方についても、在宅勤務制度や時差出勤制度など、以前から議論されてきた「働き方改革」
    が意図しない形で進もうとしています。しかし、それは十分な議論がされた結果での改革なので
    しょうか。職種による差異や、在宅勤務などをする上での不具合は様々報告されています。今後、
    恒常化されていくであろうこれらの働き方に対し、働く者にとって不利益にならない形で取り入
    れていけるよう、十分に議論を尽くしましょう。

    コロナは最賃改定にも影響を及ぼしています。コロナ不況を理由に 2020 年度最賃改定は、全
    国加重平均で前年比わずか 1 円増の時給 902 円となりました。これではとても暮らしていけませ
    ん。2021 年 4 月から、パート有期法、同一労働同一賃金ガイドラインが中小企業にも施行され
    ました。非正規差別の解消、時給 1500 円への最低賃金への引き上げは働く者全員の待遇を底上
    げする全体の利益です。当事者の声に耳を傾けながら、ともにとりくんでいきましょう。

    また、ハラスメント関連法が 2022 年 4 月から中小企業においても施行となります。出版労連
    も 20 秋年闘、21 春闘でハラスメント根絶にとりくみ、成果を獲得した単組もありました。一方
    で、日本の法律は禁止規定などがなく、ILO のハラスメント禁止条約の批准には至っていません。
    ハラスメントは人権侵害であることを再確認し、ハラスメント根絶に向けた働きかけを強めてい
    きましょう。

    本日の定期大会では、11 名の文書発言、4 名の代議員、4 名の特別代議員から発言がありまし
    た。

    ・多くの単組、部会からコロナ禍の中、zoom などを利用した会議・意見集約方法などが報告
    されました。
    ・フリーランスの問題として、傷病手当やガイドラインなど政府の対応不足や厳しい現状が報
    告されました。その一方で、それを活用して改善を図っていくとりくみについても報告され
    ました。
    ・教科書についても、デジタル化や価格、教科書攻撃など様々な問題が報告されました。
    ・言論の自由を守るため、雑誌の重要性が挙げられました。そこで働く人々をどう守っていく
    のかということと、組織をどう広げていくかという課題の提起を受けました。
    ・文書発言にて触れられている 4 つの争議についても引き続き支援していきましょう。

    コロナ禍のもと、社会はよりいっそう分断の方向へ進みました。立場や考えが違っても相手と
    理解し合うことがなければ対立は深まるばかりです。そんな時代だからこそ、私たち労働組合が
    必要なのではないでしょうか。今大会でもコロナ禍のもとでの組合活動の工夫について触れた発
    言がいくつかありました。さらに工夫を重ね、より議論を深め、発信をし、もっと多くの人々と
    つながっていく新しい仕組みを作り出しましょう。そして、言論・出版・表現の自由を守り、成
    熟した民主主義を根付かせ、出版文化を支える平和でより自由な社会を目指して、ともに手を携
    え前に進んでいこうではありませんか。

    2021 年 7 月 16 日
    日本出版労働組合連合会 第 137 回定期大会

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    2101大会声明

  • 【声明】国民投票法改正案の採決は行わないことを求めます

    【声明】 国民投票法改正案の採決は行わないことを求めます

    PDF:210518_kokumin_seimei

     

     憲法改定の手続きを定めた国民投票法の改正案が、衆議院憲法審査会採決、衆議院本会議採決を経て参議院に送られ、今国会で成立してしまう可能性が高まりました。この改正案には公職選挙法に合わせ、駅の構内やショッピングセンターに「共通投票所」を設置できることや「洋上投票」の対象拡大なども盛り込まれています。

     これまで護憲を掲げる野党は協調して国民投票法の問題点の議論を求めてきました。ひとつはCM規制についてです。スイスなど、憲法改正が頻繁に行われる国では一切のCMが禁止されています。このルール作りをしなければ、財力のある側が物量で優位に広告を展開することも可能です。この点が、「憲法をお金で買う」ことを許すことになると批判されています。もう一点、看過してはならないのは、最低投票率も定められていないことです。極端に言うと10%の投票率なら5%の賛成者で憲法が変えられてしまうことになります。安易な改正に歯止めを掛けるために現行憲法では、96条で衆参各議員の3分の2以上の賛成を経た後、国民の過半数の賛成を必要とし、厳しく制限している点とかけ離れています。ところが、これらについて附則に「3年後を目処に措置を講ずる」と入れる修正案が受け入れられたことで立憲民主党が賛成に回ってしまい、衆議院で可決してしまいました。しかし、これまで一切の議論を拒否してきた与党が、安易な改正を抑止するような措置を講ずるとは考えにくく思われます。

     私たちは、これまで一貫して安倍政権下で発表された自民党「日本国憲法改正草案」(以下「自民党改憲草案」)に反対してきました。自民党改憲草案は、今国会で多くの反対の声が寄せられた、入管法改正案でも指摘されている拷問に関しても、憲法36条「公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる」から「絶対」が削除され、拷問ができる余地が残るなど、きわめて危険なものだからです。この草案は、現行憲法の基本原理である国民主権・平和主義・基本的人権の尊重をすべて奪ってしまう内容です。天皇を国家の元首と定め、国防軍を設置し、人権は公益に反しない限りにおいて(国が認めた範囲で限定的に)認められる、という時代錯誤の改憲草案です。菅内閣においても自公政権である限り、改正に際して、自民党改憲草案にもとづく提起がなされるであろうことに変わりはないと推察されます。

     自民党内でも異論・指摘があり、安倍政権下で4項目に絞ったもの(いわゆる「改憲4項目」)を発表しましたが、国民投票法改正案の採決自体が、戦前の国家体制への回帰の足がかりになるであろうことに変わりありません。

     9条には自衛隊の存在を明記するだけと言っていますが、後から加えられた条文が優先される法原理から、自衛隊の存在を前提に、自衛の枠を超え、関係国支援として戦争にも参加し、徴兵すら行われる可能性があります。また、世論調査では、このコロナ禍で緊急事態条項が必要との回答が増えている状況が報道されています。しかし、現行の憲法下でも十分にコロナ対策は行えることは、多くの憲法学者、医療従事者、政治家からも指摘されています。

     国民投票法改正案の成立は、世界を戦争へと巻き込んだ大日本帝国憲法下の時代に日本のみならず世界をも逆戻りさせてしまう第一歩です。国民がコロナ禍で苦しんでいるいま、最優先するべきことではありません。

     いま行うべきは、「命と人権」を最優先し、ほんとうに必要なコロナ対策をはじめとした政策に注力することです。“不要不急”の国民投票法改正案の採決は行わないよう強く求めます。

    以上

     

     

    2021年5月18日

    日本出版労働組合連合会

    中央執行委員会

  • 【談話】公権力による市民の管理・統制の強化へとつながりかねないデジタル改革関連法案は容認できない

    【談話】公権力による市民の管理・統制の強化へとつながりかねないデジタル改革関連法案は容認できない

     

    2021年4月7日
    日本出版労働組合連合会
    出版・産業対策部
    部長 俵谷晋三

     

     昨年9月に発足した菅政権は、看板政策の一つとして国全体のデジタル化を掲げている。今年9月を予定して進められているデジタル庁創設もその一つであり、同庁を設置するための関連6法案が上程され、そのうち5法案が30時間にも満たない拙速審議で、昨日衆議院本会議にて可決された。
    政府は、6法案とそれに関連して提案されている数多くの法律案を、まとめて内閣委員会、総務委員会での審議で済まそうとしたが、法案のずさんな内容が次々と露呈している。また、密接した必要な法案だとして「束ね」法案化したにもかからず、総務委員会にかかる法案はまだ審議されていないまま5法案のみが衆議院本会議で採決された。
    日本の行政におけるデジタル化の遅れは周知のところであり、電子化によるスピードアップや行政コストの削減など、国民生活の利便性を図るという側面については否定するものではない。しかし本法案を見るかぎり、デジタル庁の本質は、マイナンバーに紐づけられた個人情報を一元管理し、その産業利用を進めるために個人情報保護を緩めるものであると断ぜざるを得ない。
    本来個人情報の利用については、本人の同意を要することが大原則であり、ヨーロッパなどではその徹底がめざされている。しかし、本法案では産業の活性化や国際競争の強化の名目のもと、個人情報の保護を緩めようとしている。
    現在、民間、行政機関、独立行政法人の三つに分散してその利用が規制されている個人情報を、首相直轄の組織である内閣府に設置するデジタル庁で一元管理するというのが本法案の要であるが、いかなる権力からも保護されるべき個人情報を国家権力の中枢ともいえる内閣府内の組織で管理するというのは、権力による市民の管理・統制の強化へとつながりかねない。
     菅政権のデジタル改革関連6法案は、個人情報とプライバシー保護の観点から断じて容認できるものではないことを表明する。

    以上

    20210407_digitalhouan_danwa

     

  • 【声明】公的機関による言論妨害、出版・表現の自由の侵害に抗議する

    【声明】公的機関による言論妨害、出版・表現の自由の侵害に抗議する

    【声明】公的機関による言論妨害、出版・表現の自由の侵害に抗議する

    2021年4月7日
    日本出版労働組合連合会
    中央執行委員長 酒井かをり

      公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は、「週刊文春」4月8日号(4月1日発売)掲載記事「白鵬、海老蔵、後援者…森・菅・小池の五輪開会式“口利きリスト”」、および3月31日配信の文春オンライン記事「『AKIRA』主人公のバイクが…渡辺直美も絶賛した「MIKIKO チーム開会式案」の全貌」において東京オリンピックの演出プランを暴露したことは不正競争防止法違反の罪及び業務妨害罪が成立しうるとして、4月1日、同誌の回収とWebからの削除を求めました。
     これに対し同誌は「侮辱演出案や政治家の“口利き”など不適切な運営が行われ、巨額の税金が浪費された疑いがある開会式の内情を報じることには高い公共性、公益性があり、報道機関の責務である」と説明し、組織委員会の要求である発売中止、回収などについて拒否する姿勢を表明しています。出版労連はこの表明を支持し、連帯を表明いたします。
     オリンピック・パラリンピックが、莫大な税金が投下される公共性の極めて高い催しであることはいうまでもありません。同組織委員会は、国内外から多くの批判を受けた森喜朗会長(当時)の女性蔑視の差別発言による辞任、タレントへの侮辱演出案の存在など、五輪憲章に抵触し、人権を軽視した度重なる不祥事を起こしてきました。同誌の表明するとおり、開会式の概要を取材・検証し公表することが公共の利益と合致することはだれの目にも明らかです。
     組織委員会は、非公開で会議を行うなど、極端に不透明な運営手法をとり、過度な情報コントロールを行ってきたことも報道で明らかとなっています。これらを納税者の前に明らかにする記事は、高い公益性を有していると考えます。さらに組織委員会は、警察と相談しつつ内外の関係者の調査に着手するとしていますが、これは刑事告訴をほのめかし取材活動を萎縮させることを意図した恫喝であり、不都合な事実を隠蔽することでガバナンスの不在を繕おうとしていると思わざるをえません。
     平和の祭典と称されるオリンピック・パラリンピックは、市民の共感と支持がその礎にあってこそのものと考えます。そのためには、運営組織の透明性は不可欠です。報道機関として当然の取材活動の範疇にあり、憲法21条で保障されている出版社として当然の出版活動の範疇にある同記事に対し、著作権法違反や業務妨害などの組織委員会の主張は、公的機関による言論活動の妨害、出版・表現の自由に対する重大な侵害にほかならず、看過できるものではありません。
     私たち出版に働く者は、公的機関による言論活動の妨害、出版・表現の自由の侵害を認めません。1963年に日本雑誌協会が制定した雑誌編集倫理綱領の第一項「雑誌編集者は、完全な言論の自由、表現の自由を有する。この自由は、われわれの基本的権利として強く擁護されなければならない」という立場をいま一度、強く支持し、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会による同誌への発売中止、回収要求の即時撤回を求めます。


    以上

    PDF:20210407_gorin_seimei

  • 中執特別声明「均等待遇を実現し、誰もが希望を持って暮らせる社会を実現させよう!」

    中執特別声明「均等待遇を実現し、誰もが希望を持って暮らせる社会を実現させよう!」

    出版労連第136回臨時大会/中央執行委員会特別声明
    均等待遇を実現し、誰もが希望を持って暮らせる社会を実現させよう!


     今日、私たちは、第136回臨時大会で均等待遇の実現について討議し、2021年春闘において均等待遇の実現に向けてとりくむことを確認しました。

     2020年4月に「短時間労働者の雇用関係の改善等に関する法律」が「短時間労働者及び有期労働者の雇用管理に関する法律」(いわゆる「パート・有期雇用労働法」)に代わりました。私たちの働く出版関連産業の大多数である中小企業への施行は1年間猶予され、2021年4月1日からとなります。

     およそ25年前、均等待遇についての法律がなかった時代に、格差是正を求めてたたかった丸子警報器のパート労働者や、近年では労働契約法20条を根拠にたたかってきた日本郵政や東京メトロコマースの労働者をはじめとする多くの労働者が勝ちとった結果として、法律が整備された背景があります。出版労連でも、小学館臨時労働者闘争(正社員化)や、一橋出版=マイスタッフ争議(派遣労働者の雇い止め撤回)など、非正規労働者の権利確立のたたかいをすすめてきました。パート・有期雇用労働法の施行にあたり、さらに、均等待遇実現のために声をあげていくことが重要です。

     出版関連産業でも、不合理な格差により苦しめられている非正規労働者が多数います。正社員と同様の業務・責任を担いながら、同じ仕事をしているはずなのに、賃金は違う、休日も違う、手当も違うなどは、到底許されるものではありません。

     そんな中、出版流通の職場では、大手取次の協力企業の有期雇用労働者が、個人加盟の出版情報関連ユニオンに加入して会社と交渉した結果、慶弔休暇の制度化や安全靴の支給などの格差是正が実現しました。

     みんなで力を合わせて声をあげ、少しずつ改善していきましょう。何もせず、ただ法律が変わっただけでは、格差の是正は実現しません。

     有期雇用から無期転換した社員と正社員の格差の問題については、まだ法律が整備されていないなど、課題はたくさんあります。

     不合理な格差を是正させ、均等待遇の実現にむけて、経営に対し要求し、交渉していきましょう。労働法のさらなる改善を求める運動や、この問題でたたかっている仲間の支援など、産業の垣根をこえて労働者が連帯し、とりくんでいきましょう。

    PDF:210210中執特別声明「均等待遇」印刷版

    以上

    2021年2月10日

    日本出版労働組合連合会

    中央執行委員会

     

  • 出版労連第136回臨時大会/2021年春闘宣言

    出版労連第136回臨時大会/2021年春闘宣言

    2021年春闘宣言

     「将来に続く何らかの布石」を打つこと。これが昨年の春闘宣言で私たちが採択した言葉です。私たちはこの1年、新型コロナウイルス感染症の脅威により、暮らしや働き方が急激に変わるということを体験ました。人と接触する機会を減らすことが急務となり、働き方の変更とともに、集い、話し合い、連帯していくという組合活動の基礎も大きな影響を受けています。通勤するだけでいのちの危険につながりかねない状況に置かれ、日常業務だけでも精一杯で、将来への布石を打つどころではなかったかもしれません。

     しかし、出版流通の現場から報告されたように、発売日の変更や延期はありましたが、出版物流は止まることなく、書籍・雑誌を作り、読者へ届けてきました。大きな変化の中にあっても、組合活動の灯を絶やさない心強い報告もありました。私たちが黙っていても、国や自治体、経営陣は働く人に行き届いた対応をしてくれません。大きな変化がもたらされるとき、大きな影響を受けるのはより弱い立場の人たちであることも忘れてはいけません。働く仲間と物理的に分断され、声を上げることがままならない今こそ、知恵と工夫で連帯し、萎縮せず議論を重ねて具体的な行動に移していきましょう。

      2021年春闘方針の柱は、コロナ禍でも納得できる労働条件・労働環境の改善にとりくもうということにあります。初任給の引き上げと賃金のベースアップは出版関連産業の担い手となる人の確保のためにも、要求化をめざしましょう。均等待遇の実現は、2021年4月より中小企業にも適用となる改正パート・有期雇用労働法を活用しましょう。
     
     会社主導で緊急的に導入された在宅勤務などの制度化や、働き方の改善を求める動きもあります。各単組・小共闘から寄せられたさまざまなとりくみからは共通する課題や論点も多く見出された一方、勤務形態や業務、管理体制などが各社で異なるのが実情です。臨時大会で確認した「コロナ禍における在宅勤務制度対応指針(案)」にポイントをまとめましたので、要求づくりに活用しましょう。コロナ禍の在宅勤務は、いのちの問題です。在宅勤務が困難な職場の働き方も考え、改善にとりくみましょう。

     定年延長や継続雇用も、賃金体系も含め非合理的な格差のない労働条件を追求しましょう。職場ごとの状況が異なるため、望ましい一つの方向性を打ち出すことは難しい現状にありますが、雇用の確保と労働条件の底上げを軸として、各単組で議論し要求していきましょう。

     ハラスメントの防止・根絶は、中小企業を含め法整備が進みつつありますが、フリーランスが対象外であることなど、未だ道半ばと言わざるをえません。出版女性会議や出版ネッツから報告されたように、さまざまな形態で働く人の権利を守るためのとりくみをさらに進めていきましょう。

     政府は2020年までに女性管理職を3割にとする目標を、「2030年までのできるだけ早い時期に」と先送りを決めました。出版労連は、新聞労連、民放労連、メディアで働く女性ネットワークの4団体の連名で民放連・新聞協会・書協・雑協のメディア業界の4団体へ「業界団体および加盟社の女性登用についての要請」を提出しました。この報告記者会見の直前、森喜朗氏(東京オリンピック・パラリンピック組織委員会会長:当時)による女性蔑視発言がありました。森氏の発言を下支えしてきているのはメディアも含めた日本の社会構造です。これは女性だけの問題ではありません。男性中心の社会構造を変え、ジェンダー平等を実現しましょう。

     私たちがこれまでとりくんできたさまざまな課題は、コロナ禍で遠景へ退いたかに思えるものもありますが、依然として残り続けています。表現の自由が脅かされ、民主的な手続きがないがしろにされることも多く聞かれます。労働組合の活動は、個別の労働条件はもとより、社会そのものを変える力になりえます。私たちは同じ出版関連産業で働く仲間であると同時に、異なる考えを持ち、異なる職場や条件で働く者でもあります。異なる個人として思いを伝え、共有し、ともに行動できる部分についてはいっしょに声をあげて、一つひとつの課題にとりくんでいくことができます。想像力と工夫をもって緩やかなつながりを保ち広めていきましょう。

    PDF:210219春闘宣言【印刷版】

    以上

    2021年2月10日

    日本出版労働組合連合会

    第136回臨時大会

  • 【声明】 出版産業を経営危機に追いやり書籍の多様性を阻害する 総額表示義務化に抗議し、撤回を求める

    【声明】 出版産業を経営危機に追いやり書籍の多様性を阻害する 総額表示義務化に抗議し、撤回を求める

    【声明】出版産業を経営危機に追いやり書籍の多様性を阻害する総額表示義務化に抗議し、撤回を求める

    2020年10月16日
    日本出版労働組合連合会
    中央執行委員長 酒井かをり

    PDF:201016総額表示声明


    2003年の消費税法改正によって、2004年4月より、事業者が消費者に取引価格表示する場合に消費税額を含めた価格を表示することを義務づける、いわゆる「総額表示制度」が実施されました。しかし広範な運動によって、2013年施行の消費税転嫁対策特別措置法による特例として、2013年10月1日より「外税表示」も許容され、現在、多くの出版物が「本体価格+税」の「外税表示」を採用しています。しかし、同特別措置法の適用期限は2021年3月31日までとなっており、「総額表示」の義務化が復活しようとしています。

    義務化が復活した場合、出版業界は多大な経費を要することは明らかであり、出版社の9割にのぼる中小零細出版社は経営危機を迎えることになりかねません。実際、消費税導入時には、出版業界は、他の業種とは比較にならぬ多大な経費を要しました。出版社においては、カバーの巻替えをはじめとする経費が1社平均3,623万円(日本書籍出版協会調べ)。全産業では5万円以下55.9%、1,000万円超0.8%、(大蔵省<現財務省>調べ)となり、経費等との兼ね合いから、廃棄または絶版にせざるを得なかった専門書や小部数出版物が多数に上るという由々しき事態を招きました。

    出版社は多品種の既刊書在庫を長期間保有しています。新刊書だけでなく既刊書の需要も高く、総額表示が義務化されれば、これらをすべて修正しなければならず、多額の経費を負担しなければなりません。

    さらには、取次会社や全国の小売書店においても、負担を余儀なくされます。全国で減少し続ける小売り書店を、今以上に減少させては出版文化が根底から崩れかねません。

    そもそも「福祉に資する」名目で導入された消費税が、大企業優遇への大幅減税分や不要な武器の購入に充てられている現実は、すでに多くの国民の知るところです。そのうえ出版社にとっては、消費税率が3%→5%→8%→10%と上がる中で、本の内容にかけるべき予算を、改訂対応にかけなくてはならない無駄が強要されることになります。

    出版社・取次会社・小売り書店で働く労働者で組織する出版労連にも、経費負担による廃業や解雇などへの不安を訴える声が多数寄せられています。

    出版労連は、憲法が保障する「出版・表現の自由」に則り、出版物の多様性という豊かな文化を維持し発展させる観点からも、総額表示の義務化に抗議するとともに、外税表示法式の再延長を求めます。

     

    以上

  • 【声明】政府による日本学術会議会員の任命除外に抗議し、撤回を求める声明

    政府による日本学術会議会員の任命除外に抗議し、撤回を求める声明

                                              日本出版労働組合連合会 中央執行委員会

    PDF:201007学術会議声明

     菅義偉首相は、2020年9月28日、日本学術会議第25期の発足にあたり、同会議が推薦した新会員候補105名のうち、6名を除外し、任命しませんでした。また政府は、その根拠と理由、および経緯を適切に説明していません。日本学術会議法を恣意的に解釈した任命除外は、同法に規定された同会議の独立性を脅かし、さらには日本国憲法の保障する「学問の自由」(第23条)を侵害するものであり、法治国家において当然遵守・履行されなければならない既存の法や民主的手続きすら無視し、「政権の都合」を優先した暴挙といわざるをえません。

     日本学術会議は、1949年、第二次世界大戦での反省をふまえ、科学が文化国家の基礎であるという確信の下、行政、産業及び国民生活に科学を反映、浸透させることを目的として、政府から独立して職務を行う「特別の機関」として設立されました。会員選任については、長らく研究者による投票によっていましたが、1984年に学術団体による推薦制、2005年に同会議が「優れた研究または業績がある科学者のうちから会員候補者を選考し、首相に推薦するものとする」と変更されました。1983年、同会議会員の選出制度が投票から推薦制度に変更となった際、政府は、国会で「推薦された者をそのまま任命する」と答弁しています。今回の任命除外は、この国会答弁と食い違うものであり、同会議の職務の独立性をふみにじるものです。「学問の自由」は、研究と教育の自由というだけではありません。この基盤となる大学やそれに準ずる学術研究団体の運営は、国家から干渉を受けないという制度的自律性をも意味します。だからこそ、同会議は政府から独立して職務を行う「特別の機関」なのであり、今回の政府の任命除外は、「学問の自由」の侵害となるのです。

     今回、推薦した候補者のうち任命が除外された6名の中には、「戦争法」(安全保障関連法)や「共謀罪」法(組織的犯罪処罰法)の問題点を指摘し、批判してきた研究者が複数名含まれていました。政府は、その理由を明らかにしていませんが、「政権批判をすればこのようなことになるのだ」という菅政権の強権的なメッセージと受け止めざるをえません。

     公権力による、政府と異なる意見を表明する一部の研究者に対する選別や排除は、研究者全体の発言や研究テーマの選択に萎縮をもたらすだけでなく、社会全体をも萎縮させかねません。さらに、今回の任命除外は、「学問の自由」だけでなく、「法の下の平等」(第14条)、「思想及び良心の自由」(第19条)、「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由」(第21条)の侵害にもつながりかねません。このままでは、公権力による抑圧と統制が、研究者の自律した研究活動だけでなく、社会全体の言論・出版・表現活動にもたらされることが懸念されます。

     言論・出版・表現の自由は、民主主義社会の根幹であり、私たち出版関連産業に働くものにとって欠くことのできない産業基盤です。なによりも、研究者は、新たな学問的、文化的な価値、最新の科学的知見を読者に提供し、社会に議論を提起、醸成していくための大切なパートナーです。私たちの仕事を守り、発展させていくためにも、今回の任命除外を許すことはできません。

     出版労連は、今回の任命除外について抗議し撤回を求めるとともに、首相が同会議の推薦通り、研究者の任命を行うことを強く求めます。

     

  • 135回定期大会特別声明/ハラスメント根絶

    135回定期大会特別声明/ハラスメント根絶

    ハラスメント根絶特別声明

     

    PDF:200827特別声明・ハラスメント根絶 

     

     私たち出版労連は、3年間にわたってハラスメント根絶を重点課題として取り組んできました。ハラスメントは命の問題だからです。経営に対しては、「あらゆるハラスメントの根絶を宣言する」ことを求め、宣言書への社長のサインを求めることを方針にかかげてきました。組合内部においても学習会を重ねてきました。繰り返しハラスメントの問題を取り上げることで、ハラスメントがときに人格を否定する、深刻な人権侵害であるとの問題意識は組合の中に広く浸透してきていると思います。それでもなお、今日もまたハラスメント根絶宣言の特別声明を出さざるをえないこの状況を残念に思います。しかし、この現実を受け止め、諦めることなく私たちの理性と知性とをもって、勇気をもって傍観者を卒業し、声を掛け合い、あらゆるハラスメントに対して毅然とした態度を貫き通しましょう。

     

     「ハラスメントはあってはならないこと」と誰もが認めることであるのに、なぜ繰り返されるのでしょうか。ハラスメントは弱者へ向かいます。すべての人が何らかの立場の優位性を持っています。そのことを、忘れずに他者に向き合うことも大切です。セクシュアルハラスメントの背景には、女性差別が大きく関わっていると言われています。社会的地位が相対的に低い女性はハラスメント被害に遭いやすいのです。同じように、雇用の不安定な契約社員や派遣社員も職場における力学上弱い立場にあるがため、パワーハラスメントの被害に遭いやすいことが指摘されています。ハラスメントを根絶するためには、ハラスメントが起きやすい土壌を一掃することも求められるのです。
     労働者の待遇差の改善、雇用の安定、さらに女性やLGBTに対する差別的取扱いの撤廃など、これまでの組合の要求ととりくみを、絶え間なく強力に押し進めていくことが、ハラスメント根絶の一歩となります。

     

     コロナ禍の中、人と人との接触が極端に減っています。社会の前提が覆りました。組合活動も縮小せざるを得ない状況ですが、工夫を重ね、試行錯誤しながら新しい進め方を実践し始めています。一方、経済活動の縮小に伴い雇用関係は不安定さを増してきています。在宅勤務やリモートワークの緊急導入など、働く場や働き方が大きく変容しているいま、従来のハラスメントに加え、周囲が気付きにくいハラスメント、いままでとは違うハラスメントが発生しやすい状況だと推測されます。こんなときだからこそ、いつも以上に周囲に目を配り、ハラスメントの種を蒔かれないよう、ハラスメントの芽を摘んでいく細やかな行動が組合に求められているのです。ハラスメントは人を孤立させたり、離職や、命の危機へ追いつめることもある深刻な人権侵害です。そのことを常に胸におきつつ、コロナ禍による自粛によってハラスメントを見過ごすことのないよう、みんなで協力し合いましょう。

     

    2020年8月27日
    日本出版労働組合連合会
    第135回定期大会