カテゴリー: 声明・談話など

  • 135回定期大会特別声明/取次労働者の雇用確保に向けて力を合わせよう

    135回定期大会特別声明/取次労働者の雇用確保に向けて力を合わせよう

    特別声明 取次労働者の雇用確保に向けて力を合わせよう

    PDF:200827特別声明・出版流通

     新型コロナウイルスの感染拡大は、出版産業にも多大な影響を及ぼしています。4月の緊急事態宣言発令下では、書店の休業・時短営業、ネット書店での入荷制限などが行われ、出版流通にも大きな混乱が生じました。このようななかでも、書籍や雑誌の流通は何とか機能しつづけています。それを支えているのは、出版流通の現場で働くたくさんの労働者です。
     しかし、かねて出版流通の現場には、低賃金と劣悪な労働条件、不安定な雇用が広がっています。出版情報関連ユニオンに加入した、大手取次の現場で働く非正規労働者は、ほとんどが都県の最低賃金で働いており、ダブルワークで生活をつないでいる仲間もいます。現場ではしばしばパワハラ・セクハラ事案も起きています。
     そのようななかで組合員たちは、長年の粘り強いとりくみによって、雇用契約期間の延長、社会保険への加入、ハラスメント根絶宣言への社長署名、パワハラを伴う退職強要の撤回などを勝ち取ってきました。私たち出版労連は、取次非正規労働者の権利向上を、産業新生の課題としても位置づけ、出版関連産業全体に向けてとりくみを呼びかけてきました。
     新型コロナウイルスの感染が拡大するなかでも、在宅勤務とは無縁で、会社によるマスク配布さえ不充分ななかで、彼ら・彼女らは感染のリスクを冒して働きつづけ、出版流通を支えています。生活できる賃金、安心して働ける職場環境を実現するために、いっそう力を合わせていくことを、あらためて呼びかけます。

     

     2019年4月、日販とトーハンは、物流拠点の「協業化」(統廃合)を進めていくと発表しました。その「第1弾」として、トーハン・加須事業所(東京ロジスティックスセンター)で行われている雑誌返品業務を、2021年3月までに日販・蓮田事業所(出版共同流通・蓮田センター)にすべて移すとされています。
     この加須事業所には、出版情報関連ユニオンの組合員が10人います。加須事業所にはこうした非正規労働者が600人ほど働いていると見られ、今回の統廃合はその雇用と生活に直結します。また、組合員のいる日販・王子流通センターをはじめ、他の事業所でも今後、「協業化」を進めていくと発表されています。
     組合員たちは、団体交渉で経営側の雇用責任を確認するとともに、雇用契約の無期転換のいっせい申し込み(勤続5年未満の者を含む約40名、全員受理)を行うなど、積極的にとりくみを進めています。自分自身の生活に不安を抱えながらも、同じ現場で働くすべての仲間の雇用を守るために尽力しています。
     現場で汗を流して働く労働者たちに、これ以上の雇用・労働条件悪化を強いることは許されません。私たちは、取次労働者の雇用と生活を守り、賃金・労働条件を改善するために、いっそう力をそそぐとともに、引き続き、出版関連産業に携わるすべての人々に協力を呼びかけます。

     

    以上

    2020 年 8 月 27 日
    日本出版労働組合連合会
     第 135 回定期大会

  • 135回定期大会/大会声明

    135回定期大会/大会声明

    出版労連第135回定期大会

    大会声明

    PDF:200827大会声明

     

     本日、私たちは第135回定期大会を開催し今期1年間の運動方針を確認しました。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的蔓延を受け、私たちの働く出版業界の職場もさまざまな変化にさらされています。この大会もオンラインでの配信というかつてないかたちで行わざるを得なかったように、労働組合の活 動の在り方も変わらざるを得ません。
     しかし、私たちの産業を魅力的なものとして発展させ私たちがよりよい仕事をしていくことに資するという出版労連の根本の方針、そして私たちがこれまで取り組んできた課題の重要性は変わりません。
     雑誌をはじめとした紙媒体の不振が続く一方で電子書籍の売り上げは伸び、流通面でも大手取次の協業化など私たちの産業はいま大きな変化にさらされています。人の動きが制限されるなか客足が遠のく書店、イベント等の自粛によって仕事が失われたフリーランスの仲間たち、等々、新たに深刻かつ喫緊の課題もでてきています。今後どのような影響が私たちの産業・社会に現れてくるのか注視していかなくてはなりません。
     今回の大会では、代議員の皆さんから13の事前発言(うち代議員3、特別代議員10)と4つの当日発言(うち代議員3、特別代議員1)をいただきました。

     

    ●産業にかかわる問題では、トーハンと日販の物流センターの協業化にともなう取次現場で働く出版情報関連ユニオンの仲間の状況や、雇用を確保するためのユニオンのとりくみが紹介されたほか、産業状況を把握するためのとりくみが紹介されました。

    ●職場環境や働き方にかかわっては、コロナ禍のもとでも安心して働ける権利の確保や、在宅勤務のルールづくり、評価・査定制度の導入に対する懸念について具体的な事例と労使交渉の紹介、など新しい課題や問題について発言がありました。また、男性優位をあらためるために「35歳モデル」の見直しの提案や、ハラスメント対策、長時間労働対策など、従来からの重要課題についても発言がありました。

    ●言論・表現の自由やそれを保障する憲法、コロナ禍のもとでICT化される学校現場などの教育・教科書の問題、汚染水放出など原発をめぐる問題、などについても現状やとりくみが紹介されました。

    ●定年延長については、賃金・社会保障対策部から定年延長についての考えを深めるためのこれまでのとりくみが紹介されたほか、定年延長だけが「年金問題」への対応ではないとの指摘や、要求化してもなかなかとりくみが進まない現状について分析が必要との意見もありました。

     

     変わりつつある出版産業、コロナ禍のもとで導入が進む新しい働き方、私たち労働組合が果たすべき役割はこれまで以上に大きなものになっているといえます。従来と同様の活動ができないからとあきらめている場合ではありません。
     今大会でもコロナ禍のもとでの組合活動の工夫について触れた発言がいくつかありました。そういった工夫をさらに重ねて新しい活動の在り方を考えましょう。リアルの集会では参加が難しかった仲間がオンラインで参加できるようになるといった、これまでにないメリットも見つかるかもしれません。
     職場に在宅勤務など新しい働き方で困っている仲間はいないでしょうか? 直接会って話せなくてもそういった仲間の声を拾い上げる方法を模索しましょう。誰かの「困った」を解決する方法を工夫しましょう。そういった声や工夫をぜひ出版労連へお寄せください。それは確実に他の職場の人たちの、そして私たちの今後の活動にとっての大きな力となるはずです。皆の結集で新しい出版労連をつくりあげていきましょう。

    以上

    2020年8月27日

    日本出版労働組合連合会
    中央執行委員会

  • 【声明】 全国どこでも、誰でも8時間働けば最低限の生活が送れる最低賃金を求める

    2020年7日

    【声明】 

    全国どこでも、誰でも8時間働けば最低限の生活が送れる最低賃金を求める

    日本出版労働組合連合会/非正規労働問題対策会議

    PDF:200817【声明】全国どこでも、誰でも8時間働けば最低限の生活が送れる最低賃金を求める

     7月17日、安倍政権が閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2020」(いわゆる「骨太の方針」)では、「最低賃金については、より早期に全国加重平均1000円になることをめざすとの方針を堅持」としつつ、感染症による雇用・経済情勢をふまえ「雇用を守ることが最優先課題」であり「最低賃金については、中小企業・小規模事業者が置かれている厳しい状況を考慮し、検討を進める」として、引き上げ凍結を容認した方針となっている。「骨太の方針」の影響もあってか、中央最低賃金審議会(中賃)は、目安額を出さないという結果となった。8月5日、東京地域最低賃金審議会(東京地賃)は、2020年度の東京都最低賃金は、現行通りとするという答申を行い、東京労働局長は、同日、答申通りの公示を行った。出版労連は、最賃引き上げゼロについて抗議する。

     2020年度の最低賃金については、コロナ禍による景気の後退を理由に最賃の引き上げを見送られた。しかし、最低賃金法によれば、労働条件の改善によって労働者の生活の安定と、労働力の質的向上とともに、事業の公正な競争の確保によって国民経済の健全な発展に寄与することを最低賃金の目的としている。そうであるならば、コロナ禍のいまこそ、最低賃金の引き上げが必要であると考える。最低賃金の引き上げによって、国内需要をつくりだし、景気を好転させていくという経済循環が求められている。「骨太の方針」で、「景気の好循環継続の鍵となる賃上げ」としていることや、最賃法においても最賃引き上げによって「国民経済の健全な発展に寄与する」と明確に示している。

     また、最賃法が目的とする「事業の公正な競争の確保」は、大企業だけに利益が集中することなく、中小企業・小規模事業者にも利益を生み出せるように、労働者を確保することが必要であり、そのために最低賃金引き上げと、中小企業・小規模事業者への賃金引き上げの直接的な支援策をセットで行うことが必要である。

     厚生労働省の「賃金構造基本統計調査(令和元年2019年)」によれば、出版業を含む産業分類G41.映像・音声・文字情報制作業において、10~99人規模と1,000人以上の規模の事業所で、20~24歳の若年層では1.48倍の賃金格差が生じている。東京都産業労働局の「中小企業の賃金・退職金事情」(平成30年 2018年)によれば、映像・音声・文字情報制作業において、事業の労働組合の有無で賃金が1.28倍の格差があるとの結果が示されている。出版労連加盟組合の職場においても、高卒初任給が2.31倍の格差となっている。これらのデータをみれば、事業所の規模や労働組合の有無によっての賃金格差が生じており、公正競争の阻害要因となっていることは明かである。東京都出版業特定最賃(出版最賃)が廃止され、地域最賃が摘要となった現在、出版業における賃金格差を是正する立場からも、地域最賃のさらなる引き上げが必要である。

     出版労連も参加する東京地協、東京春闘共闘の最低生計費試算調査でも、東京で若年単身者が一人暮らしするのには時給換算で1,600~1,700円必要であるとのデータも報告されている。このことからも、コロナ禍においても、低廉な賃金の労働者の生活向上のために最低賃金を少なくとも1,500円以上にすることは急務である。

     最低賃金額を引き上げ、全国どこでも、誰でも8時間働けば最低限の生活が送れる最低賃金を求めるものである。最低賃金引き上げを見送った各地方最低賃金審議会は、異議申立があれば、再度、最低賃金引き上げについて審議を行い、最低賃金額を時給1,500円以上とするよう求める。

     以上

  • 市民の自由や集会・報道の自由を脅かす新型コロナ対策特別措置法に反対する(日本マスコミ文化情報労組会議 MIC )

    市民の自由や集会・報道の自由を脅かす新型コロナ対策特別措置法に反対する

    PDF:市民の自由や集会・報道の自由を脅かす新型コロナ対策特別措置法に反対する

     

    2020年3月10日
    日本マスコミ文化情報労組会議

     新型コロナウイルスの感染拡大を受け、安倍政権は3月10日、「緊急事態宣言」が可能となる新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正案を国会に提出しました。13日までに成立させることを目指しています。

     この法案は、首相が「緊急事態」を宣言すれば、都道府県知事が、外出の自粛や、学校やイベント会場の使用制限などを要請することができるようになります。要請に応じない場合は「指示」に踏み切ることもできます。また、一定条件を満たせば所有者の同意なく土地や建物の強制使用も可能になる強い規定もあります。さらに「指定公共機関」に日本放送協会(NHK)を明記し、新型コロナ対策の責務を負わせ、首相や都道府県知事が指示を出せる対象にしています。指定公共機関は「公益的事業を営む法人の中から政令で定めることができる」と政府の判断で追加も可能になっています。
     報道機関は自らの判断に基づき必要な報道を行うものであり、政府や自治体が適切に権限を行使し、正確に情報を発信しているかなどを監視する社会的使命があります。その報道機関に法律上の責務を負わせることは、権力監視機能を損なわせる恐れがあります。また、施設利用制限の条項を使って、政府対応の問題点を市民が話し合い、改善を求めるための集会まで中止に追い込まれる危険性があります。あいまいな要件で「集会の自由」や「報道の自由」、国民・市民の「知る権利」を脅かし、憲法で保障された基本的人権の侵害につながりかねない法案であり、メディア関連労組として容認することはできません。

     そもそも、1月に国内で初めて新型コロナウイルスの感染が確認された後、政府は場当たり的な対応を続け、安倍首相は専門家の意見も聞かずに、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校の全国一斉臨時休校を打ち出すなど、合理的な根拠と透明性に著しく欠ける意思決定を重ねています。そうした政府に対して、公文書やエビデンスに基づいた説明責任の担保をつけずに、幅広い裁量のお墨付きを与えることは非常に危険です。

     実効性と民主的なプロセスを両立する新型コロナウイルス対応の実現に向けて、国会での法案審議が行われることを強く求めます。

    日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)
    (新聞労連、民放労連、出版労連、全印総連、映演労連、映演共闘、広告労協、音楽ユニオン、電算労)

  • 第134回臨時大会/特別決議  物流危機の打開と雇用・労働条件改善に関する決議

    第134回臨時大会/特別決議 物流危機の打開と雇用・労働条件改善に関する決議

    出版労連第134回臨時大会/特別決議

    物流危機の打開と雇用・労働条件改善に関する決議

    200214特別決議案「物流危機」

    本や雑誌を書店、コンビニ、そして読者の手に毎日届けてきた出版取次・物流は、いま、深刻な状況にあります。危機を打開し持続可能性を確保することは、出版関連産業で働く者、携わる者にとって、重要な、“自分ごと”の課題です。
    物流危機は出版に限られた現象ではありません。大手宅配便業者によるアマゾンとの契約打ち切り、残業代未払いの発覚、過労死の頻発など、物流の持続可能性には黄信号が灯っています。その背景には、規制緩和と過当競争によって生じた低過ぎる賃金と労働条件の問題があると指摘されています。
    出版物流の現場にも、最賃に貼りついた低賃金、低い労働条件が広くあります。ワンコイン100円での昼食、同僚の在職死、ハラスメント。出版情報関連ユニオンに加入した取次現場で働く仲間たちはそうした現実を改善したいと声を上げ、出版労連はこの要求を、非正規労働者の権利とともに産業新生に関わる課題と位置づけ、とりくんできました。
    トーハンと日販は現在、出版物流を守るためとして、雑誌・書籍の返品と書籍の新刊送品での物流協業化の方針を固めました。その一環として、物流拠点の統廃合が取り沙汰され、現場に不安が広がっています。
    私たちは、物流協業化が、汗を流してきた現場の担い手ばかりにしわ寄せされることは容認できません。大手取次の経営施策の結果生じる雇用・労働条件の問題には、施策をすすめる会社の責任で対応すべきです。
    本も雑誌も、出版社だけでは読者のもとに届きません。印刷、製本、取次、物流、書店、コンビニ、駅売店等で働く人たちによって、本と雑誌のサプライチェーンは維持されています。このサプライチェーンに関わるすべての現場で、公正な労働条件、取引条件が確保されることが、出版物流の危機打開のために不可欠です。
    私たちは、取次で働く仲間たちの労働条件を改善していくとともに出版物流の持続可能性を確保していくため、自ら努力を重ねるとともに、出版関連産業に携わるすべての人々に知恵と力を出し合うことを呼びかけます。
    以上

    2020年2月14日
    日本出版労働組合連合会
    第134回臨時大会

  • 第134回臨時大会/特別決議  ハラスメントを生み出す土壌をなくし、防止・根絶にとりくもう

    第134回臨時大会/特別決議 ハラスメントを生み出す土壌をなくし、防止・根絶にとりくもう

    出版労連第134回臨時大会/特別決議

    ハラスメントを生み出す土壌をなくし、防止・根絶にとりくもう

    PDF:200214特別決議「ハラスメント」

    今日、私たちはハラスメント根絶について議論を行い、2020春闘でハラスメントの防止と根絶にとりくむことを確認しました。

    2019年5月、ハラスメント関連法が成立し、大企業は2020年6月、中小企業は2022年4月から施行(それまでは努力義務)となりました。2019年6月には、ILO(国際労働機関)の総会において、「仕事の世界における暴力とハラスメントの撤廃に関する条約」が採択されました。日本政府は条約に賛成はしましたが、ハラスメントの根絶を真摯にめざしているかといえば疑問であるといわざるを得ません。2019年10月に厚生労働省が作成したハラスメント関連法施行に向けての「指針」の素案では、ハラスメントに該当しない具体例が示され、逆にハラスメントにお墨付きを与える恐れがあるなど、事業主の管理責任を曖昧にするような内容が含まれていました。

    また、雇用労働者以外の者(フリーランスなど)へのハラスメントについての事業主の責任も不十分なものでした。素案に対し、出版ネッツも参加するMIC(日本マスコミ文化情報労組会議)フリーランス連絡会・日本俳優連合・フリーランス協会の三者は、ハラスメント関連法成立時の附帯決議を「指針」に反映させる旨の声明の発表などのとりくみを行いました。このこともあり、「事業主は自らの雇用労働者以外の者から相談があった場合には、雇用労働者への雇用管理上講ずべき措置を参考にし、必要に応じて適切な対応を行うように努めることが望ましい」旨の文面が「指針」に盛り込まれました。しかし、パブリックコメント(公募意見)で寄せられた修正意見は、「指針」に反映されませんでした。「指針」はハラスメント防止・根絶に向けて十分なものではありません。今後もとりくみが必要です。

    ハラスメントは、長時間労働・過重労働のある職場、成果主義などが導入されている職場、雇用関係が複雑な職場などで起こりやすいといわれています。自分たちが働いている職場の環境を改めて見つめ直してみましょう。ハラスメントを生み出す土壌はないでしょうか。土壌があれば春闘の労使交渉、労使協議会、安全衛生委員会などで改善にとりくみましょう。

    職場のみならず、取引関係や仕事を依頼しているフリーランスの誰かがハラスメントを受けているようなことはないでしょうか。被害者になった人がいて、その人が声をあげられず悩んでいるのなら、まず声をかけてみましょう。

    また、あなた自身がハラスメントの加害者になっているということはないでしょうか。「仕事量が多く、人員は少ない。そんな中、締切がせまり、若手に思わず語気を荒げてきついことを言ってしまった」。こんな事例をなくすためには、経営者の責任がより重要となります。「ハラスメント防止・根絶要求書」を提出し、経営による「ハラスメント防止・根絶宣言」を求めましょう。宣言が出されたら、それを掲示板などで公開し、会社に出入りする人も含め宣言を共有しましょう。それが経営責任の明確化です。

    2020春闘では、ハラスメントを生み出す土壌をなくし、ハラスメントの防止・根絶にとりくみましょう。また実効性あるハラスメント関連法の改定、ILO条約の批准など、政府に対するとりくみについても、他の労働団体や市民団体などと連携しながら強めていきしょう。

     以上、決議します。

    2020年2月14日

    日本出版労働組合連合会

    第134回臨時大会

  • 2020年春闘宣言

    2020年春闘宣言

    2020年春闘宣言

    PDF版;200214春闘宣言

    2020年をのちに振り返ってみた時、出版産業で働く私たちが、将来に続く何らかの布石を打てた年になるのか、否か。

    今日、第134回臨時大会で私たちが討議した2020年春闘の具体的方針は、いずれも、昨日・今日に始まった状況に対してのものではありません。毎年行われてきた、春闘という仕組みは、私たち働くものがまとまって声を上げる機会です。人間らしい生活のできる賃金水準はもとより、働きやすい職場への改善や、社会全体の問題点に対しても声を上げていく。それによって、自分を取り巻く環境を少しずつでも良い方向へと変えるため、具体的な成果を上げるのが、春闘の役割です。

    掲げられた方針の根幹をなすのは、やはり賃金の問題でしょう。そもそも、出版産業は巨額の設備投資を必須とする重厚長大型産業に比較して、「設備より人に投資する」傾向があるとされ、職能を正当に評価されていると感じられた時期もありました。しかし社会全体の趨勢と無縁であるはずもなく、私たちの実質賃金は他業種同様、上向いていません。各界から良い人材を得、出版産業の発展をめざすとき、賃上げの問題は、いま働いている私たちだけでなく、後に続く人たちのためでもあります。敢えて言えば、出版労連の統一要求基準に掲げた、時間額1,500円以上、日額10,500円以上、月額210,000円以上という金額は、出版産業で働く喜びを得るための最低限のものでしかありません。出版労連に集まっている私たちだけでなく、ともに働いている人たちも含めて、この要求を実現させましょう。

    さて、さまざまな要求を掲げている今回の春闘です。ハラスメントに関しては、経営に「ハラスメント防止・根絶要求書」を提出し、「防止・根絶宣言」を求めるとしています。金額を伴う要求ではありませんから、労使ともに合意しやすいのではないでしょうか。ただし、時代背景を理由としたハラスメントは労使間だけでなく、私たちの周囲にも遍く存在してきたことを思い起こす必要があります。単に労使間の問題ではなく、「社会全体の約束」とせねば、画餅に終わります。

    さらに、働き方改革、定年延長問題、出版流通への支援、表現の自由へのとりくみなど、出版産業に働く私たちにとって軽重のつけられない課題はさまざまです。今回、確認しあった方針は、私たちの粘り強い交渉によってのみ、前進を得ることができるでしょう。

    労働組合のよりどころは働く場とそこに集う人です。そして、そこに集う人の立場はどうあれ、仕事の面白さや達成感を得られるように環境を整えていくのが本義です。それを地道に行うことで、個々の組織を越えた大きなうねりが生まれるでしょう。さまざまな考え方を持つ私たちが集まる出版労連だからこそ、上下関係ではなく、横への緩やかなつながりを大事にできるはずです。

    以上を踏まえ、私たちはここに、2020年春闘方針を決定します。要求実現に向けて足並みをそろえ、粘り強く交渉し、将来に続く布石を打っていきましょう。

    2020年2月14日

    日本出版労働組合連合会

    第134回臨時大会

  • 出版労連が、声明「『表現の不自由展・その後』が中止に追い込まれたことに抗議する」を発表

    2019年8月6日、出版労連中央執行委員会は、声明「『表現の不自由展・その後』が中止に追い込まれたことに抗議する」を発表しました。

    以下をクリック↓ ↓ ↓

    声明「『表現の不自由展・その後』が中止に追い込まれたことに抗議する」  

     

    ★この声明に対するご意見等がありましたら以下のアドレスにて承っております。

    opinion@bear-white-207548df97cd7409.znlc.jp

    以上

     

     

  • 第133回定期大会 特別決議「出版に働く私たちは、出版、表現の自由を侵す改憲に反対します」

    第133回定期大会 特別決議「出版に働く私たちは、出版、表現の自由を侵す改憲に反対します」

    出版に働く私たちは、出版、表現の自由を侵す改憲に反対します

     

    PDF版:190712_tokubetuketsugi_hyougen

     

    言論、出版、表現、報道の自由の規制がエスカレートしています。
    かつては書けたこと、表現できたこと、放送できたこと、人前で話せたことが、今はできなくなってきていないでしょうか。
    官房長官が、特定の新聞記者の質問を敵視しています。
    防衛省が、フリージャーナリストの記者会見出席を阻んでいます。
    ストーカー行為を規制するための改正東京都迷惑防止条例が、市民の言論、表現の自由、知る権利、報道の自由を規制したい人たちの武器になろうとしています。
    森友学園問題、加計学園問題で隠蔽と詭弁に終始した首相は、2001年のNHK番組改変問題以来、政府・与党中枢が意に沿わない報道への介入・干渉を繰り返し、それが容認されてきました。2010年代には特定秘密保護法、「共謀罪」法※を相次いで強行採決し、ついには言論・表現・出版の自由の寄って立つ根拠である憲法21条をも変えてしまおうと目論んでいます。自民党改憲草案は、公の秩序のためには出版、表現の自由は思いのままに制限できるとしています。出版、表現の自由は私たちの到達した、侵すことのできない永久の権利です。改憲で出版、表現の自由を規制し、統制しようとする動きには断固、反対です。
    思ったことを口にするのが憚(はばか)られる一方で、虚偽(フェイク)や憎悪(ヘイト)が大手を振って闊歩する時代になってきました。それらを質(ただ)し、真実を伝えることがマスコミ本来の役割であるはずですが、この状況に沈黙をもって加担し、もっぱら政府発表ばかりを伝えようとする現実があります。さらに与党は、豊富な資金や人脈を使って、広告をも意のままに操ろうとしています。
    そこに拍車をかけるのが、忖度と同調圧力です。表現する者、メディアに働く者が生きにくい、仕事をしにくい世の中になっていはしないでしょうか。内省と自戒も込めて、そう訴えます。
    言葉の重みが限りなく軽んじられている今も、あらためて言葉の力を取り戻す、ねばり強い動きが続けられています。FIGHT FOR TRUTHを叫んだ今年3月14日の官邸前行動は、表現者やジャーナリスト自身が声をあげる画期となりました。
    メディア産業、とりわけ出版をはじめとするコンテンツ産業は、多様性をかけがえのない源泉としています。萎縮し、同調圧力に屈してこの多様性を放棄することは、産業の消滅に繋がります。私たちはこれからも、多様性を手放さず、黙りも阿(おもね)りもせず、言葉の力を信じて、自らの良心と職能に忠実に行動していきましょう。

    以上、決議します。

    2019年7月12日
    日本出版労働組合連合会  第133回定期大会

    ※「特定秘密の保護に関する法律」(2013年)
    「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律」(2017年)

  • 第133回定期大会 特別決議「ハラスメント根絶宣言」

    ハラスメント根絶宣言

     

    PDF版:190712_tokubetuketsugi_harassment

     

    本日、私たちは、仕事の世界における「ハラスメントの根絶」を掲げ、議論してきました。人権侵害以外のなにものでもないハラスメントの根絶について、2019年というこの時代においても新たな課題として声を上げなければならない現実に、その根の深さを感じます。しかし、ハラスメントに声を上げ、対抗する大きなうねりはきています。

    去る6月21日、ILO(国際労働機関)の第108回総会において、「仕事の世界での暴力とハラスメントを禁止する条約」が採択されました。これは、一昨年アメリカのハリウッドでおきたセクハラの告発を契機に、全世界に広まった#Me Tooの運動とそれに呼応した、見て見ぬふりをすることを終わりにする「タイムズ・アップ」運動の成果だと言われています。世界的には、職場における暴力とハラスメント禁止が大きな流れとなっているのです。
    日本国内においても、元財務事務次官による女性記者へのセクハラが契機となって#Me Too #With Youの運動へと広がりをみせました。出版労連も、メディアや表現の場で働く労働者の組合で組織されたMIC(日本マスコミ文化情報労組会議)などとともに、ハラスメントに関する学習会、院内集会、市民参加フォーラム、国会前行動などを展開し、あらゆるハラスメントの根絶を求める活動を続けてきました。その結果、まだ十分とは言えない内容ながらも、5月にパワハラ防止法が成立しました。経営側の抵抗・慎重論以上の私たち世論の高まりに、目をつぶることは出来ず、政府としても取り組まざるを得ない状況だと判断したからではないでしょうか。

    では、私たちそれぞれの仕事の世界で、ハラスメント改善の兆しは見えているでしょうか。有休を取得するのに嫌みを言われていませんか。上司から恫喝(どうかつ)されていませんか。取引先から不当な要求をされていませんか。不当な配転を命じられていませんか。強い言葉での指示や理不尽な業務命令はありませんか? 賃金に直結する短時間勤務の強制を受けていませんか? あなたでなくても、あなたの隣人が嫌がらせをされていませんか? ハラスメント根絶に向けての行動を掲げながらも、残念ながら職場でのハラスメントを解決することは簡単なことではありません。立場の優位性を背景に行われる言動・行為であるために、弱い立場からの声は上げにくく、ハラスメントそのものを顕在化させることを難しくさせているからです。また長時間労働や人員不足などが絡んでくると、ハラスメント構造が見えにくくなる問題もあります。

    しかし、私たち労働組合の基本は相互扶助です。人権侵害は取り組むべき最重要課題です。いかなるハラスメントも曖昧にはせず、その芽を小さいうちに摘んでいく不断の努力が求められます。〈見て見ぬふりをすることを終わりにする〉この世界の流れと手を取り、歩調を合わせ、困難を厭(いと)わず、ハラスメント根絶に向けて取り組みましょう。
    同時に、私たち労働組合も“組織”であるかぎり、組合内部にハラスメントを内包していることを自覚しましょう。ひとりひとりが自らの置かれた立場の優位性を自覚し、相互にフラットな立場であろうとする意思をもって、ハラスメントを生まない組織に作りあげていきましょう。

    以上、宣言します。

    2019年7月12日
    日本出版労働組合連合会 第133回定期大会