市民の自由や集会・報道の自由を脅かす新型コロナ対策特別措置法に反対する(日本マスコミ文化情報労組会議 MIC )

市民の自由や集会・報道の自由を脅かす新型コロナ対策特別措置法に反対する

PDF:市民の自由や集会・報道の自由を脅かす新型コロナ対策特別措置法に反対する

 

2020年3月10日
日本マスコミ文化情報労組会議

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、安倍政権は3月10日、「緊急事態宣言」が可能となる新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正案を国会に提出しました。13日までに成立させることを目指しています。

 この法案は、首相が「緊急事態」を宣言すれば、都道府県知事が、外出の自粛や、学校やイベント会場の使用制限などを要請することができるようになります。要請に応じない場合は「指示」に踏み切ることもできます。また、一定条件を満たせば所有者の同意なく土地や建物の強制使用も可能になる強い規定もあります。さらに「指定公共機関」に日本放送協会(NHK)を明記し、新型コロナ対策の責務を負わせ、首相や都道府県知事が指示を出せる対象にしています。指定公共機関は「公益的事業を営む法人の中から政令で定めることができる」と政府の判断で追加も可能になっています。
 報道機関は自らの判断に基づき必要な報道を行うものであり、政府や自治体が適切に権限を行使し、正確に情報を発信しているかなどを監視する社会的使命があります。その報道機関に法律上の責務を負わせることは、権力監視機能を損なわせる恐れがあります。また、施設利用制限の条項を使って、政府対応の問題点を市民が話し合い、改善を求めるための集会まで中止に追い込まれる危険性があります。あいまいな要件で「集会の自由」や「報道の自由」、国民・市民の「知る権利」を脅かし、憲法で保障された基本的人権の侵害につながりかねない法案であり、メディア関連労組として容認することはできません。

 そもそも、1月に国内で初めて新型コロナウイルスの感染が確認された後、政府は場当たり的な対応を続け、安倍首相は専門家の意見も聞かずに、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校の全国一斉臨時休校を打ち出すなど、合理的な根拠と透明性に著しく欠ける意思決定を重ねています。そうした政府に対して、公文書やエビデンスに基づいた説明責任の担保をつけずに、幅広い裁量のお墨付きを与えることは非常に危険です。

 実効性と民主的なプロセスを両立する新型コロナウイルス対応の実現に向けて、国会での法案審議が行われることを強く求めます。

日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)
(新聞労連、民放労連、出版労連、全印総連、映演労連、映演共闘、広告労協、音楽ユニオン、電算労)