第134回臨時大会/特別決議 物流危機の打開と雇用・労働条件改善に関する決議
出版労連第134回臨時大会/特別決議
物流危機の打開と雇用・労働条件改善に関する決議
本や雑誌を書店、コンビニ、そして読者の手に毎日届けてきた出版取次・物流は、いま、深刻な状況にあります。危機を打開し持続可能性を確保することは、出版関連産業で働く者、携わる者にとって、重要な、“自分ごと”の課題です。
物流危機は出版に限られた現象ではありません。大手宅配便業者によるアマゾンとの契約打ち切り、残業代未払いの発覚、過労死の頻発など、物流の持続可能性には黄信号が灯っています。その背景には、規制緩和と過当競争によって生じた低過ぎる賃金と労働条件の問題があると指摘されています。
出版物流の現場にも、最賃に貼りついた低賃金、低い労働条件が広くあります。ワンコイン100円での昼食、同僚の在職死、ハラスメント。出版情報関連ユニオンに加入した取次現場で働く仲間たちはそうした現実を改善したいと声を上げ、出版労連はこの要求を、非正規労働者の権利とともに産業新生に関わる課題と位置づけ、とりくんできました。
トーハンと日販は現在、出版物流を守るためとして、雑誌・書籍の返品と書籍の新刊送品での物流協業化の方針を固めました。その一環として、物流拠点の統廃合が取り沙汰され、現場に不安が広がっています。
私たちは、物流協業化が、汗を流してきた現場の担い手ばかりにしわ寄せされることは容認できません。大手取次の経営施策の結果生じる雇用・労働条件の問題には、施策をすすめる会社の責任で対応すべきです。
本も雑誌も、出版社だけでは読者のもとに届きません。印刷、製本、取次、物流、書店、コンビニ、駅売店等で働く人たちによって、本と雑誌のサプライチェーンは維持されています。このサプライチェーンに関わるすべての現場で、公正な労働条件、取引条件が確保されることが、出版物流の危機打開のために不可欠です。
私たちは、取次で働く仲間たちの労働条件を改善していくとともに出版物流の持続可能性を確保していくため、自ら努力を重ねるとともに、出版関連産業に携わるすべての人々に知恵と力を出し合うことを呼びかけます。
以上
2020年2月14日
日本出版労働組合連合会
第134回臨時大会