国際社会の指摘を受け止め、「報道の自由」を取り戻そう
2019年7月2日
日本マスコミ文化情報労組会議
「言論と表現の自由」に関する国連の特別報告者デービッド・ケイ氏が6月26日、日本のメディアは政府当局者の圧力にさらされ、独立性に懸念が残ることを指摘し、「政府はどんな場合もジャーナリストへの非難をやめるべきだ」と日本政府に改善を求める報告書を国連に提出しました。ケイ氏は2016年に訪日調査を行い、日本の報道が特定秘密保護法などで萎縮している可能性があるとして同法の改正や、放送に対する政治圧力の根拠となり得る放送法4条の廃止などを求めた11項目の勧告を2017年に日本政府に出していますが、未だに9項目が全く履行されていないと批判しています。
今回の報告書のなかでは、私たちメディア・文化・情報関連の労働組合で組織する「日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)」が訴えてきた、記者会見における質問制限・妨害問題についても「新聞や雑誌の編集上の圧力」と指摘しています。菅義偉官房長官は「不正確で根拠不明」と反論していますが、私たちは日本政府が、国際社会の指摘を真摯に受け止め、民主主義国家として改善につなげることを強く求めます。
現状、日本のメディア環境をめぐっては、国際ジャーナリスト組織、海外世論からも厳しい視線を向けられ、その真価が問われています。民主主義社会を支える動脈である「報道の自由」をこれ以上、侵害させないよう権力に屈することなく抗い、しっかりと取り戻さなければなりません。
7月4日には参議院選挙が公示されます。選挙報道をめぐってもこの数年間、政権与党から過剰に「公平中立」を求める申し入れを行い、報道現場が萎縮することが問題になってきました。こうしたことを繰り返していては、メディアの信頼が揺らぐとともに、有権者が社会の現状を正確に把握したうえで投票行動を行うことが難しくなってしまいます。私たちはそれぞれの現場において、人々の知る権利のために「報道の自由」「表現の自由」を担う職責を全うし、国際的にも信頼されるメディア環境を日本で築いていくことを再確認します。そのためにも私たちは政府に対して、国際社会の指摘を謙虚に受け止め、改善をすることを求めます。
日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)
(新聞労連、民放労連、出版労連、全印総連、映演労連、
映演共闘、広告労協、音楽ユニオン、電算労)