雇用類似の働き方に関するセーフティネット拡充を求める声明
PDF版:19-7-16-MIC雇用類似検討会中間整理に対する声明
2019年7月22日
日本マスコミ文化情報労組会議
厚生労働省の「雇用類似の働き方に係る論点整理等に関する検討会」(鎌田耕一座長)は6月28日、「中間整理」を発表した。日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)は、関係する労働者が結集し厚労省への要請等も行ってきた労働団体として、中間整理を評価するとともに、保護策検討の加速と労働者性拡大の本格的検討を求めるものである。
同検討会に先立つ厚労省「雇用類似の働き方に関する検討会」の報告に対し、私たちは同報告を評価するとともに、「速やかに保護策の検討に入るべき」とする声明を発した。今回の検討会は「保護策の検討」に入り、契約適正化、報酬、安全衛生、就業時間、損害賠償額の予定等、相談窓口について「優先的に検討を進める必要がある」と位置づけ、「仕事による負傷や疾病」の支援とハラスメント対策については専門家等による検討を開始することが適当とした。望ましいルール・制度づくりへの出発点といえる。
仕事による負傷や疾病の支援の検討は労政審に舞台を移し、労災保険特別加入の対象拡大等が検討される。何の補償もなく突き放されてきた現状に比べ「特別加入という選択肢」ができることは改善だが、「使用者負担による労災補償」の対象拡大も併せて検討されるべきである。特別加入となる場合でも、加入を促進し制度の実効性を高めるためには保険料を仕事の代金・報酬に上乗せできるよう、建設工事代金への社会保険料上乗せを参考にした支援、工夫が望まれる。
ハラスメントは、国会附帯決議を踏まえ労政審で検討すると整理しているが、ILOが6月21日に採択し日本政府も賛成した条約も踏まえ、フリーランス保護を明確にしてほしい。失業、私傷病、出産・育児・介護支援等について、その必要性を認めながら「優先的に検討」とされなかったのは財源問題への忖度と考えられるが、当事者にはいずれも切実だ。さらに吟味し、真に必要な課題は財政当局に正面から予算要求してほしい。
私たちが求めてきた労働者性(労働基準法上の労働者の範囲)拡大は、「新たな判断基準について短期的に結論を得ることは困難と考えられる」ため「継続的な検討課題」とされた。検討の場も目途も示されていない。
雇用類似保護の検討は、2017年3月に閣議決定された「働き方改革実行計画」で「雇用類似の働き方に関する保護等の在り方について……中長期的に検討する」とされたのを受けて設置されたものであり、中長期的課題を避ける理由はない。結論を得るのに時間がかかるのであればなおのこと、政府・厚労省の責任で労働者性を検討する場を設け、本検討会での議論も踏まえつつ速やかに検討に入ることを強く求めたい。
私たちは雇用類似の労働者が多く加入する労働団体として、当事者、関係諸団体とともに、労働者性拡大とすべての働く者の権利確立にむけ、いっそうの努力を払う所存である。
日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)
(新聞労連、民放労連、出版労連、全印総連、映演労連、
映演共闘、広告労協、音楽ユニオン、電算労)