ネット署名:十分な時間を確保したオープンな「首相記者会見」を求めます!

日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)によるネット署名です

 

署名先 → 十分な時間を確保したオープンな「首相記者会見」を求めます!

 

新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校の全国一斉臨時休校を打ち出した安倍晋三首相が2月29日、記者会見をしました。

安倍首相は「国民の皆さんのご理解とご協力が欠かせません」と訴えましたが、質疑に入ってからも事前に用意した原稿を読み上げるばかり。「なぜ全国一律の対応が必要と判断したのか」「ひとり親や共働きの家庭はどうすればいいのか」などについて十分な説明はありませんでした。約35分間のうち約19分間を一方的な冒頭発言に費やし、まだ質問を求めている人がいるにもかかわらず、官邸側はわずか5問で一方的に「終了」を宣言。説明責任を果たさぬまま、安倍首相は私邸に帰宅しました。立ち去ろうとする安倍首相に対し、「まだ質問があります」「最初の質問にもちゃんと答えられていません」とフリージャーナリストの江川紹子さんが上げた声は、国民・市民の率直な声です。

しかも、2月29日の会見で述べた内容すら揺らいでいます。2日後の3月2日の国会答弁では、「直接、専門家の意見をうかがったものではない」と一斉休校要請が明確な科学的根拠に基づく判断ではないことが明らかになりました。

ウイルス対策は重要ですが、生活や経済が破綻したり、市民的自由が奪われたりするリスクも考慮しなければなりません。多大な影響、痛みが生じる政策決定の根拠や効果、デメリットを抑える具体的な対策について、国民・市民にわかりやすく説明し、納得を得る必要があります。早期に日本記者クラブを活用して、再質問も行える十分な質疑時間を確保し、雑誌やネットメディア、フリージャーナリストも含めた質問権を保障した首相記者会見を行うよう求めます。

政府と同時に、内閣記者会(官邸記者クラブ)に所属している報道機関にも要請します。

現在の首相記者会見は、内閣広報官が質疑を取り仕切り、不十分な答弁に対しても再質問ができない慣例になっています。「主催」は内閣記者会ですが、安倍首相が3月2日の参院予算委員会で、「いつも総理会見においては、ある程度のやり取りについて、あらかじめ質問をいただいている。その中で、誰にお答えさせていただくかということは、司会を務める(内閣)広報官の方で責任を持って対応している」と事前質問通告や官邸側の仕切りを公然と認める状態になっています。このことは、「運営などが公的機関の一方的判断によって左右されてしまう危険性」を指摘し、「当局側出席者、時期、場所、時間、回数など会見の運営に主導的にかかわり、情報公開を働きかける記者クラブの存在理由を具体的な形で内外に示す必要がある」とした記者クラブに関する日本新聞協会編集委員会の見解(2002年作成、2006年一部改訂)にも抵触する状況です。

国民・市民の疑問を解消できない記者会見のあり方には、内閣記者会に所属する報道機関側にも国内外から批判が向けられています。日本記者クラブでのオープンで十分な時間を確保した記者会見が実現するよう、各報道機関が首相官邸に要請し、その立場を広く社会に表明するよう求めます。

また、2011年以降、日常的に首相が記者の質問に応じる機会がなくなりました。特に例年3月末に新年度予算が成立した後は、首相が国会で説明する機会も急減します。官邸の権限が増大する一方で、説明の場が失われたままという現状は、民主主義の健全な発展を阻害しています。日常的に首相へ質問する機会を復活するよう、政府と報道機関に求めます。

国民・市民の「知る権利」を実現するため、メディアの労働組合や1人1人のジャーナリスト、市民らが共に声をあげることによって、今の状況を変えていきたいと思い、署名活動を始めました。ぜひ、ご賛同よろしくお願いいたします。

2020年3月5日

 

【呼びかけ人】
●日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)
(新聞労連、民放労連、出版労連、全印総連、映演労連、映演共闘、広告労協、音楽ユニオン、電算労)
議 長 南   彰(新聞労連)
副議長 是村 高市(全印総連)
副議長 土屋 義嗣(民放労連)
副議長 酒井かをり(出版労連)
副議長 瀬尾 元保(映演共闘)
副議長 土屋  学(音楽ユニオン)
●国会パブリックビューイング
代 表 上西 充子

【賛同人】(五十音順、3月5日午後3時現在)
青木美希(朝日新聞社会部記者)
阿部岳(沖縄タイムス編集委員)
石原真樹(東京新聞鎌倉通信部記者)
池田香代子(デモクラシータイムス同人、翻訳家)
伊藤和子(ヒューマンライツナウ代表)
井上淳一(脚本家・映画監督)
今西憲之(ジャーナリスト)
内田樹(神戸女学院大学名誉教授)
おおたとしまさ(教育ジャーナリスト、フリーランス)
大矢英代(ジャーナリスト)
奥谷禮子(ザ・アール創業者)
加藤翼(あいちトリエンナーレ「ReFeedom」アーティスト)
木村知(医師)
郡司真子(不登校保護者会事務局)
小泉明郎(あいちトリエンナーレ「ReFreedom」アーティスト)
坂手洋二(劇作家・演出家)
志葉玲(フリーランスジャーナリスト)
島田雅彦(作家、法政大学教授)
白川昌生(あいちトリエンナーレ「ReFeedom」アーティスト)
辛淑玉(人材育成コンサルタント)
想田和弘(映画作家)
臺宏士(『放送レポート』編集委員)
武井由起子(弁護士)
田代秀敏(シグマ・キャピタル株式会社チーフ・エコノミスト)
立岩 陽一郎(ジャーナリスト)
田中あけみ(株式会社ALCOLAB代表取締役)
田中龍作(フリ―ジャーナリスト)
辻井裕子(planning office FLAME 代表)
津田大介(ジャーナリスト、メディア・アクティビスト)
寺脇研(映画プロデューサー)
中島京子(小説家)
永田浩三(武蔵大学教授)
中野晃一(上智大学教授)
中野昌宏(青山学院大学)
西谷修(東京外国語大学名誉教授)
浜田敬子(Business Insider Japan統括編集長)
布施祐仁(ジャーナリスト)
舩橋淳(映画作家)
古田大輔(メディアコラボ代表)
前川喜平(現代教育行政研究会代表)
松尾貴史(俳優)
松元剛(琉球新報社・執行役員編集局長)
三浦英之(朝日新聞記者、ルポライター)
三上智恵(映画監督)
茂木健一郎(脳科学者)
望月衣塑子(東京新聞記者)
森マサコ(フリーランス/イラストレーター)
安田浩一(ジャーナリスト)
山口一臣(日本ジャーナリスト協会運営委員/株式会社POWER NEWS代表取締役)
山口二郎(法政大学教授)
山崎雅弘(戦史・紛争史研究家)
与那嶺一枝(沖縄タイムス編集局長)
若林直子
渡辺輝人(弁護士)