〔声明〕 廣川書店争議、都労委が救済命令

2015年10月26日、東京都労働委員会(以下「都労委」という)は、出版労連・廣川書店労働組合を申立人(以下「組合」という)、(株)廣川書店を被申立人(以下「会社」という)とする不当労働行為救済申立事件(平成25年不第117号事件)について、申立人組合の主張を入れ救済命令をだしました。
以下、出版労連、廣川書店労組、弁護団が声明を発表しました。

【声明】
2015年10月29日

1 東京都労働委員会命令
 本日、東京都労働委員会(以下「都労委」という)は、出版労連・廣川書店労働組合を申立人(以下「組合」という)、(株)廣川書店を被申立人(以下「会社」という)とする不当労働行為救済申立事件(平成25年不第117号事件)について、申立人組合の主張を入れ、次のとおり命令した。
 すなわち、?平成24年春闘要求、同年夏冬の一時金要求、平成25年春闘、同年夏冬の一時金要求を議題とする団体交渉に、財務資料(それぞれ少なくとも直近3年分の貸借対照表、損益計算書等)を提示して速やかにかつ誠実に応じなければならないこと、?及び組合に対する謝罪文の交付である。

2 都労委命令の大きな意義
これは、2014年3月19日付けで都労委が会社に対して、?平成24年1月12日に定年を迎えていた濱田組合員について、同日以降も会社の従業員として継続雇用したものとして扱わなければならないこと、?同組合員の継続雇用にかかる賃金・就労場所について団体交渉をするにあたっては、現行の継続雇用制度にこだわらずに適切な継続雇用の労働条件を定めること、?さらに謝罪文を組合に交付すること、を命じた都労委命令(平成24年不第44号事件)に引き続く勝利命令であり、廣川書店における労使関係の改善に大きく資するものである。
 会社は、この間10年以上にわたって、春闘の賃上げ要求に対しては「0回答」、夏冬の一時金要求に対しては「30万円 会社査定±20万円」という回答に固執し続け、組合が団交の場で財務資料を示してその具体的な根拠を明らかにするよう求めても一切の財務資料も示さずに、既に回答済み、回答を変える意思はない、廣川書店の賃金は既に十分な水準などの理由で、団交拒否・不誠実団交を続けてきた。
本都労委命令は、会社の団体交渉における著しく不誠実な態度を厳しく断罪したものであり、今後の同社の労使関係を改善するために大きな前進となる命令である。
周知のとおり、廣川書店は廣川一族の同族経営であり、財務状況は闇の中に包まれている。にもかかわらず会社は一貫して賃上げ0、一時金要求についても上記のような低額回答に終始してきた。本命令の財務資料の提示命令は、そのような同族経営の闇の部分を明らかにするように求めるものであり、労働条件の労使対等決定の原則、労使関係を円満妥当なものとするうえで、大きな転換点ともなるものである。

3 居直り続ける廣川書店の労使関係を前進させるために
しかし廣川書店は、前記濱田組合員に対する会社との継続雇用を求めた都労委命令後も居直りを続け、賃上げや一時金要求について従前同様の不当な態度を継続し、中央労働委員会での和解も拒否し続けている。
このような会社の態度を改めさせ、労使関係を対等でかつ円満妥当なものとするために、私たちは、皆さんのより一層の支援のもとで、奮闘する決意である。
以上
日本出版労働組合連合会・廣川書店労働組合・弁護団